カフェの経営資金はどれくらいが妥当?ランニングコストとストックしておくべき資金
目次
何かしらの事業を始めるためには色々と資金が必要になります。カフェを経営する場合でもだいたい2000万円くらいの開業資金が必要だと言われています。
今回は、カフェの経営資金には何にどれくらいの資金が必要になるのか、また、どれくらいの資金をストックしておく必要があるのかということについて解説していきたいと思います。
カフェの開業資金は2000万円!?
まず、カフェの開業をするためには規模にもよりますが20坪程度の場合2000万円くらいは準備しておいたほうが良いです。
――しかし、人によっては300万円程度で開業する方もいらっしゃるようなので、経営スタイルによってフレキシブルに対応することはできます。
まずは20坪程度のカフェ開業のために必要な資金について以下で項目を洗い出してみましたので、チェックしてみましょう。
項目 | 費用概算 | 備考 |
---|---|---|
家賃6ヶ月分 | 1,200,000円 | 東京都23区内の平均家賃8,834円 / 1坪で試算 |
敷金・礼金・仲介手数料 | 600,000円 | 各1ヶ月分で試算 |
内装工事費 | 6,000,000円 | 工事費相場1坪300,000円で試算 |
設備費 | 5,000,000円 | 厨房・オーブン・空調・冷蔵庫・テーブル・レジ等 |
人件費6ヶ月分 | 4,500,000円 | 25万円×3名で想定 |
消耗品 | 500,000円 | 食器・灰皿・掃除用具等 |
広告宣伝費 | 500,000円 | チラシ、HP制作、ポータルサイト掲載費等 |
材料費6ヶ月分 | 3,600,000円 | – |
水道光熱費6ヶ月分 | 120,000円 | 電気代9,000円、水道代7,000円、ガス代4,000円で試算 |
合計 | 22,020,000円 | – |
人件費や材料費など、もう少し削れるところはあるかもしれませんが、内装に拘ったりする場合などは2000万円では足りなくなってしまう可能性もありますね。
――ただ、人件費や材料費、水道光熱費といった必ず支払いが必要な俗に言う「運転資金」というのは6ヶ月分はストックしておく必要があります。
飲食店は1年目で35%が閉業すると言われており、この多くの原因は資金不足によるものだと言われています。特に居酒屋やバーでも無い限りオープン需要というのはそれほど見込めませんから、カフェ経営の場合は6ヶ月は最低でもストックしておきたいです。
1ヶ月の運転資金はどれくらい?
さて、ついでに1ヶ月の運転資金についてもどれくらいになるのかチェックしていきましょう。
項目 | 費用概算 | 備考 |
---|---|---|
人件費 | 750,000円 | 従業員3名×25万円 |
家賃 | 200,000円 | 1坪9,000円程度+管理費 |
材料費 | 600,000円 | – |
水道光熱費 | 20,000 | 電気代9,000円、水道代7,000円、ガス代4,000円 |
広告宣伝費 | 30,000円 | ポータルサイト掲載費等 |
備品等 | 10,000円 | 食器、掃除用具、包装資材等 |
合計 | 1,410,000円 | – |
だいたいの計算ですが1ヶ月で合計100万円くらいですね。つまりランニングコストとして600万円くらいは常にストックしておくことが理想的です。
1ヶ月の売上はどれくらい?
さて、続いて気になるのが、どれくらいの売上を上げることができるのかということです。開業資金として融資を受けるにしても売上が上がらなければビジネスとして成り立ちません。
さて、売上の試算の方法ですが、以下のように試算してみましょう。
まずは客単価ですが、チェーン店の場合だいたいコーヒー一杯400円くらいが妥当でしょうか。少し高く見積もっても500円くらいでしょう。ランチセットなどを販売してもだいたい1,000円くらい。少し高く見積もって1,200円になります。――もちろん、それ以上に付加価値のある店づくりをするのであればもう少し金額を上げても良いかもしれませんので、あくまで目安と考えてください。
今回は便宜上この2品目で客単価を見積もってみましょう。コーヒー単品とランチセットとの割合は7:3だとします。すると客単価は710円となります。
次に席数ですが20坪くらいの広さであればだいたい30席くらいが妥当です。
回転数に関しては1.5時間で1回転くらいが妥当だと思います。筆者も週末は仕事をするために必ずカフェに行きますが、申し訳ないと思いながらも5時間くらい居座っています。そのためカフェに来ている人たちがどれくらいで入れ替わるかもなんとなくわかるのですが、少なくとも1時間以上は皆さんいらっしゃると思います。
――で、朝9時から夕方19時まで10時間無休で営業したとしましょう。その場合の回転数は10÷1.5で6.6になります。――が、常に満席状態が維持されるわけがないので、この半分、の3.3くらいで見積もりましょう。
すると一日の売上は以下のようになります。
飲食店の売上指標を測るものに、FLR比率というものがありますが、これはFood(食材)とLabor(人件費)Rent(家賃)を足した数値を売上で割ったものになります。これが70%程度であれば理想的な利益が出ているほうだと言われています。ここでは広告費等を含めて試算しますが、1,410,000÷2,108,700=66.8%となり、だいたい妥当な水準であることがわかります。
つまり20坪の店舗で50%程度の席が埋まっている状態を維持できれば月70万円くらいの収益を見込めるということですね。
年収はどれくらいになる?
さて、この70万円が丸々皆さんのお財布に入るのであれば嬉しいのですが、そんなにうまく行くものではありません。冒頭でも紹介した通り、開業には2000万円くらいの資金が必要になりますし、皆さんとて生活費が必要になるかと思います。
では仮に2000万円を借り入れたとすると、毎月どれくらい返済しなければならないでしょうか。日本政策金融公庫から借り入れを行ったとして、基準利率は2.85%です。すると利子ありの借金は20,570,000円となります。気が遠くなりそうな金額ですね。
これを5年間で返済していくとなると、1ヶ月の返済額は342,833円となります。つまり70万利益が出たものの中から40万円近くが持って行かれるわけですね。すると手元に残るのは30万円程度になります。――まぁ、こんなものでしょう。初年度はやはり客数も集まりにくいですし、30万円程度で軌道に乗るまでは我慢する必要がありそうです。
まとめ
今回は東京都内で20坪程度のカフェを経営する場合の開業資金と月の運転資金について試算してきましたが、これがまた土地が安いエリアであったりする場合は別の試算になります。
本項で試算した内容を参考にしながら、皆さんの考える事業計画をもとに実際に試算してみてください。その時には、できるだけ厳し目に試算することをおすすめします。
先程も紹介しましたが、飲食店の35%は1年目に閉業を余儀なくされており、その多くは資金不足によるものだと言われています。
よほど好条件が揃っているのであれば1年目から利益を生むことはできるかもしれませんが、カフェのようにほとんど常連客によって成り立つ経営スタイルではやはり1年目は我慢の年になります。
筆者自身、毎週末都内の同じカフェに行くからこそわかりますが、本当に毎週同じ顔を見ます。(笑)
飲食店の売上の話では良く出てくるパレートの法則によれば、「8割の売上は2割の顧客によって生み出されている」らしいのですが、それは間違いではないなと思わされます。
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