老人ホームの電気代削減法!施設ごとの節約術
目次
高齢者向けの介護施設は、目的に応じて民間型と公共型がありますが、施設の規模や入居する人数によって、電気費用は変わります。削減するにも入居者を第一に考えた方法が前提となります。そこで今回は、介護施設のタイプに合わせた電気代の節約法をご紹介します!
入居者を第一に考えた節電
老人ホーム施設での節電は、入居者の暮らしやすさや健康を第一に考える必要があります。
介護保険施設には、要支援・要介護の判定に応じた高齢者が入居しています。
したがって、介護のタイプによって、入居する高齢者の健康状態に大きな違いがあるため、室内温度の設定も含めて極端な対策は行えないことが現状ではないでしょうか。
ここでは、介護のタイプに合わせた節電対策について公共型を例にあげてご紹介しましょう。
ケアハウス
「軽費老人ホームC型」と呼ばれるケアハウスには、介護職員が食事や身の回りの世話などの生活援助を行う「一般型」と、入浴や食事の介助、リハビリや医療ケアを行う「介護型」があります。
夫婦で入居することも可能で、キッチンやトイレがある個室が用意されている施設が一般的です。
入所者の健康状態や体調に合わせた居室内の室内温度の調整や、食堂などの共有スペースの照明などの工夫が節電に効果的です。
介護療養型医療施設
要介護度の高い高齢者を受け入れている介護療養型医療施設では、急性疾患からの回復を目的とした医療機関の役割を担っています。
施設内は、4名までの多床室が一般的で、症状や体調の管理が必須となります。
病棟や機能室、共有スペースの快適な室内温度の調整はもちろん、湿度や風通しなどにも配慮が必要です。
介護老人保健施設
「老健」と呼ばれる介護老人保健施設は、医療やリハビリケアを中心として行います。
要介護1と判定された65歳以上の方が対象で、食事や排泄などの身体介助や医師や看護師による医療ケア、理学療法士のリハビリを受けることができます。
入所期間は短期となり、自宅で日常生活を送れる在宅復帰の支援が目的です。
建物内は、多人数で共有する食堂や浴室、トイレに加えて、数人単位で利用する居室が一般的です。
他にも、リハビリのための機能訓練室や医療ケアを行う診療室が併設されています。
入院治療は必要とされないものの、健康状態に問題がある高齢者が入居しているため、室内温度の設定には注意が必要です。高齢者の人数やスペースに合わせた対策が必須といえます。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、要介護度が高くない方に向けた施設です。
施設はバリアフリー構造で、資格を所持した相談員勤務しており高齢者が安全かつ快適に暮らせるように整備されています。
節電のためには、エアコンの定期的なメンテナンスやグリーンカーテンの使用などの節約法が有効です。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、重度の介護を必要とする高齢者を対象としています。
認知症や既往症など、症状の悪化が懸念される入居者がほとんどで、対策には細心の注意が必要です。
寝たきりの入居者も多く、居室の空調管理をこまめにチェックする必要があります。
特別養護老人ホームには、居室の他に、食堂や浴室、トイレ、レクリエーションスペースがあり、共有で利用される場合が一般的です。
共有スペースにいる入居者の人数に合わせて、照明やエアコンの室内温度の調整をすると、効果的といえます。
介護付き有料老人ホーム
行政から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設が「介護付有料老人ホーム」です。
24時間体制で本格的な介護や生活支援、レクリエーションを行うなど入居者のライフスタイルに合わせたサービスを提供しています。
常にエアコン、照明などを使用するため空調管理の見直し、使用していないスペースの照明は落とすなどこまめな節電が有効です。
住宅型有料老人ホーム
『住宅型有料老人ホーム』は、食事の提供や生活支援等の健康管理が中心となったサービスが付いた高齢者向けの入居施設です。
自立している方から要介護の方まで入居者にとって必要なサービスが幅広く自由に組み合わせできることが特徴です。
介護付き有料老人ホームとの違いは介護依頼が外部委託になるため24時間体制での介護サービスの提供が難しいことがあるので注意しましょう。
共有スペースでの節電対策、電化製品も必要に合わせてオンオフをしましょう。
デイサービス
「通所介護」と呼ばれるデイサービスは、自宅から通いながら介護サービスを受けることが目的です。
自宅への送迎が一般的で、専任職員による食事や入浴などの補助や、レクリエーションなどのサービスが特徴となっています。
高齢者のストレスを軽減し、体調管理や精神面のケアが大きな目的です。
