新規事業を思いつかない時のアイデア発想方法とフレームワークを解説
目次
新規事業を思いつかない3つの原因と解決策
新規事業を立ち上げるのは簡単なことではありません。新規事業を起こしたいと考えているのに、具体的な事業の内容を思いつかないという場合もあるでしょう。考えられる主な原因は以下の3つです。
- 目標を高く設定しすぎている
- 常識にとらわれている
- 情報収集や知識が不十分だから
それぞれの原因を詳しく解説するとともに、解決策についても説明します。
1.目標を高く設定しすぎている
目標を高く設定しすぎているために、新規事業を思いつかない場合があります。誰もが思いつかないような画期的な事業でなければならないと考えてしまうと、アイデアはなかなか出てこないでしょう。
斬新な事業はそんなに思いつくものではありません。思いついたとしても、実現が難しいものである可能性が高くなるでしょう。目標をもう少し低く設定するのがコツです。既存のアイデアを少しアレンジするだけで、新しい事業として成立する場合もあります。
ハードルを下げてみるだけで、新規事業のアイデアが浮かぶようになるでしょう。
2.常識にとらわれている
常識にとらわれているために、新規事業を思いつかないというケースが考えられます。特に既存の事業を長くやり続けていると、業界の常識が染みこんでしまい、その常識から抜け出せなくなることがあるでしょう。
「これはこうあるべき」「これをやるのは無理」など、可能性を探る前の段階で、無理だと結論を出してしまうというケースが少なくありません。その常識から離れてみることで、新規事業のアイデアが浮かぶことが期待できます。
新規事業を考える場合には、常識をはずして、柔軟な思考を心がけるといいでしょう。
3.情報収集や知識が不十分だから
新規事業を思いつかない原因の1つとして、情報収集や知識が不十分であることが考えられるでしょう。新規事業のアイデアの発想方法として、すでにある既存の事業を参考にするというものがあります。
既存の事業をアレンジしてみる、他の業態に適応してみるなどのやり方です。しかし、情報収集や知識が不十分である場合は、既存の事業についての知識が乏しくなり、そもそも参考にすべき事業がないということが考えられるでしょう。
また、現状を分析して、課題や足りない要素から、新規事業を考えていくやり方がありますが、この方法も情報収集や知識が不十分である場合には使えません。
新規情報を思いつかない場合には、おおよそやりたいことが当てはまる業界や事業について、情報収集や学習をして知識を身につけるところから始めるといいでしょう。
新規事業を思いつかない時にすべき4つのこと
新規事業を思いつかない場合には、ただ手をこまねいているだけでは解決しません。新規事業を思いつきやすい状況を整えることからスタートすることをおすすめします。まずすべきであると考えられるのは、以下の4つの行動です。
- 自社の既存事業を分析する
- ユーザーのニーズをリサーチする
- 成功事例に学ぶ
- 外部の声を参考にする
それぞれ詳しく解説しましょう。
1.自社の既存事業を分析する
新規事業を思いつかない時には、自社と既存事業の強みや独自性を分析することから始める方法があります。スキルの高い社員がいる、独自のノウハウがある、設備が充実している、独自の販路を持っているなどの強みを活かした事業を展開できないか考えるのです。
既存事業をベースにすると、ゼロからアイデアを練るよりも考えやすくなります。また、実際にさまざまな業務を経験していることからヒントを得ることもできるでしょう。まずは考えやすいところから始めることをおすすめします。
新規事業を展開したいと考えている分野において、競合他社よりも優位に立てるポイントがあるならば、そのポイントから発想を広げていく方法も効果的でしょう。技術力、人材、ノウハウ、設備など、強みを積極的に活用する姿勢が大切です。
2.ユーザーのニーズをリサーチする
ユーザーのニーズをリサーチするところから始める方法もあります。事業とはニーズや課題のあるところから生まれるケースが多いからです。
ニーズに応える、もしくは課題を解消する商品やサービスを提供することを起点として考えると、新規事業のヒントが見つかることが期待できます。
ユーザーとは他人だけではありません。自分自身もさまざまな商品やサービスのユーザーであることを考えると、日頃の生活の中で不便に感じていることが、新規事業のヒントになる可能性もあるでしょう。
