人が離職する原因と離職率が高い会社によくある5つの悪習慣

人が離職する原因と離職率が高い会社によくある5つの悪習慣

目次

  1. 離職率とは?
  2. 人は何が原因で離職するのか
    1. なぜ若い世代に離職が多いのか
    2. 人が離職を考える時とは
  3. 離職率が高い会社の5つの特徴
    1. 1.給与が低い
    2. 2.人を育てる気がない
    3. 3.労働環境が過酷
    4. 4.強い派閥がある
    5. 5.著しくモラルを欠いている
  4. 離職率が低い企業の特徴
  5. 助成金を活用して労働環境を整えよう

「最近の若い人たちは根性がないからすぐに辞めていく」よくそんな質問を受けることがあります。「会社からどんどん人が辞めていく…」そんな悩みを持った経営者諸君も多いのではないでしょうか。

今回は離職率が高い会社によくある特徴をご紹介すると共に、どのようにすれば離職率を下げることができるのかについてご紹介していきたいと思います。

離職率とは?

離職率とは、ある期間の中でどれくらい社員が辞めたかということを表す指標です。一般的に離職率は以下のような式から求めることができます。

(1年間の退職者数)÷(年初の従業員数)×100

この計算では、期間内に入社して期間内に退職した人は含めないものとします。

少し例題を出してみましょう。

2017年の1月1日に100人の従業員がいます。この会社には2017年に10名を新たに雇用しましたが、そのうち3名が離職しました。1年以内にやめてしまった3名を含めて合計12名がやめたことになります。この会社の離職率は何%でしょう。

上記式にあてはめるなら「年初の従業員数」は100名です。そして2017年で合計12名が辞めていますが、このうち3名は2017年入社の人達です。そのためこれを除外します。――するとこの会社における離職率の計算式は以下の通りになります。

9÷100×100=9%

ちなみに日本における過去10年間の離職率は平均で15.2%ですから、この会社の離職率は日本の平均よりも低いことになります。

人は何が原因で離職するのか

さて、15%とは一昔まえに比べるとなかなか高い数値ですが、離職者は何が原因で離職するのでしょうか。リクナビNEXTが調査した「退職理由の本音TOP10」では、以下の理由がランクインしていました。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
引用:転職理由と退職理由の本音ランキングBest10

これを見てみると、「人間関係」や「労働環境や待遇」による離職が多いことがわかります。特に1位を見てみると、「仕事の仕方が気に入らない」ことが理由で1/4近い人が離職しています。

これは若い人の考え方を顕著にあらわしていますね。

筆者自身2度の転職を経て最終的に独立を果たしましたが、転職を決意した最も大きな要因は「人間関係」や「仕事内容」だったかもしれません。

なぜ若い世代に離職が多いのか

一昔前までは、世界の先進企業からも高い評価を受ける「日本的経営」というものが当たり前でした。この日本的経営は「終身雇用」「年功序列」「労働組合」の三本柱で成り立っていました。

一つの会社に長く務め、年をとるごとに給与は上がっていき、また解雇されることもない。――この頃の労働者はライフプランを設計しやすかったのです。そのため、業務が多少過酷でも、私生活を少し犠牲にしてでも会社のために働くことは自分の生活を守ることでもあったのです。

――しかし日本経済が発展しきった時、人々は自由を求め始めました。これに伴って日本的経営は崩壊します。

現代の労働環境を見てみると、一つの会社に生涯を捧げることは当たり前ではないですし、会社から解雇される可能性だってあります。また、年齢と共に賃金が増えていくわけではないのでライフプランも設計しにくいです。――さらにブラック企業の蔓延によって長時間労働は当たり前になり、挙句の果てには残業代が出ないことも当たり前になりつつあります。――つまり、「今頑張れば将来は安泰」というモデルケースが失われてしまったのです。

そうすると、「将来性がない会社からは早々に去るのが利口だ」という思考になってきます。日々のニュースで触れる情報もあって、いつ会社から裏切られるか分からない環境に置かれているのですから、会社に愛着など湧くわけがありません。

若い世代は生まれながらにして、「将来性がないなら場所を移す」という方法を身に付けており、根性がないのではなく時代に合った利口な生き方をしているだけなのです。

人が離職を考える時とは

人が慣れ親しんだ職場を離れようと考える理由には色々なものがありますが、共通するものが一つだけあります。「将来性がないと感じた時」です。

「ここにいても自分の生活は良くならない」「これから先ずっとこんな生活をしなけえればいけないのか」――そう感じた時に人は離職を考えるのです。

離職率が高い会社の5つの特徴

――では、離職率が高い「将来性を感じられない」会社の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。以下でチェックしていきましょう。

1.給与が低い

人はなんだかんだ言ってもお金で動く部分が多いです。例えば今よりも高待遇の会社から誘われれば、簡単になびいてしまうでしょう。経営者たる読者諸君も「今の会社って頑張っても月1千万くらいの利益でしょ?うちの会社のトップやってみない?3倍は稼げるよ?」なんて言われたらなびいてしまいますよね。

従業員はお金のためなら会社の愛着なんて簡単に捨てられます。だって、自分の会社ではないのですから…。経営者の皆さんが「俺はこんなに会社を愛しているのだから、社員の皆も会社を愛せよ!」と言ってもそれは筋違いです。

労働内容に見合う給与がなければ必ず人は離れていくでしょう。だって、同じ努力でもっと給与を得られる働き場所がたくさんあるのだから。

2.人を育てる気がない

筆者などは広告代理店出身ですので、「自分で成長しろ」といきなり現場に投げ出されてきましたが、こういった会社はやはり離職率が高いです。事実筆者の会社は30%という高い離職率を記録していました。

