ブルーオーシャンの見つけ方を解説!知っておきたい新規事業の進め方
目次
ブルーオーシャンとレッドオーシャンの関係性
企業経営戦略を立てる際に知っておきたいのが、ブルーオーシャンとレッドオーシャンの関係性です。競合企業がおらず市場の独占を狙えるブルーオーシャンと、既に活発な競争が繰り広げられているレッドオーシャンは、相対的な市場の状況を表します。
しかし、実際にはレッドオーシャンの中からブルーオーシャン市場が発掘されるケースもあり、完全に対立関係にあるとはいえません。企業戦略を立てる基本的な知識として、ブルーオーシャンとレッドオーシャンについて詳しく知っておきましょう。
ライバルの少ないブルーオーシャン
ブルーオーシャンとは、ライバル企業の存在が少ない、あるいは全く未開拓の市場で、シェアを独占できる可能性が高い状態を指します。元々は、敵のいない穏やかな青い海に由来した言葉です。
実際の青い海で生存競争が活発でないのには、ブルーオーシャンに生き物が必要とする栄養素が少ないことが関係しています。つまり、未開発な環境ではあるが、上手く適応すれば大きな利益を得られる可能性があるのが、ブルーオーシャンです。
競争の激しいレッドオーシャン
一方のレッドオーシャンは、競合他社がひしめき合っており、厳しい生存競争が繰り広げられている市場を意味する言葉です。赤という色が、争いによる「血」をイメージすることから、この名が定着していったという説もあります。
既に新規参入の隙が無いほど飽和している市場でありながら、まだまだ激しい競争が続いているのがレッドオーシャンです。ブルーオーシャンとは全く逆の状況であることが、イメージできるでしょう。
両者は完全に対立しているわけではない
ブルーオーシャンとレッドオーシャンは、相対する市場の状況を表す言葉ですが、常に対立している関係ではありません。1つの企業が見つけ出したブルーオーシャンであっても、高いニーズがある市場だと認識されれば、後を追うように参入する企業が出てくるのは一般的です。
つまり、始めはブルーオーシャンであった市場でも、時間の流れとともにレッドオーシャンに変わる可能性があります。反対に、一見参入のチャンスがなさそうなレッドオーシャンの中にも、ニッチなニーズに着目すればブルーオーシャンを見つけられるでしょう。
このように、ブルーオーシャンとレッドオーシャンは対立した関係でありながらも、状況によって影響し合いながら存在しています。
ブルーオーシャンを見つけるメリット
新規事業を始める際に意識しておきたいのが、ブルーオーシャン市場です。ブルーオーシャンを見つけることの主なメリットを2つご紹介します。
- 市場を独占できる可能性が高い
- 高いニーズが存在する市場に参入できる
ブルーオーシャンには、掘り起こされていないニーズが眠っている可能性があります。将来性のあるブルーオーシャンを見つけられれば、その市場で強い力を発揮できるでしょう。
市場を独占できる可能性が高い
自分たちでブルーオーシャンを見つけることができれば、市場を独占できる可能性が高まります。ブルーオーシャンには、幅を利かせている競合他社が存在しません。
先駆者として未開発の市場を開拓していく大変さはありますが、追随する企業が参入してくる頃には、比べ物にならないくらいの実績とノウハウが蓄積されているはずです。ブランド力を高めるという意味でも、どこよりも早く市場に参入していたという実績が有利に働くでしょう。
高いニーズが存在する市場に参入できる可能性がある
ブルーオーシャンの発見は、高いニーズのある市場に参入できる可能性を意味します。
大きな可能性を秘めた市場に人々の関心が集まっており、既にお金の流れがある状態が、ブルーオーシャンの特徴だといえます。特にレッドオーシャンの近くにある、達成されていないニーズに着目することで、将来有望なブルーオーシャン市場を見つけられるでしょう。
コンビニはその典型的な例で、小売業界というレッドオーシャンの中で「営業時間」や「立地」「商品展開」などに特化してブルーオーシャンを発掘しました。
ブルーオーシャンを見つけるにはイノベーションが必須
可能性を秘めたブルーオーシャンですが、誰にでも簡単に見つけられるものではありません。これまでのやり方や戦略を続けている場合は、ブルーオーシャンに出会える可能性も高くないでしょう。
そこで、ブルーオーシャンの発見に必要とされているのがイノベーションです。新しい発想や取り組みがどのようにブルーオーシャンとつながるのか、国際機関のOECD(経済協力開発機構)が提唱する「オスロ・マニュアル」のイノベーション4つの方針に絡めてご紹介します。
イノベーション4つの指針
オスロ・マニュアルに示されている、イノベーションの4つの指針は以下のとおりです。
