社員の生産性を向上させるために経営者ができること
目次
現在日本社会全体で、生産性の低さということが問題になっています。この生産性の向上には国も「キャリアアップ助成金」といったような正社員教育などを中小企業向けに促すことで、国民全体の知識や技術の向上を図ることで改善しようとしています。しかし筆者は日本の生産性が低い現任は本質的な部分にあると考えています。
この記事では、従業員の生産性を高めるために経営層としてできることをいくつかご紹介していきたいと思います。
本当に日本は労働生産性が低いのか
日本の労働生産性は低い低いと言われており、事実データとしてもOECDに加盟する35カ国中22位、先進国と言われるG7の中では最低の労働生産性だと言われています。
この生産性が低い水準は、何も最近に始まったことではなく、アメリカを始めとする経済大国が過去数年で労働生産性を1.58倍に高めているのに対して、日本は5年間で1.04倍、過去20年で見ても常に横ばい傾向にあります。
そもそもですが、労働生産性とは(労働による成果(賃金))÷(労働投入量(日本国民全体の労働時間))で算出されるものです。「単純に労働に対する時給が上がっていないだけ」ではありません。この数値が低いということはつまり、「労働者の能力が低い」ことに加えて「経営効率が悪い」ことも表しています。
労働時間が長いことが原因?
引用元:データブック国際労働比較2016
確かに、1990年頃までは労働時間は圧倒的にトップで長かった日本ですが、徐々に労働時間が減少してきています。(実際はサービス残業などでもっと労働時間は長いと考えられますが…。)
しかし労働時間が短くなっているにも関わらず労働生産性が向上していないのはなぜでしょうか?
単純に労働時間が長いことが生産性が低い水準であることが原因であれば、サービス残業などがまかり通っている現代においては逆に労働生産性が向上しているはずなのです。
また、現在はPCやスマートフォンなどの便利なツールが普及しているため、本来であれば技術の進歩とともに生産性は向上して然るべきなのです。
ただし、上記のグラフの数値は非正規雇用の社員も含まれています。正規雇用の社員の労働時間は1980年代から2000時間前後でで横ばいだと言われています。
つまり、正社員だけで見ると、生産性はわずかに向上していると言えます。しかしそれでも先進国に比べて低い水準であることに変わりはありません。
労働生産性が低い原因は何なのか
労働生産性が低い原因は、複数の要因が考えられます。ここではいくつかの考えられる原因についてご紹介していきたいと思います。
労働者の能力が低い
まず考えられるのは、日本国民一人ひとりの労働生産性の低さです。特にホワイトカラーと呼ばれる事務職やデスクワークの労働者の生産性の低さが目立ちます。
エクセルの関数すらまともに使えない従業員、ショートカットキーを駆使してPCを使用できない労働者があまりに多いように感じます。
本来であればこのような能力によって評価されるべきなのですが、それよりも「どれだけ頑張ったか」ということが評価される企業の評価体制では「業務効率を改善しよう」という気持ちになれないことも日本社会の特徴です。
成果に応じて給与が決まる「成果主義」を導入する企業も増えましたが、労働時間内に最大のパフォーマンスを出すよりも長時間労働して成果を出すことが評価される企業が多いことも事実で、誤った成果主義の運用が労働生産性の向上を妨げている要因であるとも考えられます。
経営効率が悪い
所定の時間内で最大限のパフォーマンスが出せない最も大きな要因が経営効率の悪さです。
- 定例会議
- 適材適所とは言えない人事制度
- 曖昧な採用基準
これらは全て労働生産性を下げる要因です。
ある統計では、1社あたり年間3万3000時間という時間が不要な会議のために労働者の時間を使っていると言われています。
一人あたりの時給が2000円だったとしても、年間で6千6百万円もの人件費を定例会議のために使っていることになります。
会議の準備やその間できたであろう生産を捨ててまで、それだけの金額を利用してまでやる意味のある会議なのかということを改めて考える必要があります。
付加サービスが多い
日本では、製造業・不動産業は労働生産性が高く、サービス業は労働生産性が低いと言われています。ここから読み取れることは、サービス業に付加サービスが多すぎるということです。
例えば、書店にいけばブックカバーを無料でかけてもらえますし、インターネットを契約すれば無料でセッティングまで行ってくれます。
