【動力と電力】店舗開店するなら知っておきたい電力の知識
目次
店舗を開店するにあたって、電気の契約は必須です。しかし、電力の契約には複数種類あることをご存知でしょうか? 実は電気契約について理解を深めることで、大幅に経費を削減することができるのです。
今回は、店舗を開業するにあったって知っておきたい電力のことについてご紹介していきましょう。
電気契約の種類はさまざま
どのような業態であっても必須となるのが電気の契約。一括りに「電力」といっても、その種類は大きく3種類に分かれます。その3種類の電力についてまずはおさらいしていきましょう。
低圧電力
低圧電力とは、皆さんが家庭でも利用している電力のことです。単相100Vという電源で動く電化製品を使用するために必須の電気契約で、冷蔵庫や照明、エアコンに至るまでこの低圧電力が動かしています。
動力
動力とは、主に飲食店などで低圧電力と一緒に契約する三相200Vという電源の電化製品を動かすために必要な電気のことです。低圧電力と比べて電圧が高いため、単相100Vの電源の電化製品を動かすことはできませんが、その分電気料金が安く設定されているため、電気を大量に消費する場合はできる限り動力を利用するほうが良いです。
一方、照明などは動力によって動かすことができないため、低圧電力とセットで契約する必要があり、使うことができる製品が限られるというのがデメリットです。
また、動力の契約をするためには基本料金が必要になるため、その基本料金が動力を使うことによって削減される電気代よりも高い場合は動力を使うメリットがなくなるということになります。
高圧電力
高圧電力は低圧電力よりも安価な電気ですが、6000V近い電圧の電気を電力会社から仕入れることになります。6000Vもの圧力がかかる電気は普通の電化製品は使用することができないため、仕入れた電気を自前で100V〜200Vに変圧して使用する必要があります。
この変圧のためにはキュービクルという特殊な設備が必要になり、この設備は300万円程度の初期投資が必要になります。また、キュービクルは維持管理のためにも費用が必要になるため、毎月30万円程度の電気を使っていない施設では費用対効果が合わないため利用する価値はありません。
一方でコンビニエンスストアやスーパーマーケットのような消費電力量が膨大な業態では利用されていることが多いです。
動力とは異なり自前で変圧することができるため、安い電力を全ての電化製品で利用することができるため、電気代は安くなります。
それぞれどのように使い分けるべきなのか
さて、上記でご紹介した電気の種類について整理すると、以下のようになります。
種類 | 電気代 | 初期費用 | 特徴 |
---|---|---|---|
低圧電力 | 19円〜30円/1kWh | 無し | 一般家庭でも使用されている電力。照明やOA機器など |
動力 | 17円/1kWh | 無し | 業務用エアコンや業務用冷蔵庫など、使用できる製品は限られている |
高圧電力 | 17円/1kWh | 300万円 | キュービクルで変圧すればどのような製品でも使うことができる |
※電気代は東京電力のもの。使用する電力会社によって価格は変動します。
つまり、大量に電力を消費するなら高圧電力を使うほうが良いですが、基本的に小規模な飲食店や美容室などでは動力と低圧電力を組み合わせて利用することになるのです。
キュービクルの設置には数百万円の初期費用が必要になるだけでなく、法律で決められたメンテナンスを行うために月数万円、さらに波及事故や子供のイタズラ対策をする必要もあり、故障時の部品交換には100万円近くかかることもあるのです。
このため、数万円の削減のためにキュービクルを設置するのは非常にリスクが高いのです。
以下では、それぞれの電力がどのようなケースに最適なのかということについて例を挙げてみました。
月2万円程度の電気代である場合
駄菓子屋さんのような小規模な小売店のように、ほとんど電力を使わない場合は一般家庭と同じ条件の低圧電力で契約するのが良いでしょう。先程もご紹介した通り動力の契約には基本料金が必要になりますから、月2万円程度の電力消費であれば動力に切り替えることで得られるメリットは少ないです。
月3万円〜30万円程度の電気代である場合
月3万円を超える電気代を支払っている場合は動力の利用を検討すると良いでしょう。美容室や飲食店などでは、三相200Vの業務用エアコンを使うことで大幅な電気代削減に繋がります。
また、エアコンの他にも飲食店の場合は冷蔵庫、食器洗い機、製氷機など。美容室の場合はドライヤーなどが三相200V電源の製品が出回っているため、探してみて動力で使う製品を多くすることを検討してみても良いかもしれません。
月30万円以上の電気代である場合
コンビニやスーパーマーケットのように大量の食品を冷やす必要があったりする場合は、高圧電力を使うことを検討しましょう。特に工場などの大規模な施設の場合は高圧電力でなければ電気代がかなり高くなってしまいます。ただ、30万円〜40万円の電気代であれば、キュービクル設置によるリスクも考えて動力と低圧電力で賄うことも検討しても良いかもしれません。
キュービクルは設置・維持管理・撤去に費用が発生しますので、長年設置して初期費用をようやく回収できるような代物です。微妙なラインである場合は事業撤退のリスクも十分検討した上で設置するようにしてください。
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