日本政策金融公庫の審査を通すためのコツ7選!個人事業主でも融資は受けられる
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日本政策金融公庫では、起業をした際にお金を借りるための第一候補となる金融機関です。民間の銀行では「個人事業主1年目にお金を貸すのはリスクが高い」ということで審査が通らなかったり高い金利がつくケースは多々ありますが、日本政策金融公庫は100%政府が出資する金融機関です。
――そのため、ある程度リスクがあっても国の経済の発展や地域の活性化の役に立つという判断がされれば少ない金利でそれなりの金額を借りることができます。もちろん、その分審査に時間がかかったり、事業継続性がなかったりする場合は日本政策金融公庫でも借りることができないのですが…。
では、そんな個人事業主1年生にとって嬉しい金融機関である日本政策金融公庫から融資を受ける際にはどのようなポイントに気をつけておけば良いのでしょうか。今回は、融資を受けるためのコツを7つ厳選してご紹介していきたいと思います。
こんな場合はNG!お金を借りられる可能性が低いパターン
まずは日本政策金融公庫であっても、以下のようなケースの場合は融資を受けることができる可能性が低くなってしまいます。
まずはこれらの当てはまっていないかどうかを確認してみましょう。
1.クレジットブラック
クレジットブラックとは、直近5年以内にクレジットカード事故があった人のことを指します。俗に言う「ブラックリストに載る」というやつですね。
クレジット事故とは、「返済の遅延、踏み倒しなどのことを指します。」しっかり期日中に支払うようにしておきましょう。
2.税金の滞納
通常サラリーマンとして働いている場合は税金は給与から天引きされるため、特に気にする必要はありませんが、開業をするとこの当たりの税金も自分で納めなければいけません。注意しておきましょう。ただ、現在滞納がある方も申請するまでに完納していればOKですので、なんとか支払うようにしましょう。
3.支払いの遅延がないか
日本政策金融公庫では、家賃や水道光熱費、携帯電話料金の支払い状況についてもチェックされます。こういった毎月の支払期日に遅れていたりすると「お金にだらしない」と見なされてしまい融資を受ける際に減点対象となってしまいます。支払い期日に遅れがないかどうかは、少なくとも半年くらいのスパンで見られると言われていますので、遅れてしまいがちな人も融資を受ける直近6ヶ月間は期日どおりに支払うようにしましょう。
4.既に借金がある場合
既にキャッシングを利用している方は融資が受けにくくなってしまいます。金融機関はその人がどこからいくら借りているのかということを把握することができます。
お金の借貸の書類を書くときには「現在いくら借り入れがあるか」を記入する欄がありますが、ここで虚偽の情報を書いても必ずバレてしまいますので、包み隠さず伝えましょう。嘘の情報を書くと「嘘つき」と思われて融資を受けられる可能性がさらに下がってしまいます。
日本政策金融公庫で融資を受けるためのコツ7選!
――さて、上記に当てはまっていないことは大前提として話を進めていきたいと思います。
以下では日本政策金融公庫で融資を受けるためのコツをご紹介していきたいと思います。
1.しっかり準備をする
日本政策金融公庫では、しっかり準備さえしていれば高い確率で融資を受けることができます。逆に準備を怠ってしまうと融資の確率が下がります。
そして、日本政策金融公庫の融資は一度失敗すると「一度却下している」という烙印が押されることになりますので、再チャレンジをするために半年以上の期間を空けなければいけなくなります。
「これから事業を始めよう!」というのに半年も待ちたくありませんよね?ですので、しっかりと準備をしていく必要があります。ここで言う準備とは、書類はもちろんですが面談の準備も含みます。
日本政策金融公庫で融資を受けるために必要なものを以下にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
借入申込書 | こちらの書類を漏れなく記入する必要があります。 |
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通帳のコピー | 直近6ヶ月分の通帳のコピーをして提出します。支払いで使用している銀行の通帳のコピーを用意しましょう。 |
創業計画書・企業概要書 | 創業計画書、企業概要書は日本政策金融公庫の公式HPで公開されています。漏れなく、現実的に且つ正直に記入しましょう。 |
支払明細書 | 借り入れがある場合に現在の支払い状況がわかるものを提出する必要があります。 |
