新規事業の6つのメリットを解説!具体的な始め方やプロセスを知ろう
目次
新規事業を始める6つのメリット
新規事業を始めるメリットは以下の6つです。
- 収益を伸ばせる可能性がある
- ニーズ変化によるリスクを分散できる
- 人材の雇用・育成に繋がる
- シナジー効果が生まれる
- 新規顧客を獲得できる
- 会社の知名度が上がる
これから新規事業を始めようか悩んでいる方は、現在の会社に6つのメリットが加わることで会社が成長するかを考えてみましょう。
1.収益を伸ばせる可能性がある
新規事業を始めることで収益を伸ばせる可能性があります。
なぜなら、新規事業を始めることで新しい市場に参入できるためです。たとえば、食品のECサイトを経営している企業が実店舗をオープンすることにより、これまでECサイトを見たことのない層にまでアプローチできます。
ECサイトはインターネットを利用しなければいけませんが、インターネットで買い物をしない方も多いでしょう。実店舗はインターネットを利用していない方をターゲットにできるため、収益の拡大が期待できます。
2.ニーズ変化によるリスクを分散できる
多様なニーズ変化に対応するためにも、新規事業で需要動向が変わるリスクを分散させる必要があります。
1つの事業しか行っていない企業は、その事業に注力できるメリットがあります。しかし、市場のニーズが変化した際には、事業そのものが廃れてしまうリスクも考えなければいけません。
近年のニーズ変化によるダメージを受けている代表的な例が自動車メーカーです。SDGsや脱炭素社会といった環境への配慮に注目が集まっている中、ガソリン車から電気自動車への移行が取り沙汰されています。
日本の自動車メーカーのように、1つのカテゴリーで多くの利益を出していたとしても、市場のニーズ変化によって大きな変革が求められることがあるでしょう。
3.人材の雇用・育成に繋がる
新規事業は目に見える収益の増加だけでなく、新しい人材の雇用や、社内の人材育成にも繋がります。
新規事業を始めるには、新しい部署を作り新規事業を担当する人材を確保しなければいけません。つまり、新たな人手やポストが必要になります。
既存事業だけではポストの空きがなく、若手が管理職に上がれないといった悩みを抱えていた企業は、新規事業を開始することで悩みを解決できるでしょう。
新規事業は新しい人材の雇用や、既存社員が昇格することにより得られる育成経験など、社内に新しい風を吹かせられます。
4.シナジー効果が生まれる
新規事業を独立した事業として展開するのではなく、既存事業に組み合わせることでシナジー効果(相乗効果)が生まれます。
事例として、コンビニエンスストアのファミリーマートの新規事業を見てみましょう。ファミリーマートは2018年にコインランドリーである「Famima Laundry(ファミマランドリー)」をオープンしました。
コインランドリーのオープンだけでは、ファミリーマートが新規事業を始めたようにしか見えません。しかし、このコインランドリーはファミリーマート店舗に併設する形でオープンしました。
コインランドリーは雨の日に利用者が増加するため、雨の日に利用客が減少するコンビニと組み合わせることで、より多くの利益を得られる仕組みになったのです。
新規事業を始める際にはシナジー効果が生まれるように、既存事業と組み合わせられる点がないか考えてみましょう。
5.新規顧客を獲得できる
新規事業は新規顧客を獲得できます。
1つの事業に専念するのも大切ですが、同じ事業だけでは新規顧客の獲得が頭打ちになるでしょう。
とくに買い切り型のサービスの場合、常に新規顧客を獲得し続けなければ事業は衰退するため、新規事業に取り組む必要があります。
たとえば製造業(メーカー)で、これまでBtoBしか行っていなかった企業が、ECサイトなどを経由して消費者に直接販売(BtoC)するのも新規事業の1つです。
これまでは事業者しか顧客に成り得なかった事業が、消費者をターゲットにできるようになり、新規顧客の獲得に繋がるでしょう。
また、近年ではBtoG(Government)という、国や行政を相手にしたビジネスが注目されています。企業や消費者だけでなく、国や行政をも顧客として考えてみるのもいいでしょう。
6.会社の知名度が上がる
新規事業を始めることで、会社の知名度が上がる可能性があります。
なぜなら、新規事業を始めると多くの方の目に触れる機会が増えるためです。
特にBtoBをメイン事業にしていた会社がBtoC事業を始めることで、消費者の目に付きやすくなるため、会社の知名度が上がりやすくなります。
一般的にBtoBビジネスを行う会社は広告などを積極的に行わないということもあり、BtoCビジネスを行う会社よりも知名度は低くなりがちです。
なかには知名度が低いために就職活動中の学生に認知してもらえず、人材確保に苦戦している企業も多いでしょう。
会社の知名度が上がることで、収益のアップや安定的な人材獲得に繋がります。
