営業許可の保健所の許可はどのように進むのか?
目次
これから飲食店を開業しようと考えている人は、必ず「飲食店営業許可」というものを取得する必要があります。この飲食店営業許可を取得せずに飲食店を運営すると、無許可営業として法律で厳しい罰則を受けることになってしまいます。
では、営業許可を申請するためにはどうすれば良いのでしょうか? 今回は、保健所で営業許可を取得する手順を解説していきたいと思います。
1. 事前相談
開業準備に追われていると、「事前相談だなんて煩わしい」と感じてしまうかもしれませんが、開業準備を進める前に必ず最寄りの保健所に事前相談をしにいきましょう。
この事前相談は、飲食店を開業する場所が決まった段階でその地域の管轄する保健所に行くようにしてください。なぜなら、地域によって独自のルールや基準があったりするため、インターネット上で仕入れた情報だけでは許可が得られない場合もあるからです。
また、多くの方は物件を借りてから店舗の改装工事を入れることになると思いますが、必ず改装工事を入れる前に保健所に相談しにいきましょう。店舗の構造上どうしても保健所から許可が降りないケースも考えられるためです。
改装工事が完了してから再度改装工事を入れることになると、経費が嵩んでしまい、資金不足に陥る可能性もあります。飲食店は開業から1年で4割が廃業すると言われていますが、その多くは資金不足によるものです。少しでも資金に余裕をもたせるために、浪費をしないように事前相談に行きましょう。
2. 食品衛生責任者の資格を取得する
次に、飲食店の営業をするためには食品衛生責任者という資格を取得する必要があります。調理師免許を持っている方は、わざわざ新たに取得しにいく必要はありませんが、そうでない場合は代表者が講習会に参加して食品衛生責任者の資格を取得することが通常です。
予め従業員を雇用する予定があり、その人が資格を持っていたとしても、従業員が辞めてしまうと営業できなくなってしまいますから、代表者が資格を取得しておくほうが安心できます。
食品衛生責任者の資格は月に数回行われている講習会に1日参加するだけで取得することができますので、事前相談のときに講習会の開催日を確認して予約を入れておくと良いでしょう。
3. 書類の準備
飲食店営業許可はお役所から降りるものですから、それなりに面倒な手続きが必要になります。具体的には以下の書類を用意する必要があります。
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 登記事項証明書
- 水質検査成績書
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(調理師免許でも可)
※水質検査成績書は、貯水槽や井戸水を使用する場合のみで公共の水道水を使用する場合は不要
また、これとは別途許可申請手数料が必要になりますので、手数料がいくらになるのか事前に確認しておきましょう。通常1万円程度であることが多いです。
4. 営業許可申請
書類の準備が完了したら営業許可を申請します。
改装工事が完了してからすぐにでも営業を開始することを考えると、営業許可を申請するタイミングは、改装工事が完了する2週間前程度に行うと良いでしょう。営業許可が降りるまでは営業することができませんし、改装工事が完了するまでは審査をしてもらうことができませんので、日程調整のことを考えて2週間前くらいに申請するのが理想です。
5. 施設の確認検査
営業許可申請をすると、保健所から立会検査の日程候補をもらうことになります。いずれかの日程で立会検査を行います。通常は営業許可申請者が立ち会うことになります。
保健所にもよりますが、事前相談のタイミングで注意事項や要件は施設図を見て教えてもらうことができるので、そのポイントを特に注意して立会検査に臨みましょう。
ここで施設基準に適合しなかった場合は改善点が担当者から言い渡され、後日再検査することになります。再検査になってしまうと再度日程調整から始まってしまうため、予定よりも開業日が遅れることになってしまいますので注意しましょう。
6. 営業許可の交付
検査の結果、施設基準が保健所の基準に適合していた場合に営業許可書の交付予定日が告げられます。交付までに1週間〜2週間程度要することもありますが、営業許可書がなければ開業することができませんので辛抱強く待ちましょう。
衛生管理システムの導入にも気をつけよう
2018年の6月に食品衛生法の改正があり、原則として食品業界に携わる事業者は事業規模に問わずHACCPという食品衛生管理のシステムを導入することが義務付けられました。
小規模な店舗の場合は厳重にHACCPシステムを導入しなければならないわけではないですし、新たに資格を取得しなければならないわけではありませんが、法律によって義務化されたことですので、「HACCPに取り組む必要がある」という知識だけは持っておきましょう。
HACCPシステムを導入していなければ、営業許可を剥奪されたり、罰金をとられたりするリスクもありますので、HACCPとは何か、具体的に何をしなければならないのかということについては勉強しておくようにしましょう。
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