不動産の賃貸借契約書 | 店舗型の場合は仮押さえしている不動産でも良いので、契約条件がわかる書類を用意しましょう。自宅兼オフィスの場合は自宅の契約条件がわかるものを用意。 |
営業許可書 | 業種によっては不要ですが、事業を行うために免許や資格が必要な場合は営業許可書あるいは免許を提出する必要があります。 |
設備投資計画書 | 店舗の内装を行う場合や別途設備を必要とする場合は工事費の見積もりを準備しましょう。 |
運転免許証 | 自分の住所や電話番号を証明するものです。運転免許を持っていない場合はそれに相当する証明書を用意。 |
印鑑証明書 | 自治体に登録する印鑑証明書です。持っていない場合は市役所や区役所に行って準備しましょう。 |
源泉徴収票 | 2年分必要になります。確定申告書でもOKです。2年分なければ1年分でもOKです。 |
事業計画書 | 創業時に借り入れを行う場合は事業計画書があると金利が安くなる場合があります。準備しておきましょう。 |
税金納付の領収書 | 税金をしっかり納めていることを理解してもらうために必要になります。住民税、所得税に関しては用意しておきましょう。 |
貸借対照表、損益計算書、売上の根拠資料 | 既に売上があがっているものがあれば、それが確認できる資料を用意しましょう。また、キャッシュフローがわかる資料も準備しておきましょう。 |
融資をする前に面談を受ける必要があるのですが、この時に面談担当者に「この人はしっかりお金を返してくれる」ということを理解してもらう必要があります。そのため、面談の準備についても怠らないようにしましょう。
なぜなら日本政策金融公庫は、基本的に貸付以外の業務は行っておらず、お金を貸すことで利益を出していくしかないためです。――つまり、彼らは多少のリスクがあってもお金を貸したいと考えているわけですね。
――しかし、身だしなみがだらしなかったり、事業計画が曖昧であったりするとそれだけでマイナス評価につながってしまいます。
しっかり計画性を持ってお金を借りようと考えているのだということを面談で伝えられるように最大限の努力をしましょう。――また、日本政策金融公庫は日本経済の発展のためにある金融機関です。その事業が社会的な意義があるものであれば、そういったポイントもアピールするべきです。
なので、事業のプレゼンテーションを行うつもりで「どういうことを伝えるのか」を整理してから面談に臨みましょう。
2.ある程度自己資金を用意しておこう
お金を借りるためには、自己資金がある程度必要になります。例えば、貯金が0の人にお金を貸すのは怖いですよね?本当に返ってくるか心配になってしまいます。全く貯金がないと「この人はお金にだらしないからもしかしたら踏み倒されてしまうのでは…?」と思われてしまいます。
――ですので、ある程度の資金は創業時に準備しておく必要があります。一般的に借りる資金の5分の1くらいの金額は用意しておいたほうが良いと言われています。
もちろん、事業の内容によっては5分の1の金額を集めることも難しいかもしれません。
その場合はコツコツ貯金しているということを証明できるようにしましょう。融資を受ける際には、1ヶ月で一気に貯めた300万円よりも数年かけて貯めた300万円のほうが良い評価がされると言われています。
融資を受けるためには、「稼ぐ力がある」ということよりも「計画性がある」ことや「信頼できる」ことのほうが有利に働くためです。
よくお金持ちの人は、「お金でなくて信用を集めろ」と言いますが、つまりこういうことなのです。――とはいえ、最低100万円くらいの自己資金は用意しておきたいですね。
3.できるだけ業界の知識は身につけておこう
皆さんがどのような事業を開始されるのかはわかりませんが、例えば自宅で料理をたまにする程度の人に飲食店の経営ができるでしょうか。あるいは広告の知識など全くないのに広告代理店ができるでしょうか――。
考えてみれば当たり前のことですが、起業する際に過去に経験がある事業のほうが成功確率が高いとされています。
美容師が自分の店舗を持つまでに数年間修行をするように、料理人の板前修業があるように、どんな事業でもある程度の業界に対する知識や専門性を持っているほうが「成功する確率が高い」と見なされます。
まるで採用面接のようですが、「以前は○○の会社で△△を経験しました。この経験を活かして自分はこういう考えのもと事業を行います。」と言えるのと言えないのとでは、「事業継続性」には雲泥の差があります。
日本政策金融公庫も事業が継続しなければお金を返してもらうことができませんから、できる限り知識が豊富な人に貸付を行いたいのです。
4.何にいくら使うか明確にしておこう
