飲食店営業許可申請を保健所に提出する際の注意点
目次
飲食店を開業するにあたって必ず必要になってくるのが保健所からの営業許可です。飲食店営業許可申請と呼ばれるものですが、この書類を提出するにあたっていくつか注意しておかなければならないポイントがあります。
営業許可申請前にしっかり準備をしよう
飲食店営業許可を申請する前に、以下のようなことをしておくことをおすすめします。
1.事前相談
これから飲食店を開業する場合、居抜き物件(もともと飲食店として利用されていた物件)を契約するパターンと、スケルトン物件(居抜きでない物件)を契約するパターンがありますが、スケルトンの場合は内装工事を入れる必要があります。
スケルトン物件を契約する時に注意しておきたいのは、「内装工事を入れて保健所から許可が出ないことがある」ということです。どういうことかというと、飲食店を営業するためには保健所が定める基準に則っていなければいけません。
営業許可申請は内装工事が完了する10日前くらいに申請しますが、出来上がってからNGが出た場合、皆さんはさらに工事費を支払う必要があるのです。1坪あたり30万円ほどといわれる内装工事費をさらに支払ってしまっては資金繰りがうまくいかなくなってしまいますよね?
ですので、必ず完成予定図を持って保健所に事前相談をしにいきましょう。
2. 食品衛生責任者の資格取得
次に準備しておきたいのは食品衛生責任者の資格取得です。店舗の代表となる皆さんあるいは雇用する誰かに調理師免許を持っている人がいれば別ですが、食品衛生責任者の資格がなければ営業許可申請が降りません。
食品衛生責任者の資格は各自治体が開催している6時間の講習会を受講することで取得できますが、講習会は満員になることも多く、開催の回数が少なく月に1回しか開催しない自治体もありますので、できる限り早めに受講しておく必要があります。
さもなければ、「工事も完了して準備までできたのに営業許可が降りなくて営業を開始できない」なんてことになってしまいます。
営業許可申請ではこんなところが見られる
さて、居抜き物件であっても前の利用者が完璧に現在の保健所の基準に準拠しているとは限りません。場合によっては実地調査が入ることもあるため、注意点については保健所へ事前相談にいって確かめるのが確実ですが、本項では参考までにいくつかのポイントについてご紹介していきたいと思います。
1.スペースごとに用途をきっちり分けられているか?
当たり前ですが従業員の更衣室を客室として利用したりキッチンにお客さんを立たせたりするのはよくありません。
「ここからここはキッチン、ここはバックヤード」という風に明確に区切りをつけるようにしましょう。この区切りにはドアが必要な場合もあります。多くの飲食店では営業中は取り除いてしまっていますが、実は客間とキッチンはドアで区切る必要があるのです。
2.掃除がしやすい床かどうか?
とりわけ調理スペースは排水がよく掃除しやすい床であることが求められます。木目ではなくタイルやコンクリートのような耐水性の高い材料で、床勾配がついていることが理想的です。
3.害虫・ネズミ対策はできているか?
飲食店では大量の食品を廃棄したりするので、どうしてもゴキブリやネズミの餌場になってしまいます。ネズミがウロウロする店内なんて不衛生ですし、保健所だけでなくお客様も嫌がってしまいますよね?ですので、厨房に窓がある場合は網戸を設置したり、排水口に金網を設置したりして店内に害虫が入らないように対策をしておく必要があるのです。
4.換気は十分に行えるか?
衛生面でも安全面でも十分に換気ができることが重要です。単に換気ができれば良いというわけではなく、「厨房のサイズに見合った換気扇やダクトがあるか?」というところまで見られるので、注意しましょう。
5.明るさは十分に確保されているか?
店内は100ルクス以上の明るさが求められます。一般的なオフィスは明るすぎるといわれますが750ルクス程度、100ルクスは街灯の下くらいの明るさです。ちなみに10ルクスはロウソクで得られるくらいの明るさです。
尚、調理場は刃物を扱ったりするため暗すぎると危ないです。お店の雰囲気を壊さない程度に明るくしておくほうが良いでしょう。だいたい300ルクス程度が作業に最低限必要な明るさだといわれています。
6.食器用のシンクと食材用のシンクは別々か?
シンクは2槽であるか、1槽の場合は食器洗い機が備えられていることが求められます。また、これとは別に従業員が消毒できる環境を用意することも求められます。
7.食器を片付ける戸棚が設置されているか?
食器を保管しておく場所は棚ではなく戸棚であることが求められます。
8.蓋付きのゴミ箱が設置されているか?
厨房に設置するゴミ箱は「衛生的に利用することができる蓋付きのゴミ箱」である必要があります。できれば足で開閉ができたりするほうが良いでしょう。
9.トイレは衛生的に利用できるか
トイレには専用の手洗器を設置する必要があります。また、消毒液を入れる固定式の容器を設置する必要もあります。市販のボトルタイプの手洗い石鹸を置くだけではいけません。
だいたいよくチェックされるポイントはこれくらいですが、他にもルールがあるかもしれないので保健所に事前相談しにいって確認するようにしましょう。
その他注意しておきたいポイント
以下ではその他に申請にあたって注意しておきたいポイントを整理していきます。
水質検査成績書が必要な場合も
厨房で利用する水が井戸水の場合やビルの受水槽を通っている場合は水質検査成績書というものが必要です。だいたい管理会社か大家さんが持っているので水道直結でない場合は確認してみましょう。
申請には手数料がかかる
飲食店営業許可申請には手数料がかかります。自治体によって異なりますが、だいたい15,000円~20,000円程度であることが多いです。また、調理師や栄養士でない場合は食品衛生責任者の資格を取得する必要がありますが、ここでも3,000円~10,000円の受講料が発生します。
営業許可には期限がある
飲食店営業許可には期限があり、一度許可が降りてからしばらく経つと許可を更新する必要があります。期限については施設の耐久度によって保健所が期限を判断しますが、一般的には5年~8年だといわれています。
満了日の1ヶ月前になると保健所から通達が届きますが、お店を運営しているとついつい「邪魔だから」と食器棚から戸を取ってしまったり、ホールとキッチンを仕切るスイングドアを取ってしまったりします。
油断していると許可がもらえないこともありますので、更新のタイミングにも余裕が持てるように事前にメモをしておくなりして忘れないように対策しておきましょう。
申請は設備完成の10日前に
内装工事を入れていよいよ営業ができる状態になったところで、許可が降りていなければ営業をすることができません。また、実地調査の結果無事適合したとしても許可書が発行されるまでには1週間程度時間がかかります。
完成しているのに許可を待たなければ営業を開始できないというのはなんとも焦れったいですよね?なるべく余裕を持って申請をするようにしましょう。
まとめ
飲食店営業許可申請には、さまざまな注意点が必要です。これは書類を作成するにあたっても同じです。
個人で許可申請をするには時間が足りないと感じたら行政書士に相談するのもいいでしょう。経験豊富な行政書士に許可申請を委託すれば、スムーズな手続きで短期間での許可取得も可能です。飲食店のオープン前は色々と準備で忙しいものなので、許可申請に時間を割くことは簡単なものではありません。許可申請を負担と感じるのであれば、行政書士にも注目してみましょう。
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