- プロダクト・イノベーション:新商品の開発によって他社との差別化を図る
- プロセス・イノベーション:新たな製造方法の導入によって、コストを削減し優位性を確保する
- 組織イノベーション:革新的な組織や制度を作り利益を上げる
- マーケティング・イノベーション:商品の売り出し方法を工夫し利益拡大を図る
イノベーションは、1つの側面だけで達成されるのではなく、複数が組み合わさることで大きな効果を生み出します。例えば、画期的な新商品が登場しても、販促方法を間違えればヒットの期待はできません。
また、イノベーションは既存のコンテンツを改良したり、元々あるサービスを掛け合わせたりする形でも達成できます。ブルーオーシャンを見つけるためには、今ある状況を変えようとするイノベーションの意識が求められるのです。
ブルーオーシャンの見つけ方7つのコツ
メリットの大きいブルーオーシャンを見つけるには、次の7つのコツを試してみてください。
- 新しい事業に挑戦する
- トレンドを調査する
- 付加価値を見直す
- 他の企業から学ぶ
- 顧客ニーズの徹底分析をする
- 削れる部分を探す
- ターゲット層を変えてみる
先にも解説したとおり、ブルーオーシャン市場を見つけるには、イノベーションが必須です。これまでのやり方に捉われず、新しい一歩を踏み出す姿勢が欠かせません。
ご紹介するコツを実践すれば、これまでとは違った視点でブルーオーシャンを見つけられる可能性が高まるでしょう。
1.新しい事業に挑戦する
ブルーオーシャンを見つける方法として、まず基本となるのが新規事業に挑戦することです。これまでとは違った道を模索しながら進めるため、実際に経験する中で新たに気付くことも多いでしょう。
第1段階として、取り組んでみたい事業をザっとリスト化してみるのがおすすめです。この時点では、レッドオーシャンである分野が含まれていても構いません。
レッドオーシャンの周辺ニーズを見逃さないようにすれば、新たなブルーオーシャン市場を見い出せる可能性があります。次にご紹介するポイントを意識しながら、新規事業を構想してみてください。
- ニーズの変化
- 商圏
- 提供料
- 提供時間
- 社会の流れ
2.トレンドを調査する
トレンドは、ブルーオーシャンとも深い関係があります。トレンド調査をしっかりと行うことで、レッドオーシャン化していない市場を見つけられるでしょう。
例えば、国内だけではなく世界的なトレンドに注目してみるのも効果的な方法です。これまでにも、SNSツールや民泊予約サイトなど、海外で注目が高まっていたサービスが、後に日本に流入しているケースが多くみられます。
世界的なトレンドを参考に日本の将来を想像することが、ブルーオーシャンを見つけ出すカギとなります。
3.付加価値を見直す
新しい付加価値を付けて商品を売り出すことも、ブルーオーシャンを見つける方法の1つです。これまでとは違った付加価値をプラスできれば、既存顧客へのアピールだけではなく、新規ターゲット層の獲得が狙えます。
例えば、顧客管理データシステムの一般的な機能に追加して、「マーケティング」要素を強化した商品にアップグレードさせる場合です。管理している顧客情報を利用して、適切な時期に顧客をフォローアップする内容のメルマガやDMを自動送信できる機能を追加しました。
これまで顧客管理を自動化による手間の削減にとどまっていた顧客管理システムが、マーケティング機能を追加することで他社製品と差別化され始めます。付加価値を見直すことで、ブルーオーシャンに気付ける可能性があるでしょう。
4.他の企業から学ぶ
ブルーオーシャンを見つけるには、同じニーズに向き合っている競合他社を研究するのも有効です。競合他社は直接競合と、間接競合に分けられます。
直接競合とは、自社と同じような商品や方法で商品を提供している企業のことです。反対に間接競合とは、取り扱う商品やサービスは異なるものの、結果的に同じニーズを満たしている企業を意味します。
ブルーオーシャン探しの際には、間接競合に着目することで、新たな視点から事業を見直すきっかけとなるでしょう。
5.顧客ニーズの徹底分析をする
顧客ニーズの分析は、ブルーオーシャンを見つける際に欠かせないステップです。ブルーオーシャンは、顧客のニーズと深い関係をもっています。
自社が考えているニーズと、実際の市場ニーズが一致しているか、隠されたニーズは存在しないかなど、顧客ニーズを細かく分析・検討するようにしましょう。求められるものをしっかり提供できてはじめて、ブルーオーシャンを発見することができるのです。
参入後に調査不足で失敗してしまうことがないように、事前のニーズ分析には力を入れて取り組むことをおすすめします。
6.削れる部分を探す
