脱サラに失敗した人が送る壮絶な人生 再就職はできるの?
目次
「もう会社に縛られるのは嫌だ!」――そんな願望を持って起業を志す人はたくさんいます。しかし甘い見込みで勢いだけを頼りに起業したところで失敗する可能性というのは非常に高いのです。
今回は、脱サラに失敗した人がどのような人生を送ることになるのかということについていくつか例を挙げながらご紹介していきたいと思います。
脱サラに失敗するとこうなるかも…?
まずはいくつかのケースについてご紹介していきたいと思います。
生活の困窮
起業をする時というのは、思ったよりも資金が必要になります。多くの人が「脱サラをしたい」と考える年齢というのは、だいたい40歳くらいだと言われていますが、40歳までコツコツ働いて貯金したお金だけでは全然足りないと思います。
例えば中規模程度の飲食店を出店するだけでも開業資金は2,000万円くらい用意しておく必要がありますから、資金を準備するためには多くの場合借金をすることになるのです。
例えば1,000万円程度の資金を用意できたとして、残りの1,000万円を金融機関から借りたとします。金利の安い日本政策金融公庫や信用金庫から融資を受けた場合でも2%~5%の金利(基準利率)は必要になります。
そして通常の場合は5年で返済することになりますから、公庫の一番低い利子2.65
%で借りたとしても利子込で10,600,000円程度を返済していかなければいけません。
つまり、毎月だいたい20万円くらいの返済額になりますから、完済する前に事業が潰れてしまうとこの借金だけが残ることになります。
皆さんは雇われで生活をしながら20万円を返済することができるでしょうか――。脱サラに失敗してしまうと、手元に残るお金は少ないという状況に陥ってしまいます。
破産
借金額が大きく事業にも失敗して収入が見込めなくなった場合、免責が認められれば「自己破産」をすることができます。自己破産をすると、抱えている借金を全額免除することができますが、20万円以上の生活必需品以外の資産は全て没収されてしまいます。例えば車や自宅などが没収されるというのはよく聞く話ですね。
また、自己破産をすると「官報」という政府発行の冊子に名前が掲載されることになります。官報に名前が載ると、金融機関から「この人は一度破産している」と見なされ、5年~7年程度借り入れができなくなります。――つまり借金ができなくなり、ローンが組めなくなるのです。自己破産をするべきなのかどうなのかはよく考えましょう。
家庭内不和・離婚
成功者も口を揃えて「生活が苦しい時は常に小さいことで喧嘩していた」と言います。
永遠の愛を誓った夫婦であっても、経済的な状況によって不仲になってしまうことは十分に考えられるのです。また、夫婦間の仲だけでなく親子間の仲を悪くしてしまうケースも考えられます。
「金持ち喧嘩せず」とは良く言いますが、裏を返せば「貧乏喧嘩する」ということでもあるのです。事業に失敗して生活が困窮すると家庭が崩壊する可能性も十分考えられます。
再就職が困難に
一般的には若いうちに失敗したのであればどうにでもなると言われています。筆者自身甘い見立てで起業しましたが、なんとかなっています。これは再就職をする時にも「チャレンジ精神がある」というプラスの評価をされるからだと思います。
――しかし起業する年齢が30代後半より上になってくると再就職が困難になる可能性も出てきます。特にこれといって目立ったスキルも資格もない場合は注意しなければいけません。40歳で事業を起こし失敗し、特に特別スキルを持っているわけでもない…「計画性がない」という烙印を押されてしまいます。
年齢関係なく起業をしようと志すことはとても素敵なことだと思います。いつまでも挑戦心を持って生きている人を筆者は尊敬できます。ですが、一般的に会社務めの人たちには、事業を起こすことがどれだけ大変で、そのチャレンジ精神がどれだけ偉大なものなのかなんて全く理解してもらうことができません。日本の会社ではチャレンジしないことが美徳ですからね…。
透明になる
あまり考えたくありませんが、日本では年間で経済的な理由から自らの命を絶つ人が4,000人近くいると言われています。これが全て事業に失敗したことによるものだとは言えませんが、1日に10人以上が自ら命を断っている計算になります。
また、行方不明になるということもあるようで、日本では毎年8万近い行方不明者が警察庁で受理されています。このうち、認知症や児童誘拐の件数が大半を占めていますが、2016年には20代が16,038名、30代が10,495名、40代が8,769名行方不明となっています。
また、2016年に行方不明となった84,850人のうち、事業・職業関係が動機・原因とみなされるものは10.7%となっています。
ただ、このうち未発見者数は数%程度と言われています。自ら行方を眩ませたのか、それとも誰かに「透明」にされてしまったのかはわかりませんが、嫌な想像が働いてしまいますね。
脱サラで人生まで失敗しないために
さて、脱サラに失敗する人たちは少なくとも通常より厳しい生活を強いられることになると思います。
