飲食店経営者が知っておくべきリスクとその低減方法
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飲食店を経営する上で避けることができないリスクというものは存在します。火災・水漏れ・食中毒……数え始めるとキリがないですが、長期的な経営を目指す上でこのようなリスクを放置しておくことは良くないと言えるでしょう。
このようなリスクを管理するためにあるのが飲食店向けの保険ですが、最近は様々な種類の保険が存在しています。今回は、飲食店が加入しておきたい様々な保険についてご紹介していきたいと思います。
1. 火災時の保険
どのような飲食店であっても火は必ず使用するものだと思います。小さなコンロが一つしかないような店舗であっても火災のリスクが全くないかと言われれば「うちは火災のリスクは0です。」と断言する飲食店オーナーはいないでしょう。
そもそも賃貸物件には施設賠償責任保険という保険に加入する必要がありますから、ほとんどの飲食店では火災保険に加入していると思います。
しかし通称「施設賠」と呼ばれるこの保険では、火災による近隣への被害、店舗を焼損させたことによる損害は支払いの対象となるものの、従業員を火傷させた場合や焼損によって一時的に営業ができなくなった時に収入がなくなった時の保証は対象外となります。
既に飲食店を経営されている皆様であれば、営業をするまでの準備期間に膨大な時間が必要になることはご存知でしょう。その間全く収入がなくなってしまい、さらに従業員が怪我をした場合にその金額を支払い続けなければならないと考えるとゾッとしますね。
このため、「施設賠に入っているから安心」ということは一切なく、二次被害・三次被害のことまで考えて適切なリスク管理をしておきたいです。
2. 食中毒発生時の保険
近年はグローバル化に伴い「食の安全」がますます重要視されてきています。HACCPの義務化なんてものも行政主導で進められているくらいです。
特に気をつけておきたいのはノロウイルスの感染で、このウイルスは非常に感染力が高く、従業員が感染したまま調理に従事したりすると一気に感染が広がってしまいます。集団感染を引き起こしてしまうと、被害を受けたお客様への損害賠償支払いだけでなく、営業停止処分を食らうこともあります。規模の大きさや衛生管理の杜撰さが指摘された場合はメディアへの公表もあり得るでしょう。
仮にノロウイルスに感染した状態で無理やり出勤し、完全に従業員に非があったとしてもお客様に対して責任を取る必要があるのは経営者である皆さんです。なぜなら、ノロウイルスの従業員の労働を許可したという責任がつきまとうからです。
——皆さんが考えているよりも、食中毒を発生させてしまった店舗というのは大変な事態に陥りますので、リスクを少しでも小さくするために保険に加入するなどしておいたほうが良いでしょう。
3. 労災リスク発生時の保険
調理中の怪我や火傷、配達中の事故……飲食店はオフィスワークの仕事と比べると様々な労働安全のリスクがつきまといます。例えば従業員が勤務時間中に起こした事故はやはり経営者である皆さんの責任になりますし、勤務時間中に怪我をさせた場合は従業員にも賠償金を支払う必要があります。
もちろん配達は一切行わない店舗も存在しますし、ほとんど火の扱いがないような店舗では労災リスクというのは格段に少なくなりますが、そうであっても地震が発生した時や、酒類を提供する店舗である場合は酔ったお客様によって従業員が怪我を負うことも考えられます。――どのような形であれども、従業員が勤務時間中に怪我を負ってしまえばそれは経営者の責任になります。
営業形態に関わらず、経営者は様々な責任を従業員に対して負う必要がありますから、考えられる労働災害リスクは全て洗い出し、必要に応じて保険に加入しておくことをおすすめします。
4. 盗難によるリスク
特に酒類を扱うお店では盗難のリスクは高いです。従業員も飲酒をするようなお店では、注意が散漫になってしまい、泥棒の格好の餌食となってしまう可能性があるからです。
特にバーなどでは「1周年記念イベント」などと称してイベントを行うことがありますが、「イベントの日の売上を全て盗まれた」という話はよく聞きます。利益がなくなるどころか売上がマルっとなくなるなんてゾッとする話ですが、筆者の周りでも過去に2回そのような被害事例を聞いたことがあります。
こういったリスクを考慮して、盗難保険に加入しておくことも検討してみると良いかもしれません。
少しでもレジから従業員全員が目を離している時間がないか、営業終了後に売上金はどのように管理しているかということを今一度考えてみましょう。深夜営業をしているお店は、売上をすぐに銀行に入れることはできないと思いますので、金庫にしまうなどして管理していなければ、盗難のリスクは高まることでしょう。
まとめ
飲食店はオフィスワークや小売店に比べて大きなリスクというものが多い業態です。このため、そのリスクをいかに小さくすることができるかが長期的な経営を行っていく上で重要なポイントになります。
今一度皆さんの店舗で考えられるリスクはどのようなものがあり、そのリスクが発生する可能性がどれくらいの確率であるのかを考えてみて、保険について見直す機会をつくってみましょう。
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