3.成功事例に学ぶ
成功事例に学ぶことは、新規事業を考える方法として有効です。成功事例をそのまま真似するのでは二番煎じになってしまいます。しかし、自社に取り入れられる要素があるならば、応用して導入することにより、新規事業を展開する可能性が広がるでしょう。
他社の成功事例に学ぶ際には、何が成功の要因であるのかを分析することも必要です。成功したビジネスモデルを他の業種でも応用できないか、他の商品で活用できないかを考えるなど、応用力も重要なポイントになるでしょう。
4.外部の声を参考にする
社内からのアイデアだけでは新規事業の立ち上げに不十分だと感じている場合は、外部の声を参考にする方法があります。新規事業を考えている分野での知識が豊富な人であるならば、ヒントを教えてくれる可能性があるでしょう。
また、社内の人間とは違う視点が入ることによって、アイデアのきっかけを見つけることができるかもしれません。ユーザーの意見を参考にする、SNSを活用する、コンサルティングを依頼するなど、外部の声の活用の仕方にもいろいろなアプローチがあります。
新規事業のアイデア発想方法
新規事業のアイデア発想方法にはさまざまなものがあります。は多くの企業でよく使われている主な発想方法として、以下の2つがあります。
- 既存のアイデアを組み合わせる
- 社会や個人の課題に注目する
この2つは新規事業だけでなく、さまざまなアイデアを発想する際に当てはまるスタンダードな方法と言えるでしょう。それぞれ詳しく解説します。
1.既存のアイデアを組み合わせる
既存のアイデアを組み合わせるやり方は、アイデア発想法の基本です。アメリカのコピーライター、ジェームス・W・ヤングが1940年に発表した『アイデアのつくり方』という著作の中でも「アイデアとは既存の要素の組み合わせである」と定義しています。
今から80年以上前の本の定義ですが、現在でも有効です。アイデアを生むためのフレームワークでも、組み合わせを活用したものがたくさんあります。新規事業を考えるうえでも、アイデアの組み合わせは基本の手法と言えるでしょう。
2.社会や個人の課題に注目する
社会や個人の課題に注目することから、新規事業のアイデアが生まれて、実際の事業に結びついていくケースは少なくありません。課題の解消とイノベーションの進化が結びつくことで、これまでになかった事業やビジネスモデルが誕生しているのです。
ニューノーマルの時代となり、個人の働き方やライフスタイルが変化してきたことに伴って、社会や個人の課題も変化しています。この変化が新しいビジネスチャンスをもたらすこともあるでしょう。
環境問題や少子高齢化問題など、大きな社会的な課題の解消方法を考えていく過程で、新規事業のヒントが生まれる可能性も大きくなっています。課題に注目して新規事業を考えることは、社会貢献にもつながるでしょう。
社会という大きな視点と個人という身近な視点を持つことにより、新規事業のアイデアを発想しやすくなることが期待できます。
新規事業を思いつかない時に活用したい3つのフレームワーク
ビジネスや学問の分野でアイデアを発想するためのフレームワークが数多く生まれてきました。これらのフレームワークの多くは、新規事業のアイデアを考えるうえでも有効と言えるでしょう。
数多くあるフレームワークの中でも新規事業のアイデア発想に適していると思われるのは以下の3つのフレームワークです。
- スキャンパー法
- マンダラート
- KJ法
それぞれ詳しく解説します。
1.スキャンパー法
スキャンパー法は新規事業のように、多くのアイデアを考えなければならない場合に有効なフレームワークです。スキャンパー法は7つの質問によって構成されており、使いこなすことでアイデアの拡張と量産が可能になります。
7つの質問の内容はSubstitute(代用する)・Combine(組み合わせる)・Adapt(順応させる)・Modify(変更する)・Put to other uses(他の使い方を考える)・Eliminate(削減する)・Reverse/Rearrange(逆転させる/再構成する)というものです。
それぞれの頭文字を取って、スキャンパー(SCAMPER)法と名づけられました。それぞれの質問に答えることによって、発想をずらしたり、広げたりする効果があり、その結果として、新たな発想が生まれることが期待できるのです。
2.マンダラート
