2023年開始のインボイス制度とは？何が変わる？

2023年からインボイス制度というものが開始します。
インボイス制度は、2019年10月に導入される予定の消費税10%への引き上げや、軽減税率に伴って税金計算の基となる証票制度です。
本記事では、

• インボイス制度とは
• インボイス制度によって起こる変化
• キャッシュレス決済の導入

この3つについて詳しく解説していきます。

インボイス制度とは？

インボイス制度は証票制度の1つで、適格請求書等保存方式とも呼ばれます。

現在、請求書等保存方式と呼ばれる制度が存在しますがご存じでしょうか？この制度は、消費税の課税事業者が仕入税額控除をする際、取引先とやりとりした領収書や請求書を残したうえで、帳簿に必要事項を記載するものです。

その際、領収書や請求書は、取引先の様式にて発行されたものとなります。しかしインボイス制度の導入後に認められる請求書は、

• 適格請求書
• 適格簡易請求書

のみとなるのです。この請求書は、適格請求書発行事業者として認められた事業者しか発行できません。

インボイス制度で何が変わるの？

インボイス制度で、何が変わるのでしょう。3つの観点から見ていきます。

適格請求書発行事業者登録制度の開始

1つ目は、適格請求書発行事業者登録制度の開始。インボイス制度が導入されると、適格請求書を発行できるのは、認められた事業者のみとなります。認められるには、税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を届け出なくてはなりません。

また、認められていないと、仕入税額控除が不可となります。そのため、登録しないわけにはいかなくなるのです。

請求書の記載事項が変わる

これまで請求書には、

• 発行者の名前
• 取引した日付
• 取引内容
• 取引した相手の名前

があれば問題ありませんでした。
しかしインボイス制度導入後はここに、

• 適格請求書発行事業者の登録番号
• 軽減税率の対象を示す印
• 税率ごとの合計額と対応する税率
• 消費税額

といった4項目を追加します。

また、2019年10月1日から2023年9月23日まで、これまでの「請求書等保存方式」と並行して、「区分記載請求書等保存方式」が開始します。これは、少し簡単なインボイス制度。前述したこれまで必要だった4つの事項にくわえて、

• 軽減税率の対象を示す印
• 税率ごとの合計額（税込み）

を記載するのです。なお区分記載請求書には、納品書や領収書だけでなく、レシートも含まれます。

仕入税額控除の変化

インボイス制度の導入後は、適格請求書発行事業者以外と交わした課税仕入れにおける仕入税額控除ができなくなるのです。とはいえ、いきなり全てできなくなるのではありません。

• 2023年10月1日から2026年9月30日　仕入れ税額の80％
• 2026年10月1日から2029年9月30日　仕入れ税額の50％
• 2029年10月1日以降　一切控除できない

と段階があるのです。それでも、できるだけ早く適格請求書発行事業者の登録を済ませたほうがよいのは間違いないでしょう。

キャッシュレス決済の導入も手

インボイス制度導入により、

• 「適格請求書発行事業者」の登録
• 請求書への記載事項が増加
• 仕入れ税額控除の変化

と変化があり、それによって手間が増えると考えられます。登録の場合、完了まで時間がかかるかもしれません。また、記載事項の変更は、経理部署だけでなく請求書にかかわる人すべてに周知する必要があるでしょう。

もし、現金を扱っているのなら、キャッシュレス決済を導入するのも手です。キャッシュレス決済なら、入力された金額と動いた金額の差はありませんので、ミスはなくなります。また軽減税率によって変化する記帳も、データを紐付けることで楽になるでしょう。

さらにキャッシュレス決済は、レジとともに導入することで、軽減税率対策補助金の対象となります。補助金によってコストをサポートしてもらいながら、インボイス制度を見据えた対策を実施できるのです。

事前の準備とキャッシュレス決済の導入…インボイス制度への対応は多いですが、早ければ早いほど焦ることも減ります。さまざまな方法を調べて、できるだけ早いうちに準備を進めましょう。