【個人事業主&法人】起業にまつわる手続きの基本の流れをチェックしましょう!
目次
個人事業主と法人では、起業するにあたって必要となる手続きが大きく変わります。これから起業や独立を検討している方に、それぞれにどんな手続きが必要なのかをご説明します。個人事業主と法人のどちらで開業するのが適切なのかを、さまざまな観点から検討していきましょう。
1.起業の前後に必要な手続き・費用を確認しましょう!
起業するにあたって必要となる手続きや費用についてご紹介します。
会社設立に必要な手続き
商号決定
「商号」とは、株式会社の名前のことです。基本的に自由に決めることができます。同一の住所に同一の商号がある場合は、登記できません。事前に本店の所在地を管轄する法務局に、類似商号の有無を確認する必要があります。商号を決定する際には、会社法や不正競争防止法等にも注意してください。
印鑑作成
登記で提出する申請書に押印する、会社の代表印を作成します。
定款の作成
会社の基本原則である定款を作成します。定款には必ず記載しなくてはならない「絶対的記載事項」があります。こちらの記載がなければ、定款全体が無効となってしまうので、注意してください。絶対的記載事項は以下の通りです。
- 事業目的
定款に記載していないことを、事業として行ってはいけません。
- 本店所在地
賃貸の場合は契約書を確認して、「法人不可」となっていないかを確かめます。
- 設立に際して出資される財源の価額とその最低額
株数ではなく、出資財産額または最低額を記載します。
- 発起人の氏名または名称及び住所
発起人の氏名または名称と、住所を記載します。印鑑証明書の氏名・住所と全く同じように記載します。
- 発行可能株式総数
発行可能株式総数を定款認証時に定めておく必要はありません。ただし、定款に定めない場合には、会社成立時までに定款を変更して、その定めを設けます。
- 定款認証
上記をふまえ定款を作成し、その定款の記載が正しいものであるかを、第三者に証明してもらう必要があります。これを「定款の認証」と呼びます。定款の認証は、会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場で行います。
起業に必要な費用
総務省の統計では、平均的に500万円前後の資金で開業している方が多いというデータがあります。株式会社を設立するために必要な費用を、以下でご紹介していきます。
会社設立費用手続きにかかる費用
株式会社を設立する場合、下記を合わせて約23万円になります。
- 株式会社設立費用実費20万円(定款認証料5万円+登録免許税15万円)
- 設立代行手数料1万円(必要に応じて株式会社の設立代行サービスを利用した場合)
- 会社印鑑作成料2万円(代表印・銀行印・角印のセットで購入した相場)
2.個人で起業すると手続き・届け出は変わる!頼れる無料相談も!
個人事業主として起業すると、法人の手続きや費用は発生しません。
個人事業主として起業する場合に必要な手続き
個人事業の開業・廃業等届出書
個人事業主は、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する必要があります。従業員を雇う場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」や「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」や「労働保険関係成立届」など、その他多数の届け出が必要になります。
青色申告承認申請書
青色申告をすることで、最大で65万円の控除を受けられます。その他にも損失の繰越が認められるなど、節税効果があります。したがって、多くの個人事業主は青色申告承認申請書も同時に提出しています。「個人事業の開業・廃業等届出書」の書類に記入した開業日が、青色申告承認申請の起算点です。
起業の無料相談所を利用しよう!
起業・独立前に無料で頼れる相談窓口があります。起業に際して困った時や、疑問がある時、あるいは確定申告の手続きの相談などに応じてもらえます。
- ミラサポ
地域金融機関・NPO法人・商工会議所・商工会などが連携して運営する地域の相談窓口です。起業のステップから確定申告まで幅広く相談できます。
- 商工会議所
各地にある商工会議所で、起業をするにあたっての疑問点などを相談できます。各種創業セミナーを開催しているところもあります。
- DREAM GATE(ドリームゲート)
経済産業省の後援で発足した日本最大級の起業支援プラットフォームです。資金調達から会社設立、集客支援といった幅広い分野での専門家が揃っています。専門家への無料相談の申し込みも可能です。
3.助成金、税政etc…個人で起業するとどんなメリットがある?
個人で起業すると、助成金や税政などさまざまなメリットがあります。
個人事業主が受け取れる助成金
キャリア形成促進助成金
- 正規雇用等転換コース
従業員を正規雇用した場合に支給される助成金で、1人あたり20~40万円が支給されます。シングルマザーやシングルファザーを雇用した場合には、5~10万円が加算されます。
- 人材育成コース
新事業を展開するために、従業員が職業訓練を行うと支給される助成金です。訓練時間や内容により助成額が変わりますが、10~50万円が受け取れます。
トライアル雇用奨励金
さまざまな理由により安定して職に就くことが難しい労働者を、一定期間以上試用した場合に支給される助成金です。月額は対象者1人につき最大4万円。1カ月単位で、最大3カ月分の金額が1回でまとめて支給されます。
中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛月月額変更掛金助成
新規加入助成として、掛金月額の2分の1が、加入4カ月から1年間助成されます。掛金月額18,000円以下の従業員の掛金を増額した場合、増額分の3分の1が1年間助成されます。
特定求職者雇用開発助成金
短時間労働者としてシングルマザーを雇用した場合、年間60万円が助成されます。
地方再生中小企業創業助成金
地方再生事業を目的として個人事業を開業し、1人を雇用した場合に、開業資金や雇用にかかった費用が助成されます。支給金額は300万円または500万円です。
個人で起業した場合の税政
個人事業主の場合は、法人税(所得×15~25.5%)が課税されなくなり、所得税(所得×10~40%)・住民税・事業税が課税されるようになります。また、その場合の住民税と事業税は、法人と比べて課税が低くなっています。
個人で起業するメリットとしては、家族を従業員扱いにして給与を支払うということで、その分を経費にできる点が挙げられます。確定申告の際に、給与所得や雑所得などの所得があれば、それらを事業所得として合算できるのもメリットです。仮に事業所得が赤字であっても、他の所得との合算で税金還付が多く受けられます。
おわりに
個人事業主と法人における、起業の手続きをそれぞれご紹介しました。個人事業主と法人では、必要となる手続きや費用が大きく異なります。また、起業後の税政や受け取れる助成金にも違いがあります。自分のビジネスにはどちらが適しているかを検討してみてください。
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