店舗を借りるときの保証金はどれくらい準備すればいい?相場はどれくらい?
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これから飲食店などの開業を考えていて、店舗を契約する多くの場合は物件を借りて商売を始めることがほとんどです。出店をするためには何かとお金が必要になりますが、その中でも大きな割合を占めるのが物件を借りるために必要な「保証金」です。
この保証金はどれくらいが相場なのでしょうか? また、何かと黒い噂が立たない不動産業界ですが、不利な契約を締結しないためにはどのような注意点があるのでしょうか?
今回は、出店時に必要な保証金やそれに関連する注意点について解説していきたいと思います。
そもそも保証金とは?
そもそも保証金とはどのようなお金なのでしょうか? 少し難しい表現をすると、保証金とは「賃借人が賃貸人に対して負う債務リスクの保証担保」のことです。わかりやすく言うと、賃料の滞納が発生した場合に滞納分を負担するために、事前に受け取っておくお金ということになります。
つまり経営不振などを理由に賃料を支払えなくなった場合にその保証金から賃料を引くことで債権を回収するためにあるものです。
店舗の保証金の相場は賃料の10ヶ月分
さて、そんな保証金の相場は一般的には賃料の10ヶ月分であると言われています。しかし、これは物件によっては様々です。様々な店舗が乱立して、倒産していくような場所に物件がある場合は、倒産リスクが高いため保証金が高めに設定されることもあり、相場の2倍である20ヶ月分の保証金が必要になるケースもあります。
保証金のそもそもの目的は、未払いリスクを抑えることですから、倒産のリスクが高いと保証金が高くなるのは必然であると言えるでしょう。一般的な住居と比べて賃料が高い店舗用の物件は、このように高額な保証金が必要になるケースがほとんどです。
また、特に飲食店用の物件の場合は火災のリスクや破損のリスクも大きいため、保証金が高額になることもあります。どういうことかというと、一度飲食店として利用された物件は匂いがついたり汚れがついたりしますから、それだけ物件の価値が下がってしまいます。スケルトン物件の場合は賃貸契約を解約するときに「スケルトン戻し(物件を利用前の状態に戻すこと)」をする必要がありますが、飲食店はそれが十分なスケルトン戻しができなくなるリスクもあります。
これを大家さんがお金を支払って戻す必要が出てきた場合に余計なお金がかかってしまいますから、それを保証金から差し引く場合もあるのです。
また、飲食店は開業から1年以内に40%近くが廃業に追い込まれると言われています。オーナーが破産してしまい、債権を踏み倒したり廃業時の資金不足からスケルトン戻しができない場合にはこの保証金を元手にスケルトン戻しを行ったりするのです。
契約時に注意しておきたい、償却金とは
さて、以下では賃貸契約にあたって、物件を借りる皆さんが注意しておきたい「償却金」についてご紹介していきます。
償却金とは、「商売の場所として利用する上で、ある程度の破損などが出るだろう」と考えられて予め年間で保証金の○%をその修繕費に当てることを目的として回収される保証金です。
基本的に保証金は償却されずに解約時に返金されるものですが、契約内容によっては保証金が償却されてしまう可能性もあります。つまり、解約時に帰ってこないお金が生まれてしまうということです。
具体的には以下のような表記に注意しておきましょう。
『解約時に○%を償却』
解約時に償却ということは、賃貸契約を解約するときに保証金から○%の金額は返還されないということです。言ってしまえば解約手数料みたいなものですね。
基本的に店舗用の物件だとしても滞納などがなければ保証金は全額返金されます。賃料の安さに惹かれて契約したとしても、このような部分でお金が取られることもありますので、保証金がどのように返却されるのかということについては契約時にチェックしておきましょう。
『年○%を償却して契約更新時に費用を充填』
このような表記がされている場合は、借りている間に保証金の○%が償却されることになります。償却された保証金は返ってくることはありませんし、さらに契約更新時にその費用を充填する必要がある―—つまり、更新があるごとに保証金の○%の金額を支払う必要があるということになります。
これも店舗物件の契約で不利な契約の1種類ですので、納得できる理由がない場合は契約しないようにしたほうが良いでしょう。
不動産会社の中にはこういった保証金の償却によって利益を出そうとする会社もありますので、注意が必要です。
まとめ
保証金は基本的に大家さんのリスクを低減するためにあるものですので、不動産会社が利益を出すためのものにあるのではありません。これを悪用されないためにも、少しでもおかしな点があったときには「なぜ保証金が償却されるのか?」「なぜ保証金が高額なのか?」という理由を確認するようにしておきましょう。知識を持っておくことで、保証金の金額を交渉することができるかもしれませんし、有利な条件に持っていくことができるかもしれません。
まとめると、以下の通り。
- 店舗の賃貸物件の保証金は10ヶ月が相場
- 保証金が償却されるなどの契約内容になっていないか注意しよう
- 保証金が高額に設定されることもあるが、納得できる理由かどうかは確認しておこう
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