新規事業を始める2つのデメリット
新規事業を始めるデメリットは以下の2つです。
- 初期投資が必要になる
- ランニングコストが増える
それぞれについて解説します。メリットと合わせて理解しましょう。
1.初期投資が必要になる
新規事業を始めるには初期投資が必要になります。
新規事業が既存事業に類似している場合は、多くの費用をかけずにスタートできる可能性もありますが、自己資金だけでは難しいこともあるでしょう。
具体的に投資を行うべき項目は以下のとおりです。
- 設備の導入
- 人材の確保
- 商品の開発
多額の初期投資をした結果、初期投資を回収できずに事業を撤退する、会社が倒産するといったリスクもあります。
新規事業には初期投資が必要になるため、事前に慎重に検討しましょう。
2.ランニングコストが増える
新規事業を開始した後は、ランニングコストが増えます。
具体的にかかるコストは以下のとおりです。
- 従業員の給与
- 工場や店舗の賃料
- 水道光熱費
新しい設備や人材などを導入する分、いままでよりもランニングコストがかかる前提で計画を立てましょう。
なぜ事業拡大が必要なのか
新規事業・事業拡大が必要な理由は、企業が持続的に成長するためです。
企業は同じ事業を続けているだけでは、サービスのマンネリ化や新規企業の参入によって、継続した収益を上げるのは難しくなるでしょう。
一般的に企業の成長サイクルは以下の4つに分類されます。
- 創業期
- 成長期
- 成熟期
- 衰退期
この一連のサイクルのなかで、事業拡大を狙うのは成長期と成熟期です。売上も多く上がっている時期に次の事業への投資、仕組みづくりができるかが重要といえるでしょう。
衰退期にはすでに売上も減少傾向で、新規事業に投資できる余力は残っていません。衰退期に入ってから次のことを考えるのではなく、成長期・成熟期にこそ新規事業に挑戦しましょう。
新規事業を始める2つの方法
新規事業を始める方法は以下の2つです。
- 社内で新規事業を始める
- M&Aで既存事業を買収する
新規事業を行う目的やメリット・デメリットを理解しても、具体的にどのように新規事業を始めるべきかわからない方も多いでしょう。
新規事業を始めるには代表的な方法が2つあります。それぞれの特徴を踏まえ、自社に合った方法を選びましょう。
1.社内で新規事業を始める
新規事業を始める方法の1つ目は「社内で新規事業を始める」です。明確な定義はありませんが「社内ベンチャー」と呼ぶこともあります。
社内で新規事業を始めることで、社内の資金や人材を活用できるため、スムーズに事業を始められるでしょう。また、社員の育成にも繋がります。
さらに、会社の知名度を活かせるのもメリットです。既存の取引先に新規事業を始めたことをすぐに伝えられるため、新規事業の認知度向上もスムーズに行えます。
子会社を作る
社内の資金や人材を一部活用しながら、子会社を作って新規事業を行うケースもあります。
子会社を作る主なメリットは以下のとおりです。
- 新規事業に責任感が生まれる
- 税制優遇を受けられる可能性がある
- 親会社のブランドイメージに影響を与えない
社内で新規事業を立ち上げるよりも、子会社を作り新たな社長を据えて事業を開始したほうが、新規事業に責任を持って取り組めるでしょう。
また、資本金1,000万円未満の子会社を作ることで、一定期間消費税の免税事業者として事業を行えます。
そして、最も大きなメリットが親会社のブランドイメージに影響を与えないことです。親会社と全く異なるビジネスを展開する場合、親会社のブランドイメージをダウンさせる可能性があります。
反対に、新規事業も親会社のブランドイメージに引っ張られ、サービスが浸透しないこともあるでしょう。
このように、子会社を作ることで、良くも悪くも親会社とは別会社として事業が行えます。
2.M&Aで既存事業を買収する
スピード感を持って新規事業に取り組みたい場合は、M&Aで既存事業を買収する方法があります。
すでに技術力やノウハウが整っている既存事業を買収することで、新規事業にかかる費用や時間を削減可能です。
一から人材の採用やサービスの開発を行うのは、会社の色を出せる一方で、多くの費用と時間がかかるため、新規事業を始めるタイミングを逃してしまう恐れがあります。
ビジネスはタイミングも重要であるため、早く新規事業を始めたい場合はM&Aを検討しましょう。
新規事業を始めるプロセス
新規事業を始めるプロセスは以下のとおりです。
- 市場のニーズを調べる
- 商品やサービスを考える
- 事業計画を立てる
新規事業は勢いだけでスタートしても上手くいく可能性は低いでしょう。市場のニーズや競合他社の商品・サービスを調べたうえで、具体的な事業計画を立てることが必要です。
市場のニーズを調べる
新規事業を始める際には、まず市場のニーズを調べましょう。
顧客がどのような課題を抱えているのか、どのようなサービスを求めているのかを明確にすることで、市場ニーズに合った商品・サービスを提供できます。