ちなみに事業継続率というのは、非常に少なく、1年で半分以上の事業が潰れてしまうと言われています。さらに10年間続く事業は僅か6%となっており、この世界の厳しさが伝わってきますね。
そんな世界ですから、「必ずこうすれば失敗しない」なんてことはありませんが、できるだけ失敗しないように、あるいは失敗してもダメージを小さくすることはできます。以下ではその方法についていくつかご紹介していきたいと思います。
目標を持つ
まず、当たり前ですが事業を起こすなら目標を持たなければいけません。その目標はできるだけ「楽がしたい」とか「いい生活がしたい」みたいに甘いものでないほうが良いですね。
自ら起業すると、必ずどこかで大きな壁に直面することになります。事業を継続していく上で、この壁は必ず乗り越えなければならないものです。しかし壁を乗り越えるためには無休で働いたり、時には自分の財産をつぎ込んだりする必要があるのです。
この時に「楽がしたい」程度の考え方では必ず挫折してしまいます。挫折しないためには、「こういう価値を社会に対して提供することで皆を幸せにしたい」とか、「腐りきった業界にメスを入れるんだ!」くらいのアツい気持ちを持っていなければいけません。
例えば、皆さんが考える成功者を想像してみてください。その人は「楽がしたい」とは考えていないはずです。イチロー選手は、良い生活をするためにヒットを打ち続けたのではありませんよね?成功者はお金のため、生活のために仕事をしません。お金のために仕事をする人間は壁を乗り越えることができず、二流にしかなれないからです。
成功したければ、「この目標のためなら全てを差し出す」という覚悟や正義感が必要になってくるのです。
撤退ラインを決めておく
さて、大層なことを言ってしまったので、「撤退」などというかっこ悪い話はしにくいのですが、自分や家族の生活を守ることもとても大事なことです。ですので、リスクを最小限にするために「撤退ライン」というもの決めておくのも大事だと思います。
撤退ラインとは、「1年経って売上が○○円に満たない場合は継続しない」とか、「貯金が○○円を切ったタイミングで事業を諦めて再就職する」といったものです。
この撤退ラインは、再就職した時の時給や生活に最低限必要なお金などを緻密に計算し出しておくと良いです。――そうすることで事業に失敗した時のリスクは最小限に抑えることができます。
家族としっかり話し合う
筆者などは、独身でこそありますが、事業を起こすときには両親にひどく反対されたものです。――というのも、叔父が事業に失敗して借金を背負って困っている様子を間近で見ていたからです。
幸いにも筆者が手を出した事業はそこまで多額の借金を背負う必要がなかったので、生活が苦しくても家族との関係を悪くすることなく生活できていますし、事業も継続できています。関係修復のために色々と苦労しましたが…。
ただ、そこで学んだことは、反対を押し切って突っ走るのではなく、しっかり協力してもらえるようにコミュニケーションを取っておくべきだったということです。
これが結婚されている場合はなおさらです。やはり家族の存在はどんな状況でも支えになります。経済的にも、精神的にも。
説得が面倒だからといってコミュニケーションを怠ると必ずどこかで揉めてしまい、家庭崩壊や不和に繋がります。
諦めない
最後にまたまた精神論ではありますが、決して諦めないことも失敗しないために非常に重要なことです。「失敗」とは、ただの結果なのであって諦めなければ「あの時コケたのも、成功のために必要だった」と言えるものになります。
一度事業に失敗して、生活がままならないものになったとしても、「再起して必ず成功させてやる」という強い意思を持つことが大事です。多くの人は「これが現実なのか。」と絶望して諦めてしまいます。――しかし、強い意思を持って継続していれば、どんどん成功に近づいていくはずです。
どんなことになっても諦めずに方法を探っていれば、必ず皆さんの目標は実現するはずです。
数値を見れば世の中には「脱サラに失敗する人」はたくさんいらっしゃいます。そして、その後に様々な苦しい状況に立たされてしまっています。しかし、それだけの人が途中で諦めてしまっているとも言えるのではないでしょうか。――つまり、多くの人は意思の弱さ故諦めてしまっているのです。
自分の事業を続けながらアルバイトなり、なんなりして稼ぐことで、いくらでも事業を継続することは可能です。しかし、「そこまでしてやりたくない」という人が大半なのでしょう。
まとめ
さて、脱サラに失敗したその後の人生や失敗のリスクを小さくする方法についてご紹介してきましたが、さらに失敗のリスクを小さくするためにプロに依頼するという方法もあると思います。
「ただでさえ開業資金が必要なのに、さらにコンサルを入れて…」などと考えると寒気がしますが、それでも長期的な目線で見た時にプロの意見というものはとても参考になります。
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