人はお金で動きますが、将来のビジョンというものを考えるものです。「今頑張ればこの経験を活かして将来稼げる」「この会社にいればまだ得られるものがある」そう思っているうちは喜んで働いてくれますが、「使い捨ててやろう」という魂胆が見え見えで得られるものも少なければ必ず人は離れていきます。

特に転職経験者はこういった「社員は使い潰すもの」という会社の方針を敏感に感じ取ります。「分からないことは聞いてこればいいだろう?」などと放置していると、人が離れていく原因になりますので注意しましょう。会社側も社員が辞めていくと、「どうせ辞めるだろう」という思考になって教育を怠ってしまいがちになりますが、これは負のスパイラルが続く要因になります。

逆に、「次はこういう仕事をやってみないか?」「これができたなら、次はこれを教えよう」――と教育体制がしっかりしている会社は離職率が低い傾向にあります。

3.労働環境が過酷

当たり前ですが、「残業100時間!仕事が終わらないなら土日も出勤!なんとかして数字をつくれ!」などという環境では誰も働きたいと思いません。若い内はよくても「ずっとこんな働き方が続くのか…」と思われてしまうと、転職を考えられてしまいます。

筆者も広告代理店出身ですので、月の残業時間は200時間になったことがありますが、さすがに体を壊しました。もちろん残業代は出ませんでした。体を壊して病院に行き、治療費を支払うために働く…そんな生活が続いた時は何のために働いているのかわからなくなったものです。

また、休暇が取得しにくい環境であったり、適切に評価してもらえなかったり柔軟な働き方ができない環境もよろしくありません。

好き嫌いで給与を決定したり、「ここまでやったら給与を○○円上げる」といった明確な評価基準や目標値が設けられていない場合に、「何をすれば自分の生活がよくなるのか」ということが見えなくなってしまいます。そうすると「将来性がない」と烙印を押されてしまいます。

4.強い派閥がある

人間は群れ社会の中で生きていますから、どうしてもグループができてしまいます。すると必ず意識せずともイジメやハラスメントが横行します。

どんな組織でも3人集まれば仲間はずれが出てくるものですが、一番ひどい状況は、社内で幅を利かせる強い派閥があることです。この派閥は会社の経営のことなど考えておらず、自分たちの気に入らないことは全て攻撃していきます。人間とはそういうものです。自らの環境を守るために群れの不利益になるものは排除しようとするのです。

例えば、海外から観光客が来ると日本の経済が潤うのにそれを良しと思わない人たちっていますよね?日本という組織の利より目先の自らの安全や利を守ろうとしてしまうのです。

――ではそんな強い派閥ができてしまった時にどうすれば良いのか…対抗する派閥を作り上げなければいけません。そうしないとそのグループから標的にされた人は逃げ場所がなくなってしまうためです。先にも紹介したように人間関係が原因で離職をする人よいうのは非常に多いです。

人間関係のイザコザは回避できませんが、イザコザがあった時の逃げ道を社内に用意しておくことは離職を防止する強い要因になるでしょう。

5.著しくモラルを欠いている

先程人間は金で動くと言いましたが、人は理性というものを持っています。正義感というやつですね。人を騙せばお金なんて簡単に儲けることができます。――でもそれをしないのは、モラルがあるからです。

ここで言うモラルとは、社内的なモラルも社外的なモラルも同じです。

例えば極端な話ですが、「90万円の商材を2千万で売った!利益1千900万!」こんなモラルを欠いたビジネスは誰も良しと思わないはずです。――例えば会長は雇用主だから従業員に暴言を吐くなど好き勝手やっていいというわけではありません。

人には何を犠牲にしても譲れない何かというものを持っているはずです。その正義に合致しなかった時、人はその環境から去ろうとするのです。

離職率が低い企業の特徴

離職率が低い企業の特徴は、「そこで働く理由が簡単に説明できること」です。逆に辞める理由が簡単に説明できてしまう企業は離職率が高いです。

簡単に説明できる理由とは、「仕事はきついけど、給料高いからね」や「給料低いけど色々勉強になるし、将来起業考えてるから…」とか「仕事内容はつまんないけど、待遇いいし休み取れるからね」などです。

――人は理由があって動くものです。離職する理由もあれば、働き続ける理由もあります。

アナログな思考を持った経営者諸君などは、「理由なんて知らん!雇ってもらっている会社のために働くのが社会人というものだ!」とおっしゃられるかもしれないが、従業員がいなくなって困るのは誰なのかということを考えてみましょう。利益を削って優秀な従業員を集める会社がどれだけあるか考えてみましょう。

働かせてやっているのではなく、働いてもらっているのです。独りよがりの経営をしていても、従業員を他の会社に取られるだけになってしまいます。高待遇の会社で務めたいと考えるのは至って自然なことなのですから。

時代とともに商品は進化していきます。人が求めるものに対応していかなければ生き残れないためです。――例えばスマートフォンが主流になっているのに折りたたみ式携帯を売り続ける会社は「時代の流れが読めていない」会社ですよね?

それと同じで従業員が離れていってしまう会社も「時代の流れが読めていない」会社なのです。人は変化します。人が変化すれば労働者も変化します。若い世代の根性がなくても、それに対応できないことを世の中のせいにしても何も変わりません。

いち早く労働者が求める条件を提供し、お客さまが求める商品を提供した組織が勝ち残るのです。

助成金を活用して労働環境を整えよう

厚生労働省は、労働者の生活の安定や労働環境の改善を目的として助成金というものを出してくれます。この助成金とは条件さえ満たせば誰でも受け取ることができる返済不要の資金です。

例えば従業員を正社員に転換する場合や休暇を取得させることで数百万円を国が助成してくれるのです。

こういった助成金を活用して、従業員の満足度を高め、離職を防いでみるのも一つの経営手法です。

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