焼き鳥屋を開業するために必要な資格や資金は?
目次
開業資金シリーズ第三弾は「焼き鳥屋」です。消費者目線で言うなら、焼き鳥屋といえば居酒屋と並んでコストパフォーマンスが高い貧乏暇なしの筆者のような独身男性にピッタリの憩いの場ですが、筆者に新しい憩いの場を提供するためには、皆さんはどれくらいの資金が必要になるのでしょうか。
――冗談はさておき、今回は焼き鳥屋を開業するにあたって必要になる資金を試算していきたいと思います。
結論、焼き鳥屋を開業するためにはこれくらいの資金が必要!
さて、WEBラインティングの基本とも言われる起承転結ならぬ起結承転に従って結論から発表していきたいと思います。
まず、焼き鳥屋を開業するにあたって必要な項目を洗い出し、それぞれにどれくらいの費用がかかるのかを試算して一覧にしてみましたので、以下の表をチェックしてみてください!
項目 | 費用 | 備考 |
---|---|---|
家賃×6ヶ月分 | 300万円 | 30坪で試算 参考値:新宿区の商業ビルの家賃相場(17,519円 / 1坪) |
礼金・仲介手数料 | 100万円 | 各家賃1ヶ月分 |
敷金・保証金 | 300万円 | 家賃6ヶ月分で試算 23区内は家賃6~10ヶ月分が相場 |
内装・厨房工事 | 500万円 | 30坪~50坪の内装工事費は500万~1000万円 |
設備 | 50万円 | テーブル・椅子等 |
人件費6ヶ月分 | 700万円 | 8時間営業4名常駐(時給1,200円) |
備品 | 30万円 | – |
広告宣伝費 | 20万円 | – |
材料費6ヶ月分 | 600万円 | – |
水道光熱費6ヶ月分 | 90万円 | 電気代6万円、水道代2万円、ガス代7万円で試算 |
合計 | 20,900,000円 | – |
だいたい30坪くらいのお店を新宿のような一等地に開業する場合は2千万円くらいの初期費用が必要になります。
もちろんもう少し人通りの少ない場所にお店を構える場合にはもう少し安く収まりますが…。
また、「6ヶ月分も開業前に準備しておく必要はあるのか?」などと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、開業時は6ヶ月無休で働くくらいの覚悟がなければうまくいかないと言われています。
飲食店は1年以内に廃業してしまう確率が40%と言われており、多くは資金不足が問題だと言われています。資金はかなり余裕を持っておくくらいでちょうど良いのです。
1ヶ月の売上を試算してみた
こちらも立地にもよりますが、1ヶ月の売上を試算してみましょう。
仮に客単価を3,000円に置いて、店内に40席を詰めたとします。――そして、新宿エリアでの出店を想定していますから、満席率80%、土日祝も合わせて1日平均して1.5回転の想定でいきます。
これで試算してみると以下の通り。
まぁこんなものでしょう。
月に30日営業したとして、
1ヶ月の利益を試算してみた
さて、満席率80%とはなかなか忙しそうですが、その対価として432万円が丸丸皆さんの手元に残るわけではなく、ここから経費として出ていくお金があります。
1ヶ月の経費を洗い出してみると以下の通り。
項目 | 金額 |
---|---|
家賃 | 500,000円 |
材料費 | 1,500,000円 |
人件費 | 1,152,000円 |
水道光熱費 | 150,000円 |
備品 | 50,000円 |
広告宣伝費 | 50,000円 |
合計 | 3,402,000 |
さて、そうなると皆さんの手元に残るお金は以下の通り。
客入りがそれなりに確保できていれば100万円近い利益が出そうです。
――もちろん、開店直後に満席率80%で1.5回転なんて実現しようとするとかなり大変ですが、開業資金の2,000万円を全額借りたとしてもしっかり運営していくことができそうです。
お客様が入らなければどうなる?
