開業費として扱えるのはいつまでに使った費用?範囲は?

開業費として扱えるのはいつまでに使った費用?範囲は?

目次

  1. 1.開業日っていつ?
  2. 2.パソコンは?家賃は?開業費にカウントできる買い物の範囲
    1. 開業費に含まれる範囲
    2. 開業費として認められない項目
  3. 3.いつまでに使ったお金が「開業費」として扱えるのか?
    1. 会社の場合
    2. 個人事業の場合
  4. 4.開業前でも経費になる可能性があるなら領収書を残そう!
  5. おわりに

開業するためには、多くのお金が必要になります。個人的な負担は避けたいですから、できるだけ必要経費として処理したいところでしょう。しかし、いつまでの、何に使ったお金であれば「開業費」として扱えるか、悩むことも少なくないと思います。
そこで今回は、開業費に含められる費用の内訳と、開業費として扱える適用期間についてご説明いたします。

1.開業日っていつ?

法人の場合は、法務局で会社設立の登記をして初めて「設立」となります。登記を申請した日が登記簿の「会社成立の年月日」の部分に記載されるので、設立の日は公的に証明されるわけです。

個人事業の場合は、公証人役場で定款の認証や法務局での登記などは必要ありません。
公的に証明された開業日は存在しません。つまり、自分が開業しようと思ったら開業です。飲食店の場合は、店舗がオープンした日を開業日にすることが多いでしょう。

2.パソコンは?家賃は?開業費にカウントできる買い物の範囲

開業するために準備した物品は、基本的に開業費の対象として扱えます。しかし購入金額などによっては、開業費として処理できない場合もあるのです。

開業費に含まれる範囲

以下のものは、基本的に開業費の範囲に含まれます。

  • 事務所として使う物件を探すために要した費用
  • 事務所の家賃および光熱費(個人事業主)
  • 文房具など各種備品類(消耗品)
  • 電話やインターネットなどの通信費
  • 宣伝活動のための広告費(チラシやホームページの作成費など)
  • スタッフの給料や保険関係の費用

その他に、打ち合わせの際にかかった交通費や飲食代も開業費に含められます。開業するために必要になった物品の購入であれば、経費として計上できるわけです。

開業費として認められない項目

開業するために購入した場合でも、金額が「10万円以上」の備品は「固定資産」として扱われます。作業に欠かせないなど正当な理由があっても、パソコンなどの高価な機械の購入にかかった経費は、基本的に開業費として認められません。

一方、商品の仕入れ代金は、「売上原価」として扱う必要があります。広い意味では商品がなければ営業を開始できませんが、商品を仕入れる目的は販売して利益を売るためと見なされるからです。
また敷金・礼金も、開業費には含まれません。

通常、敷金は戻ってくるため出費したことにはならず、開業費として計上することはできません。
礼金は戻ってきませんが、数年にわたって効果があるため、開業費ではなく繰延資産として計上する必要があります。

3.いつまでに使ったお金が「開業費」として扱えるのか?

開業までに使ったお金を開業費として扱える期間は、会社か個人事業かによって若干の違いがあります。

会社の場合

会社を設立する場合、定款の作成費や登記を申請するための登録免許税、あるいは会社設立のために借りた事務所の家賃などが発生します。
これらは、「創立費」です。
それに対して、登記完了後から営業開始までにかかった出費が「開業費」になります。
この期間内に「特別に支出した費用」が開業費と定義され、これらに含まれるのが各種の広告費や、印鑑・名刺の作成費などです。

個人事業の場合

個人事業の場合、会社と違い開業費について定義されていません。理屈のうえでは、何年前の出費でも開業のための支出であれば開業費として処理できます。
しかし、実際には、物品購入が開業から何年も前までさかのぼると不自然です。
新規独立のために5年前から事務机や文房具類を購入するとは考えにくいため、その費用を開業費として計上しても税務署は納得しないでしょう。
通常は、数カ月~半年前までが一般的と考えられています。

4.開業前でも経費になる可能性があるなら領収書を残そう!

開業前、出費によっては経費にできるか迷うこともあると思います。
その場合、開業費として認められる可能性があると考えた方が賢明です。

開業に向けた出費を開業費として計上するため、物品を購入した際などは必ず領収書を入手しましょう。その支出が申告時に開業費として認められた場合、領収書があれば証拠として添付できるからです。

同時に、開業のための支出は個々に帳簿付けしておくことが望まれます。
事業を始める際には多くのお金が必要になりますから、少しでも経費として計上できた方が良いでしょう。
開業準備に忙しい中では手間に思えるかもしれませんが、申告時に備えてきちんと帳簿を付け、領収書も保管しておくことが賢明です。

おわりに

開業のために購入した物品は、基本的に開業費の範囲に含めることができます。
適用期間の規定は、会社であれば登記が済んだ後から開業までです。
個人事業は決まりがありませんが、常識的に考えて開業の数カ月前からと捉えておきましょう。少しでも多くの支出を経費に含めた方が節税にもなりますので、出費の際には、帳簿付けと領収書の保管をおすすめします。

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