ブルーオーシャンは、新しい商品やサービスの創造や付加価値の追加によってのみ見つかるものではありません。今あるものから、必要のないサービスを削り取ってシンプルにするのも手です。
当たり前となっている商品やサービスを見直し、過剰なサービスを取り払うことで、シンプルな新しい商品へと生まれ変わります。既存市場はレッドオーシャン状態でも、シンプル化させた分野はまだブルーオーシャンである可能性もあるでしょう。
過剰なサービスを見極める際にも、市場のニーズを反映させることが大切です。ニーズを満たせる機能やサービスは残しつつ、新たな可能性を生み出せる道を探す様にしましょう。
7.ターゲット層を変えてみる
ターゲット層を変えることで、ライバルの少ないブルーオーシャンが開ける場合もあります。市場が飽和状態であると、企業同士の立場を大きく変えることが難しく、革新的なアイディアも生み出されにくくなるでしょう。
そこで、思い切ってターゲット層を変更すると、新しい市場では高いシェアを握れる可能性が出てきます。例えば、これまでお金に余裕のある中年層男性のオーダーメイドスーツを扱っていたとしたら、ターゲット層を20代にしてみましょう。
量産型のスーツとは違ったクオリティーの高さが、差別化のポイントです。身体にフィットするこだわりのスーツであれば、少しお金を使っても1着持っておきたいと思ってもらえる可能性があります。
ターゲット層の変更は、大きな転換が必要とされる方法ではありますが、これまで見えてこなかったブルーオーシャンを見つけるのに有効です。
ブルーオーシャン戦略の注意点
上手く利用できれば、大きなビジネスチャンスとなり得るブルーオーシャン戦略ですが、以下の注意点は認識しておくとよいでしょう。
- 模倣される可能性がある
- 生き残りにはマーケティング戦略が重要
ブルーオーシャンを見つけて、自分たち独自のビジネスを展開したいと考えている企業は多いです。そんな熾烈な戦いを生き抜くためには、ブルーオーシャンの知識を付けたうえで、注意点も認識しておく必要があります。
ブルーオーシャン戦略を実践する際の注意点を解説します。
模倣される可能性がある
せっかく見つけたブルーオーシャン市場も、穏やかな状況が長く続くとは限りません。そこに利益を生み出すニーズが存在している限り、競合他社が続々と同じような戦略を使って参入してくる可能性があります。
ブルーオーシャンを見つけた企業は、スタートダッシュに成功している状態です。他の企業が模倣をする前に、いかにシェア率を固めることができるかが問われます。
簡単に真似ができるようなサービスで事業をスタートさせた場合、事業開始の際のコストや手間はかかりませんが、長期的な利益を上げるのは難しいでしょう。独自の技術やノウハウを駆使して、他社が模倣できないところまでクオリティーを高めることが有効です。
また、先駆者であるメリットを活かして、できるだけ早くブランド力を強めることも忘れてはいけません。「この分野ではこのブランド」というイメージを築くことができれば、その後他社が参入してきた場合でも顧客離れを防げるでしょう。
生き残りにはマーケティング戦略が重要
ブルーオーシャンを見つけた後は、マーケティング戦略を駆使して自社の立場を守る必要があります。どんなに良い製品を作り出したとしても、売り出し方の戦略が定まっていないと、安定的な売り上げアップは達成できないでしょう。
ブルーオーシャンでよく用いられるマーケティングフレームワークを、2つご紹介します。
- 戦略キャンバス:業界の競争要因を洗い出し、ニーズを明らかにする
- アクション・マトリックス:「取り除く」「増やす」「減らす」「付け加える」のアクションを用い新しい価値の創造を検討する
これらの分析はブルーオーシャンを見つけてからも、継続的に行うことが大切です。常に成長を続ける姿勢が、ブルーオーシャンでの生き残りに影響を与えます。
ブルーオーシャンの見つけ方をマスターしよう!
ライバルが少なく、大きなビジネスチャンスとなり得るブルーオーシャン。新しい市場を開拓するには、これまでのやり方を見直し、イノベーションを起こすことが欠かせません。
ブルーオーシャンはレッドオーシャンの付近で見つけられる場合も多いため、顧客ニーズを正しく把握しサービスの改良や修正を加えることで道が開ける可能性があります。いちからの新分野進出が難しい場合は、今あるものを見直し、付加価値を与える方法を考えてみましょう。
ブルーオーシャンを発見したからといって、安心はできません。続いて参入してくる競合他社を意識し、いかにブランド力を高めシェアを確保できるかが大切です。
ご紹介したブルーオーシャンの見つけ方を参考に、自社ならではのやり方を模索してみてください。
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