さて、順調にお客様が入っていれば50万円を借金の返済に当てても毎月50万円くらいの利益が出る計算になりましたが、客入りが少ない場合はどうなるでしょうか。
客単価が2,000円、満席率が半分の40%で1.2回転しかしなかった場合で試算してみましょう。
1ヶ月の売上は1,152,000円になります。この場合材料費も下がりますが、人件費は変わらないので赤字が出てしまいます。客入りが少ない分人件費を削ることもできますが、1名削ったとしても30万円程度にしかなりません。――さすがにこれでは運営が厳しいですね。
ギリギリ運営できそうなラインはどれくらい?
2千万円の借金を背負って運営していくとなると、経営者たる皆さんの生活費のことを考えても最低でも月に60万円くらいの利益を出さなければ厳しいです。
というのも、日本政策金融公庫から借り入れを行う場合でも、5年返済計画で毎月40万円ほどの返済が待っているためです。もちろん、返済の遅延などもっての他ですから、40万円+生活費がなければ継続は難しいです。
――では、60万円の利益を確保するためにはどうすれば良いでしょうか。先程試算した一日の売上38,400円を最低最悪のラインとして、利益を出す方法を考えてみましょう。
1.客単価を上げる
まず思いつく方法は客単価を上げるという方法です。ここで、原価率を下げてしまってはお客様も「コスパが悪い」ことに気づいて来なくなってしまいますから、同じ品目で儲けることは考えずにお客様にたくさんオーダーしてもらえるような工夫をしましょう。
例えばデザートメニューを充実させるなど、別腹作戦に出てみるのもありかもしれません。デザートがあると女性客にも喜んでもらえるので、客入り増も見込めます。
例えば客数が少なかったとしても、客単価を4,000円まで上げることができたらどうなるでしょうか。
まだ少し心もとないですね…。ここから満席率を60%に持っていくとどうでしょうか。
これくらいの売上であればなんとかペイできそうです。
焼き鳥屋はどうしても男臭いイメージがつきまといますので、ターゲットが男性グループに偏りがちですが、これを払拭したお店を作ってみるのもありかもしれません。皆さんのマーケティング力次第です!
2.客数を増やす
ポータルサイトに掲載したりすることは客数増を期待できる手っ取り早い手法ではあります。
広告にのめり込みすぎると自爆してしまいますが、節度を持って利用するのであれば広告は客数増を期待できる有効な手段となり得ます。また、地道ではありますがビラ配りや呼び込みも積極的に実施するべきでしょう。呼び込みは地域によっては規制されているので注意が必要です。
色々な手段がありますが、結局一番有効的な手段はリピーターを作ることです。パレートの法則によると、店の売上の8割はたった2割の顧客によって生み出されていると言われています。
気に入ってもらって何度も通ってもらうお客様をいかに増やすかということこそが飲食店経営の王道です。
ということで安さを売りにして客単価はそのままで頑張って客数を倍にしてみました。
これでは材料費が嵩んでしまって赤になりそうです。――ということで頑張って客単価を500円上げてみました。
これならギリギリ運営していけそうです。
まとめ
さて、終盤ではいとも簡単に客単価を上げたり客数を増やしたりして帳尻を合わせてみましたが、実際に店舗を運営するとこんなにコロコロ数値をいじってどうにかなるものではありません。
他の記事でも解説していますが、飲食店経営では「ターゲットを決めること」が大事です。
例えば、新宿で焼き鳥屋を運営するのであれば、仕事終わりのホストをターゲットにするのか、それとも仕事終わりのサラリーマンをターゲットにするのかで店の作りも、客単価も客数も全然変わってきます。
例えば身だしなみに気を使わなければいけないホストは、服にニオイが付くのをとても嫌います。――であればニオイがつかないような店作りをする必要がありますね。ホストは頭に噴水をつけている人が多いので、入り口に噴水を置いてあげると親近感を感じてもらえるかもしれません。
一方サラリーマンは限られたお小遣いの中で飲みにきているかもしれません。であればニオイがついても安価で商品を提供するほうが喜んでもらえるかもしれません。彼らは仕事の愚痴をこぼしたがりますから、机をバンバン叩いても壊れないようにしておくとストレス発散のために通ってくれるかもしれません。
皆さんが運営するお店はどんなターゲットで、毎日どれくらい来てくれそうで、どれくらいならお金を使ってくれそうでしょうか――。是非一度試算してみてください。
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