飲食店における労働管理に対するリスクはどのようなものがある?

飲食店における労働管理に対するリスクはどのようなものがある?

目次

  1. 長時間労働に対するリスク
  2. 火災に対するリスク
  3. 交通事故のリスク
  4. どのような対策が必要か?
    1. リスクの存在を認知する
    2. リスクの発生を低減する仕組みを構築する
    3. リスクが発生した時に被害を最小限に留める

ここ数年間で労働に対する世間の目は厳しくなってきました。某牛丼チェーン店では、ワンオペレーションという従業員1名だけに店を任せるという実態が明らかになり、世間から多大なバッシングを受けることになりました。あるいは某広告代理店では、過重労働をさせたとしてインターネットでひどくバッシングを受けることになりました。

これからの時代は人を雇用すること、労働を管理することに対する責任はますます大きいものになってくるでしょう。しかし、労働災害に対するリスクというものは、泥縄式に対策を講じるだけでは足りません。事前にリスクを把握して適切にそのリスクを運用するリスクがあるのです。

今回は飲食店において労働に関連するリスクについてどのようなものがあるのかということについてご紹介していきましょう。

長時間労働に対するリスク

飲食店では営業時間こそ決められているものの、人員不足に陥りやすく、営業時間が長くなれば8時間を超える労働も従業員に依頼しなければならなくなります。

しかし、2019年の4月からは残業時間に規制がかかることになりました。中小企業は2020年の4月からになりますが、1ヶ月100時間、複数月平均80時間、年間720時間の時間外労働はいかなる状況であっても罰則の対象となるのです。よほどのことが無い限りすぐに罰則ということにはなりませんが、法律上6ヶ月以内の懲役あるいは30万円以下の罰金という刑がある以上、事業主はリスクとして捉えてそれを適切に運用していく必要があります。

そもそも80時間を超える労働をさせた場合、従業員になんらかの健康被害が及びかつ死亡に至った場合には法律上、過労死とみなされることになります。もし仮に過労死とみなされた場合は多額の賠償金を支払うことになるかもしれません。

長時間労働が恒常的に行われがちな飲食店ですが、こういったリスクを考えて是正していく必要があるでしょう。

また、時間外労働に対する賃金のリスクについても考慮しておくべきでしょう。時間外労働に対しては通常の労働の1.25倍の割増賃金を支払う必要があることは事業主の皆様ならご存知でしょうが、今までは労働者にこういった知識がなく、割増賃金を支払わなくても特に咎められることはありませんでした。(法律的にはアウトですが…)

しかし、働き方改革関連法の施行によって労働に対する関心は高まってきています。こういった労働者の関心の高まりによって、これまで知らぬ存ぜぬで通せてきたことも通せなくなってきているのです。

火災に対するリスク

飲食店のリスクとして代表的なものに、火災リスクというものがあります。一般的な家庭よりも火を扱う時間が長い飲食店はどうしても火災リスクから逃れることはできません。

火事の規模によっては最悪の場合死亡に至ることも考えられます。このため、特に厨房周りは火事が発生してもすぐに対処できるように、また、火事が発生しないように対策をしておく必要があります。

また、火災が置きたとしても経済的なダメージが小さくなるように保険に加入するなどしていざという時のリスクを低減する取り組みも行っておくべきでしょう。

交通事故のリスク

2019年からは消費税の増税及び軽減税率の導入によって宅配サービスを提供する飲食店も増加するかもしれません。配達サービスを導入する場合に考えておきたいのが、配達中の交通事故によるリスクです。

どのような形であれ、従業員が勤務時間中に事故を起こしたとあっては事業主も責任を取る必要がありますし、従業員が怪我をした場合にはやはり経営者が責任をとって治療費等を支払う必要があります。

特に飲食店の配達サービスで利用されるのは原付バイクや二輪バイクになります。原付きバイクなどは巻き込み事故の被害に遭いやすい乗り物ですので、車よりも労働災害のリスクは大きいといえます。

どのような対策が必要か?

さて、それではリスクを適切に管理するためにはどのような対策が必要になってくるのでしょうか。

リスクの存在を認知する

最初にすべきことは、リスクの認知です。日々の業務の中で少しでも発生する可能性があることについて洗い出し、それをリストアップしていきましょう。

リスクの発生を低減する仕組みを構築する

リスクというのは、完全に取り除くことはできませんが、低減することはできます。例えば火災リスクに対してはスプリンクラーの設置など、設備投資によって発生するリスクを低減することが可能です。

このように、リスクの大きさに応じて必要な設備投資を行い、リスクを低減していくことが重要です。

リスクが発生した時に被害を最小限に留める

次に、「どんなに努力しても労働災害は発生するもの」ということを理解した上で、その発生する確率が高いものから、労働災害が発生した時の被害を最小限に抑える備えをしておきましょう。

例えば保険に加入するということは手軽に対策することができるものの一つです。

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