右も左も分からない会社設立…。そんなとき頼れる相談窓口は?
目次
起業して事業が順調に大きくなってきたために会社を設立する必要がある。
起業して売上が右肩上がりだから会社を設立したら税金が安くなるよと言われた。
将来を見越して起業するときから会社組織として始めて行きたい!
などなど、いろいろな理由があると思いますが、起業家であるならば一度は考える会社の設立。いざ会社を設立しようと思ったとき、会社の設立には詳しいよ!という起業家の方は少ないのではないでしょうか。
そんなときにどうしたらいいのか、メリットやデメリットをまとめた上でご自分にあった設立の方法や相談窓口について書いていきます。
・会社にするか?個人でやるか?
事業を始める際には、会社を作っても個人事業主として始めても税務署に届けを出します。その際に個人事業主は屋号といって事業主としての名前を決めることが出来ます。
Aさんが商売を始めるのに届け出た屋号が「A商店」。この届出をすると「A商店」として活動することが出来ますが、税金やその他の面でもA商店とAさんはイコールで何も変わりません。
それに対し、Bさんが事業を始めるに際して「B株式会社」をつくった場合、Bさんと「B株式会社」は全く別個のものであり、税金も違えば、社会保険への加入義務があったりと様々な面が変わります。
会社化すると節税になる場合もありますし、売上によっては逆に税金が増えることもありえます。会社化した場合の税金などのシミュレーションを行ったほうがいいでしょう。
税の相談については税理士さんの専門分野のため、税理士以外では税の相談を受けられません。契約している税理士さんがいればいいですが、いなければ地域の商工会議所などでも定期的に相談を受け付けているので会社化するならば事前に確認を行ったほうがいいでしょう。
東京商工会議所 窓口専門相談
・設立登記、自分でやるか?人に任すか?
いろいろ検討して、会社を設立しよう!と決意したら会社設立の手続きが必要になります。
会社設立の手順をかんたんに書くと、以下のような流れになっています。
会社を作る人(一人でもOK)でどのような会社を作るか決めて「定款」という書類にする。
↓
「定款」を公証役場で認証してもらう。
↓
資本金を払い込む。
↓
定款以外にも必要な書類を整えて法務局に申請する。(申請日が会社の設立日となる)
↓
約2週間で登記簿謄本などの会社が設立した事を証明する書類が手に入る。
ものすごく大雑把に書きましたが、この中だけでも「定款」や「公証役場」、「資本金」や「法務局」といった親しみのない言葉がたくさん出てきたと思います。
さらに「定款」ではいろいろな事を決めなければならないのですが、適切に項目が決められていなければ営業するのに必要な許認可がおりなかったり、あまりに目的が多岐にわたると何をやる会社なのかわからないと銀行からの融資が受けづらい。といったこともありえます。
他にも細かな注意点があるのですが今の時代はいろいろな本も出ていますしWEBページもたくさんありますので自分でやってやれないことはありません。
まず会社を設立するにあたって重要なのが「自分で手続を全部やるか?」「会社設立の手続は任せるか?」というところです。
専門家に任せるのであれば専門家に払う報酬はかかるにしても、知らない専門用語や手続きについて勉強する必要はありません。信頼できる専門家に依頼し、知らないことは聞きながら適宜相談して進めていけば良いのです。
それに対して、自分で手続をすべて進めるのであれば人に払うお金は全くかかりません。その代わりに知らない専門用語や手続きに対する理解は必要となります。
それぞれの方法どちらが良いとは一概に言えません。費用を払っても一刻も早く会社を設立したいという方も居ますし、自分の会社なのですべて自分で手続きしたいという方も居ます。
それぞれの方に合わせた相談窓口をご紹介できればと思います。
・自分で会社を設立するならここに相談!
会社設立の手続きについて相談できる窓口は色々ありますが、書類については自分で作る必要があるため、ある程度の内容の確認、勉強は必要になります。
・法務局
会社の設立は法務局に提出する手続きのため、法務局で相談窓口が開かれています。最近の法務局は事前予約が必要になっている所が多いのでホームページで確認してから行きましょう。
東京法務局 登記相談のご案内
また、登記申請申請書や必要書類についてのページもあるので事前に確認、書類を作成した上で相談に行くのが望ましいです。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor1-1
メリット
全て無料で相談を受けられる!