さらには、自宅で昼夜にわたって介護する家族の負担を軽減する効果もあります。
必要に応じてエアコンの稼働時間や設定温度を調整したり、照明を切ったりするなどこまめな節電対策が効果的です。
また、利用者のいない夜間には、必要のない電気機器のコンセントを抜くことで待機電力を節約することもできます。
グループホーム
グループホームの正式名称は『認知症高齢者グループホーム』といい、65歳以上の要支援1をのぞく要支援2以上の介護認定を受けた方向けのサービスです。
入居者数の定員は1ユニットあたり9名と定められており、少人数での集団生活による家事等の分担で高齢者の自立をうながします。
使用していない共有スペースの照明管理や外気温に合わせた空調設定行うなどの節電がおススメです。
介護施設で必要となる電力とは
老人ホームなどの介護施設で必要となる電力として、エアコンの空調設備があげられます。
特に、真夏のエネルギー消費量はエアコンが最も高くなるのではないでしょうか。
発汗機能を始めとする代謝機能が低下しがちな高齢者は、室温の変化による体温調節が難しいとされています。
そのため、周囲が気付かないうちに、熱中症によって体調が一気に悪化してしまい命の危険につながる場合も…。
したがって、気温が上昇する真夏には、エアコンの設定温度を最適に調整し、24時間稼働していなければなりません。
他にも、各部屋や共有スペースに設置されているテレビや冷蔵庫などの電化製品も電力を消費する一因です。
多くの電化製品は、高齢者が快適で健康な生活を送るための必需品ともいえます。
エアコンのエネルギー消費量と比較すれば、消費は微々たるものではありますが、必要のない電源は思い切ってオフにすることも必要です。
また、医療機器やリハビリ機器にも電気代はかかります。
しかし、入所者の体調と健康を維持するために、医療に関する電気の使用は必要不可欠です。
そのため、体調に影響を及ぼさない白熱照明器具をLED電球に替える、夜間は安全を考慮した上で、最低限の照明だけを点灯するなどといった工夫が効果的ではないでしょうか。
入居者に負担をかけない空調対策
「空調設備の電力消費量がもっとも高い」とご紹介しましたが、可能な限り体調に負担をかけない環境を意識する対策が必要となります。
その対策としては、設定温度を最適に調整しましょう。
体調に負担をかけることなくエアコンが稼働する際のエネルギーを軽減させる効果が期待できます。
冷房と暖房の設定温度には大きな違いがあることをご存知でしょうか。
エアコンの最適な設定温度は、冷房時は28℃、暖房時は20℃が推奨されています。エアコンの電気量は、設定温度と密接にかかわっており、冷房時に1℃上げるだけで約10%もの節電効果が期待できるそうです。
また、設定温度だけでなく、体感温度を調整することも効果的です。
たとえば、冬場の暖房時に、設定温度20℃に加えて湿度を40%から50%に上げると、実際より温かく感じることができるのです。
加湿器を活用しながら、最適な湿度を保つようにしましょう。ただし、必要以上に湿度を上げると、カビや結露の原因になるので注意が必要です。
冷房時や暖房時に室内の空調を同じ温度で設定することも重要なポイントとなります。
特に、高齢者の場合は、室内の温度差の違いでヒートショックを引き起こす危険があるからです。
居室や廊下、共有スペースなどの室温に大きな差がでないように、空調管理しておくことが大切といえますね。
オフィスとは異なる介護施設の設備
老人ホーム施設と一般的なオフィスでは、設備に違いがあります。
介護支援とあわせて24時間にわたって入居者の居住空間としての役割があるため、高齢者が日常生活を快適に過ごすための設備が備えられているのです。
さらには、医療機関の機能も備えており、診察室や治療室、リハビリなどの設備もオフィスとは大きく異なる点といえます。
居室ごとに設置されるエアコンや照明機器などの電気製品はもちろん、浴室やトイレ、食堂などの共有スペースにも、入居者が快適に利用できるための設備が整えられています。
また、建物内全てがバリアフリーとなり、介護に必要な設備が随所に設置されていることも特徴ではないでしょうか。
電気代で一番負担になるものとは
電気代で一番負担がかかるのは、やはり空調設備であるエアコンのエネルギー消費量です。
室温によって体調が変化しすい高齢者にとって、エアコンは欠かせない設備といえます。
一年を通して常に稼働させる必要があり、電気代の大きな負担となるのは仕方がないことなのかもしれません。
しかし、電気代を節約するためには、エアコンの使い方を工夫する必要があります。
ここでは、入居者の体調に影響をあたえず改善する方法についてご紹介します。
室外機の環境を改善する
エアコンの室外機は、太陽にさらされると温度が上昇し、電力消費量が多くなります。
