データで見るシニア起業の年収と改善点
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最近、50代、60代のシニア起業が増えています。しかし、40年以上も会社員をしていた人が、一念発起して起業するというのは簡単なことではありません。どんなに小さくても起業をすれば一国一城の主です。サラリーマン時代の意識のままでは成功は望めないでしょう。
「会社員時代には味わえなかったやりがいを感じる」という人がいる一方で「ブームに乗ってシニア起業して見事に失敗した」という人もいます。いったい、何が明暗を分けるのでしょうか。日本政策金融公庫総合研究所の調査データを元に分析しました。
シニア起業って儲かるの?
中小企業白書2014年版によれば、起業家の中で最多の年齢層は60歳以上で、全体の3割を占めています。30年ほど前と比較して、シニア起業の割合は約4倍にも膨れ上がっているのです。確かに最近ではシニア起業に対する支援も増えています。日本政策金融公庫では55歳以上のシニア起業家に特別優待金利で最大7,200万円を融資、その他、国や自治体による補助金制度も次々と打ち出されているのです。
しかし、シニア起業が儲かっているかというと、疑問といわざるを得ません。日本政策金融公庫総合研究所の2016年度調査によれば、シニア起業の43.9%が赤字です。黒字に転じるまで長い時間がかかることもめずらしくありません。さらに、黒字になった後も、売上の20%を利益と考えると、平均月収は60万円程度、おそらく会社員時代の月収には劣る計算です。
シニア起業の問題点
実際、シニア起業でも若手起業でも、月商500万円以下の起業の割合はさほど変わりません。しかし、なぜシニア起業の赤字率が高いのかというと、経費削減に対する努力があまり見られないのが一因と考えられます。
55歳以上は資金調達額も多く、潤沢な資金を無駄遣いしている傾向が見られます。余裕のある大企業での習慣が抜けない人も少なくないからでしょうか。シニア起業をするならば安定企業の一員だったことは忘れ、つねに危機感を持って経営管理していく姿勢が大事です。
新しく学ぶ努力も必要
シニア起業はとかく危機感をなくしがちです。貯金や退職金が手元にあり、もし起業が上手くいかなくても痛手ことも一因でしょう。また、長年、企業で管理職を務めていた人などは「頭を下げてわからないことを誰かにたずねる」といったことは、プライドが邪魔をするかもしれません。しかし、もしシニア起業をするならば、新しいことを積極的に学ぶ努力も欠かせません。かつてどんなに偉い立場にあったとしても、もう一度新人からやり直すぐらいの謙虚さが必要なのです。
また、日本政策金融公庫総合研究所の2012年度調査によれば、シニア起業家は他の年代の起業家と比較して予想月商達成率が低いのも特徴的です。自分の実力以上の甘い見立てをしがちな上に「目標を何が何でも達成する」というガッツが足りないということです。もちろん、若い頃のように無理をして体を壊してしまっては元も子もありません。しかし、実現可能な目標を立て、それに向けてあらゆる努力をするというビジネスの基本も大事にしたいところです。
まとめ
シニア起業が一種の流行にもなっている昨今です。補助金制度なども増え、誰にでもチャンスがあるともいえます。しかし、サラリーマン時代の意識のままでは失敗は目に見えています。起業家としての自覚をしっかりと持つようにしましょう。
しかし、それは社長として尊大にふるまうということではありません。むしろ、自分よりも遥かに若い人に頭を下げたり、わからないことは教えを乞う謙虚さだったりが大事です。たとえ資金がどんなに潤沢でも、つねに危機感を持ちながら経営管理していくようにしましょう。
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