アドバイス通りにやれば間違いない
デメリット
自分で会社設立の知識はある程度必要になる。
法務局まで出向く必要がある(電話だと書類の不備がわからない)
書類は自分で作らないといけない。
最近は予約が結構埋まっている。
会社の設立登記は法務局ですべて完了しますので法務局が一番詳しいです。間違いがないアドバイスをすべて無料で受けられますが、自分で勉強して書類を作り、相談に行って定款認証をして、会社の設立の申請でかなりの時間をとられてしまうことがデメリットです。
・商工会議所・商工会
法務局とは違い、民間の組織ですが公的な色合いの強い商工会議所・商工会で全国ほぼすべての地域にあり、設立の相談にのってくれるところが多いです。
メリット
会社設立以外にも経営のアドバイスなども受けられる。
人脈の構成などにも利用できる。
デメリット
自分で会社設立の知識はある程度必要になる。
商工会・商工会議所まで出向く必要がある。
書類は自分で作る必要がある
商工会や商工会議所でも無料で会社設立の相談を受けていることが多々あります。設立だけでなく経営や人脈構築など利用することが出来るので非常に有益ですが、法務局と同じように時間と手間がかかります。
東京商工会議所 窓口専門相談
・東京開業ワンストップセンター
東京都は世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備するという目的を達成するために、東京開業ワンストップセンターという施設を作っています。
こちらでは会社設立の相談、申請から定款の認証、税務署への届け出など様々なお役所への申請がまさにワンストップで行うことの出来る施設である。
メリット
会社設立だけでなく税務署や労働基準監督署などへの申請も同時にできる
様々なお役所へ出向く必要がない
デメリット
自分で会社設立の知識はある程度必要になる。
東京開業ワンストップセンターまで出向く必要がある。
書類は自分で作る必要がある
ということで、自分で設立をする場合のメリットデメリットは以下のとおりです。
自分で設立手続きをするメリット
費用がかからない
自分で設立手続きをするデメリット
時間がかかる
手間がかかる
・専門家に任せる場合
会社設立の手続を誰かに任せる場合。その場合は民間の事業者が営利でやっているのでサービスがバッチリです。
電話やメールでどんな会社を作りたいか打ち合わせをして、印鑑証明をとった上で持ってこられた書類にハンコを押すだけ。という場合が多いです。
しかし、誰かに任せるとしてもそれが誰かで内容が結構変わります。WEBで「会社 設立」で検索して出てきた「創業サポートセンター」とか「会社設立サポート」というサイト名でも運営がどの事務所かによってかなり実情が変わります。それをわかった上で手続きを任せましょう
・専門家に任せるメリットデメリット
と、その前に自分でやるメリットデメリットを書いたので、人に任せるメリットデメリットを。こちらに関しても共通しておりますので対比しやすいよう事前に書きます。
専門家に任せるメリット
手間がかからない
時間がかからない
税金が節約できる
専門家に任せるデメリット
費用がかかる
自分でやる場合と対称的ですが、一点メリットが増えています。それが税金の節約。会社を設立する際には「定款」という書類に収入印紙4万円を貼らなければならないのですが電子データに「電子署名」をすれば収入印紙4万円を貼らなくていい。という法律になっているのです。
なのでほぼすべての専門家は「電子署名」を出来るようにしていますが、その環境を整えるのに4万円以上かかってしまうため専門家以外ではその方法が取れず、専門家に頼めば4万円の節税ができる。という状況です。
自分でやった場合 | 専門家に頼んだ場合 | |
登録免許税 | 150,000円 | 150,000円 |
定款認証 | 51,100円 | 51,100円 |
定款の印紙税 | 40,000円 | 0円 |
専門家報酬 | 0円 | ?????円 |
合計 | 241,100円 | ?????円 |
なので専門家に頼んだ場合でも専門家の報酬によっては自分で手続きしてもあまり支払金額が変わらないという場合もありえるのです。
そのメリット、デメリットを含めた上で各専門家に任せた場合のメリットデメリットを確認いただければと思います。
・司法書士事務所
司法書士は登記の専門家であり、法律上、司法書士以外は登記を代理してはならないという法律(司法書士法73条第1項)があるので会社設立を受任した際に唯一登記申請まで代理して手続きの出来る専門家です。
メリット
・司法書士に頼めば他に頼む必要がない
・登記費用以外にかかるものがない
デメリット
・報酬がかかる
会社設立の報酬は約10万円くらいが相場になっています。
自分で設立する場合に比べ、印紙税が4万円ほど安くなるので実質6万円ほどで会社設立までの手続きをすべて任せられる事がメリットです。自分でやる場合には平日の昼間三日プラス設立の手続き勉強時間などの時間がかかってしまうので、その時間と報酬を比較して適切な場合には司法書士に依頼するのを検討すればいいでしょう。
・行政書士事務所
会社を設立するにあたって、業種によっては建設業の許可や飲食店の許可など様々な許認可が必要になる場合があります。そんな場合は設立段階から許認可の専門家である行政書士に相談することによってスムーズな許認可の手続きが可能です。
メリット
・許認可などが必要な場合スムーズに進められる
デメリット
・登記申請は司法書士の関与が必要なためその分の費用がかかる
・報酬がかかる
会社の設立の手続きについては行政書士が行った場合、法律上の罰則があるため行政書士報酬に加え司法書士の費用が発生する場合があります。許認可などと合わせた場合は定款認証などの費用を低廉にして貰える場合や、定期的に許認可が必要な業種では長く付き合うのではじめから一つの事務所に任せられるのは安心できることもあります。
また助成金や補助金に強い行政書士であれば定期的に有益な情報が貰えることあるでしょう。
・税理士事務所
会社設立後の顧問契約を条件に報酬無料で会社設立を受任しているところや、事務所によっては更に好条件で会社設立を行っているところもある。
メリット
・設立費用が安く抑えられる
・創業融資など設立以降もサポートを行ってもらえることも
デメリット
・顧問契約が必須な場合が多い
・登記申請は司法書士の関与が必要なためその分の費用がかかる
顧問契約という定期で長期間の契約があるため初期投資として会社設立の際は費用がかなり抑えられる場合がある。
会社を設立すると税金の計算が複雑になるため税理士が必要となる事が多いためちょうど税理士を必要としていた場合には適切だがそうでない場合には長期的な負担が増える可能性も。
このように公共の窓口も民間の士業なども会社設立のサポートを行っているがどの窓口、業種でも一長一短があるため検討の上決められるのが望ましいと思う。また、どの窓口でも無料相談などがある場合があるので相談の上最適な方法で会社を設立し、順風満帆な会社経営を行っていただけることを願っております。
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