日よけなどで室外機に日陰を作り、温度の上昇を抑えましょう。
さらに、室外機周囲の障害物を取り除き、風通しをよくする方法も効果的です。
エアコンの数に応じて設置されている室外機の環境を全て改善すると、節電効果が期待できますね。
サーキュレーターや扇風機を併用する
冷房時のエアコンは、電気消費量がもっとも高くなります。
設定温度を最適な28℃に調整することはもちろん、サーキュレーターや扇風機で室内の空気を循環させる方法がおすすめです。
また、風を送ることで体感温度が下がり、快適に感じる効果が期待できます。
すだれやカーテンを活用する
窓から侵入する直射日光は、室内の温度を上昇させてしまいます。
真夏の日差しを防ぐカーテンやブラインドなどを活用すると、室内の温度の上昇を防ぐことができる上、エアコンの消費量を抑える効果が期待できます。
また、窓の外にすだれを立てかけて日差しを防ぐ方法や、植物で緑のカーテンを育てることも節約術になります。
定期的なメンテナンスを行う
エアコンの掃除やメンテナンスは、電気代の節約には欠かせません。
特に、ほこりで目詰まりしたフィルターは、運転に負荷がかかり電気の消費を増加させる結果に…。
エアコンの設置数が多い介護施設では、大変な作業とはなりますが、掃除を業務の一環として是非取り入れてください。
また、10年以上前のエアコンを設置している場合は、最新の機種への買い替えも検討してみてはいかがでしょう。
導入費用はかかりますが、最新機種の空調機には優れた省エネ機能が搭載されているため、長期的には節約につながります。
契約している電力会社を見直す
契約している電力会社を見直すことで、節電効果が期待されます。
2016年4月から、消費者が電気の契約先を自由に選べる電気に関する電力小売自由化が本格的にスタートしました。
電力小売自由化とは、今まで地域の会社から供給されていた電気を、民間の会社から自由に購入することができることです。
多くの企業がエネルギー事業に参入しており、料金プランも含めて提供されるサービスもさまざまです。
月々の電気料金は、基本料金に加えて電気使用量と再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計額が請求されます。
小売自由化がスタートした現在は、契約する民間の電力会社によって料金プランは異なります。
たとえば、基本料金に3段階の単位価格で課金されていた電気代を、2段階の課金となるプランや基本料金を必要としないプランもあります。
ほかにも、時間帯や季節に応じて単価が変更する料金プランなど多種多様です。
契約する電力会社を自由に選べるとしても、どの会社を選択すればお得に活用できるのかと迷ってしまいますよね。
エネルギー事業に参入している民間会社は、使用量に応じた料金プランの提案を行っています。
一度、現在の契約プランと比較しながら、検討してみてはいかがでしょう。
電気代の削減+αなオトクなプランを探そう
電力自由化による電力会社の切り替えで節電の効果が期待されています。
2016年4月にスタートしたばかりですが、生活スタイルにあわせた様々な料金プランは、利用者にとってメリットが多いといえます。
たとえば、居住する地域以外の会社から電気を購入することも可能です。
また、他のサービスと組み合わせたポイントサービスも登場しているとのこと。
つまり、一人ひとりのニーズに応じて自由に選べる上、利用の幅が広がっているといえるのです。
家庭で使用する電気料金はもちろんのこと、初規模な店舗や施設、大規模な企業まで小売自由化の恩恵を受けることが可能となり、今後のさらなる展開が期待されています。
多くの会社では、顧客獲得のための競争も拡大しており、魅力あるセットプランも次々と登場しているそうです。
契約の切り替えは、各電力会社に申し込みを行い、従来の電力メーターをスマートメーターに交換することになります(スマートメーターの交換に費用はかかりません)。
切り替えに関する相談や説明を丁寧にサポートしているので、気軽に問い合わせてみてください。
この機会に、電力会社の比較、切り替えをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
老人ホーム施設の電気代節約は、運営コストの削減のために必須の課題ではないでしょうか。
多くの高齢者が生活する大規模施設では、少し節電を意識して行動するだけでも節電効果は高くなります。
一方で極端な対策は、介護施設という特色から難しいことかもしれません。
入居者の体調や生活に影響を及ぼさない方法が求められます。
まずは電気代の契約プランの切り替えや、電力会社の乗り換えを視野にいれて、最適な経営対策をしていきましょう。
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