市場ニーズの調べ方は様々ですが、既存顧客へのアンケートやインタビューを行っている企業も多いです。また、専門業者へ市場調査を依頼することで労力を抑えることができるでしょう。
ここで注意しなければならないのは、やりたいビジネスをやるのではなく、求められているビジネスをやることです。
市場ニーズのない商品やサービスは作ったとしても売れません。事業への投資を無駄にしないためにも、まずは市場のニーズを調べる必要があります。
商品やサービスを考える
市場ニーズが明確になった後は、具体的な商品やサービスを考えましょう。
既存事業で対応しきれない部分は、新たに人材を雇ったり、設備を整えたりする必要があります。
なお、商品やサービスで重要なのはコンセプトです。コンセプトとは概念という意味ですが、ビジネスでは枠組みや骨組みといった意味合いで使用されます。
コンセプトが明確でないと、何かいいサービスや案が思い浮かんだ際に、あれもこれもと一貫性がなくなってしまうでしょう。
コンセプトが明確になることで、事業に一本の軸が生まれ、顧客に対して的確なサービスを提供できます。新規事業の方向性を定めるためにも、まずはコンセプトを明確にして、商品やサービスを考えましょう。
事業計画を立てる
商品やサービスが決まった段階で、具体的な事業計画を立てましょう。
事業計画に重要なポイントは以下の3つです。
- 事業スケジュールを立てる
- 資金計画を立てる
- 個別プランを作成する
まずは事業開始までに何をするか、事業開始から何年間でいくらの収益を目指すかなど、事業のスケジュールを立てましょう。
そして、事業スケジュールを踏まえて、投資金額や資金の調達方法、返済計画などの資金計画を立てます。資金繰りが回らなくなると事業そのものが立ち行かなくなる恐れがあるため、念入りな計画が必要です。
最後に「誰が」「いつまでに」「何をするか」といった個別プランを立てましょう。個別プランを立てることで、一人ひとりのやるべきことが明確になり、事業がスムーズに進みます。
新規事業を始める際に考えるべきこと
新規事業を始める際に考えるべきことは以下のとおりです。
- 新規事業を始めるタイミング
- 撤退ライン
- リソースの確保
新規事業は攻めの姿勢も重要ですが、どのような状態になったら撤退するかなど、守りについても考えておく必要があります。
前のめりになって考えるだけでなく、一歩引いた視点から冷静になって考えてみましょう。
新規事業を始めるタイミング
新規事業を始める際にはタイミングを見極めましょう。
万全な事業計画を立てたとしても、始めるタイミングを誤ると事業は失敗してしまう恐れがあります。
競合他社よりも早く開始することで先行者優位が働きますが、右も左もわからないため、常に試行錯誤しなければいけません。
一方で、後続で始める場合は多くの企業を参考にできますが、競合も多く熾烈な競争に巻き込まれる可能性があります。
市況や顧客ニーズは日々変化するため、適切なタイミングを見極めて参入しましょう。
撤退ライン
事業を始める際には、事前に撤退ラインを明確にしておきましょう。
撤退ラインを明確に定めておかないと、計画通りに事業が進まなかった場合に、赤字を膨らませてしまいます。最終的には「倒産」という結果になる恐れもあるでしょう。
新規事業を始める際には初期投資が必要なため、どうにかして投資した資金を回収しようと冷静な判断ができなくなることがあります。
投資した金額にかかわらず、冷静な判断ができるように事前に撤退ラインを決めておきましょう。
具体的には「いつまでにいくらの収益を上げるか」「投資の上限はいくらまでにするか」「撤退最終判断はどのように行うか(合議・トップダウンなど)」を決めておくことが重要です。
リソースの確保
新規事業を始める際には事業に適した人手と時間、資金などリソースの確保が重要です。
事業が軌道に乗るまでは、労働時間と割にあわない成果しか得られないこともあるでしょう。場合によっては社員に過度な負担をかけてしまう可能性もあります。
一方で、社員の負担をかけないように多くの人材を確保しようとすると、今度はランニングコストが上がり、事業として成り立たなくなるでしょう。
もちろん既存事業にもリソースを割く必要があるため、既存事業の影響度にも配慮した、リソースの確保とすべきです。
新規事業のメリットを理解して事業を拡大させよう
新規事業は企業が持続的な成長をするために必要なものです。
同じ事業だけ続けていても、サービスのマンネリ化や新規企業の参入によって、企業経営は徐々に苦しくなるでしょう。
そのため、企業として衰退期を迎える前に、新規事業を展開して新たな仕組みを作る必要があります。
本記事で解説した新規事業のメリットを理解し、適切なプロセスを踏んで、新規事業を展開させましょう。
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