マンダラートはデザイナーの今泉浩晃氏が考案したフレームワークで、マンダラートという名前は仏教用語の曼荼羅とアートを組み合わせた造語です。使い方はシンプルであるため、手軽に始められるでしょう。
3×3の9つのマス目を作成し、中央のマス目に最初のアイデアを書き、さらにまわりのマス目にそのアイデアに関連するアイデアを書き込んでいきます。
さらに中央以外の8つのマス目の中から1つのマス目を選んで中央に置き、同じように3×3のマス目を作成。そして同じように中央のマス目に書かれたアイデアに関連するアイデアを残りの8つのマス目に書き込んでいくのです。
この作業を繰り返していくと、どこまでも思考を繰り返していくことができます。この作業を繰り返すことで、アイデアを深掘りすることが可能になり、新規事業のアイデアを固めていく助けとなるのです。
3.KJ法
文化人類学者の川喜田二郎氏が考案したフレームワークで、川喜田二郎氏のイニシャルから「KJ法」と命名されました。シンプルなアイデアから次の新しいアイデアのヒントを生み、その流れを続けることでアウトプットにつなげる方法です。
まず複数のアイデアを出し、似たアイデアをグループ化します。次にいくつかのグループの相関関係を図解化し、さらにグループ名や相関関係を文書化していくのです。層関係は「類似」「対立」「原因と結果」などで表せます。
文書化することにより、アイデアを整理し、新規事業のアイデアのヒントにつなげていく仕組みのフレームワークです。
思いついたアイデアを成功につなげる3つのポイント
新規事業はアイデアを思いついただけでは成立しません。そのアイデアを新規事業の実現につなげ、なおかつ成功に結びつけていく必要があります。成功につなげるための主なポイントは以下の3つです。
- 理念とコンセプトを明確にする
- ベンチマークを設定する
- ユーザーのフィードバックを重視する
3つとも新規事業の成功のためには欠かせないポイントと言えるでしょう。それぞれ詳しく解説します。
1.理念とコンセプトを明確にする
新規事業のアイデアが確定したら、そのアイデアを実現して成功につなげていかなければなりません。成功の重要なポイントになるのは、新規事業の理念とコンセプトを明確にすることです。
新規事業を成功させるためには、参加する社員やステークホルダーの協力が不可欠になります。理念とコンセプトを明確にすることで、目標の共有が可能になるでしょう。新規事業に関わっている人間が同じ方向に向かって進んでいくことで成功の確率が高まります。
2.ベンチマークを設定する
思いついたアイデアを新規事業の成功につなげていくうえでは、ベンチマークを設定して活用するのが、有効なやり方と言えるでしょう。
ベンチマークは計測指標や水準点といった意味の言葉です。経営用語として使われる場合は同じ業界での優良企業や目標とする企業の指標という意味で使われます。
新規事業を立ち上げる場合には、仕組みや手順などが確定されていません。1つ1つ作っていくのは非効率的であるため、ベンチマークに設定した企業を参考にして、方法論を確立していくのです。
ただしあくまでもベンチマークは指標なので、すべてを模倣するのではなく、参考にしながらも独自色を出していくことが成功への道と言えるでしょう。
3.ユーザーのフィードバックを重視する
思いついたアイデアを新規事業の成功につなげるためには、ユーザーのフィードバックを重視することが必要です。どれだけ緻密に計画を立てて、新規の商品やサービスの提供を始めたとしても、ユーザーの反応が思わしくなければ、成功にはつながりません。
ユーザーの反応を見ながら、改善を繰り返して、喜んでもらえる商品やサービスに近づけていくことが重要です。ユーザーのフィードバックを1つの指針として重視することで、新規事業を成功させる確率を高めることができるでしょう。
アイデア発想方法を活用して新規事業を成功させよう
新規事業を立ち上げたいのに、アイデアが思いつかない場合には、アプローチの仕方を変えてみるといいでしょう。目標のハードルを下げる、常識にとらわれない、情報収集をしっかり行うといったことで、アイデアが出てくることもあります。
また、アイデア発想方法やフレームワークを活用するやり方もあるでしょう。さまざまなやり方にトライして、アイデアを出して新規事業を成功させてください。
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