このように、無償でのサービス提供を求めすぎるということも日本の労働生産性が伸び悩む要因でしょう。
価格競争をするしか脳がない
日本はマーケティング後進国であることは言うまでもありません。どこに言っても価格競争です。
某ハンバーガーショップが値上げをしたときには、多数のバッシングがあったことからも、「安いものこそ正義」という思考が日本人全体に身についています。
当然、安いものを提供するには人件費を切り詰める必要があります。人件費を切り詰められた従業員は、安いものを買わざるをえなくなります。
そうして貧乏のスパイラルから抜け出せなくなっていくのです。そうすると更に安いものを人々は求め始め、さらに賃金は安くなっていく…という負のスパイラルが出来上がってしまうのです。
生産性を上げるために経営者ができること
生産性を上げるために労働者としてできる本質的なことは、「経営者は従業員の時間を買っている」ということをもっと強く感じることです。つまり、最も大事なのは時給思考です。
大人数参加の定例会を廃止しよう
先程も申し上げた通り、定例会というのは、非効率的です。1週間ごとに進捗を確認する必要などありません。もし1週間ごとに方向転換をしなければならないプロジェクトなのであれば、そもそもプロジェクト自体を見直す必要があります。暗中模索で従業員の時間を無駄に使うくらいなら、専門的な知識を持った人間を雇用するなり外注するほうがよほど生産的です。
無駄な作業はやめさせよう
筆者が過去に出会った同僚の中には、筆者が5分でできる作業を2時間かけて行う人間もいました。エクセルの関数を使えばすぐに終わることを手打ちしていたのです。
エクセルの関数だけではないですが、効率的な方法を覚えることで3時間かかったとしても、一度覚えてしまえばそれ以降の時間を節約することができます。
同じ工程を繰り返し行うようなことはキーボードマクロやソフトを使えば簡単に処理できるはずです。
タイムマネジメント
従業員のどの作業に何時間かかっているのかということを管理者に把握させるようにしましょう。
タイムマネジメントを行うことで、何が非効率で何が効率的なのかを把握し、従業員ごとに得意な分野を任せることで最適な業務の振り分けを行うことができます。
マネジメントは管理という日本語訳のせいで多くの人が誤解しがちですが、従業員の動きを見ているだけではなく、組織が効率的に機能するように適切な指示をすることです。
所定の労働時間内にパフォーマンスが出せないのは、いかに従業員が無能だろうと管理者の責任です。
スキルアップ制度の導入
自社のサービスや製品を提供する上で有用なスキルや資格を取得することで給与をアップさせるなどといった制度を導入させましょう。
「何をすれば給与があがるか分からない」という状態は従業員のモチベーションを著しく低下させる原因です。
明確なゴールを与え、そこに向かって走らせることも経営層の重要な仕事です。
業務効率化ツールの導入
例えば営業マンの移動時間ひとつを考えても、顧客との打ち合わせのために往復で1時間~2時間の時間が取られることになります。
このような会議をオンライン商談ツールを導入することで短縮することができます。
関連記事:オンライン商談ツールの活用事例4選!営業以外にもこんな使い道があるんです!
他にも、業務効率化に使えるツールは多数あります。このようなツールを導入することで、従業員が効率的に働けるような環境を整備しましょう。
生産性を高めるためには、意志が大事!
さて、色々と解説をしてきましたが自社の生産性を高めるためには、「この作業本当に必要?」や「この会議って無駄だよね…。」といった意識です。
普段の生活の中で、不要なものは買わないのに、従業員の時間は無限だと思っていませんか?経営者は従業員の時間を買っているのです。
時間を買っているのですから、残業代を払わなくても良いことを良いことに長時間労働をさせてはいけません。
買ったリンゴがおいしくないからといって、「無料で同じリンゴを5個よこせ!」なんて言いませんよね?
それと同じで、買ってしまったリンゴなのですから、いかにおいしく調理するかということを考えるべきなのです。
そのためには、無駄を省くための努力が必要です。労使共に業務を効率化したいという意志があれば確実に生産性は上がっていくはずです。
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