皆さんが友人の「お金を貸して欲しい」と言われたら、「何に使うの?」と聞きたくなりますよね?「とりあえずちょっと困っててさ…パチンコで倍にして返すから」なんて言われればどんなに親しくても貸す気は失せてしまいます。
公庫から借り入れを行う場合でも、これは同じです。「とりあえず不安なので○○円借りたいです。」という計画性のない人よりも「設備に○○円、運転資金に○○円、HPを制作するために○○円の費用がかかるので、○○円必要です。」という計画性のある人のほうがお金を貸しやすいのです。
何にいくら使うかということが明確であれば、「なるほど、HPを制作したらこれくらい集客が見込めるから、3ヶ月もあれば回収できるだろう」という判断をすることもできますからね。
5.補足資料を提出する
冒頭でも説明したような「必要書類」は必須のものですが、これ以外に資料を用意してはいけないというルールはありません。
例えばニッチなIT業界に参入する場合はどうでしょうか。博覧強記な公庫の担当者とて、「最近流行っているプログラム言語はPythonというものがあって…」とか「SEO対策をするためには○○をしなければならないが、多くのWEB担当者は誤解していて一部の悪徳な会社に騙されています…」などという業界特有の裏情報やトレンディ且つナウいことは知らないはずです。
そのため、「自分が参入しようと考えている業界にはどんな需要があって、どのんあ競合他者がいて…」みたいなことをまとめた資料があれば、それは担当者に「この人は返してくれる」と思わせるために有効な材料になります。
また、補足資料を提出することで「熱意」をアピールすることもできます。担当者とて人間ですから、「やる気」を見せられると「助けてあげたい」という気持ちになります。融資を受けるためには契約書や事業計画書のようなハードな部分ももちろん重要ですが、「熱意」や「意欲」といったソフトな部分も融資成功の鍵を握ってることを理解しましょう。
6.面談担当者は味方だと考えよう
融資を受けるまでに、面談は「クリアすべき課題」と思ってしまいがちですが、その認識は改めたほうが良いです。先程も申し上げた通り、日本政策金融公庫はお金を貸すことしかできませんので、「お金を貸したい」と考えているのです。
公庫はお金を貸すことでそれがしっかり返済されれば利益になります。しかし、踏み倒されてしまった時に損になります。――ただそれだけのことなのです。難しく考える必要はありません。
担当者はお金を貸したいのですから、皆さんの事業に計画性があり、そして皆さんが信用に値する人物なのであれば喜んで貸してくれます。むしろ、ある程度マイナスとなる部分があったとしても、担当者プラスになるような部分を見つけ出そうとしてくれるはずです。
例えば取引先からの入金が遅れてしまい一度だけカードの支払いが遅延したことがある場合、「君、カードの支払いが遅延しているね?そんなんじゃ甘いよ。日本で成功したければそのあたりしっかりしないとね。はい、終わり!解散!」となるのではなく、「この人、一回だけクレジットカードの支払いが遅延しているけど、なんでだろう?」ということを調べるために面談があるのです。面談でキッチリ事情を説明して「なるほど、そういう状況があったのか。であればこれは仕方ない。マイナス点にはならない。」と判断してもらうための面談なのです。要するに面談は汚名返上の機会なわけです。
マイナスになる部分を見つけるためには書類で十分なのですから――。
7.認定支援機関や税理士を利用する
融資の審査を通すためにアドバイスをしてくれる認定機関というものがあります。
認定機関を利用することで費用はかかりますが、それでも専門家のアドバイスとは貴重なものです。また、場合によっては面談の際に認定機関や税理士に同席してもらうことも可能です。
税理士の中には「融資に強い税理士」という人たちがおり、彼らは融資を受けることに特化した確定申告書の書き方や書類の書き方をアドバイスしてくれます。
こういった税理士と顧問契約を結んでいるともちろん面談に同席してもらうこともできます。これほど心強いことはありません。
ただ、どちらかというと認定機関のほうが「融資を受けること」に特化していますし、税理士と顧問契約を結ぶと月額料金も発生しますので、融資を受けるためだけのことを考えるなら認定機関のほうが良いかもしれません。
まとめ
さて、上記をクリアすれば確実に融資を受けられるという保証はできませんが、これらのコツを理解しているのとしていないのとでは雲泥の差があります。
大事なことは「計画性」と「信用してもらうこと」です。これらを念頭において、日頃から準備をしていくことをおすすめします。
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