リアカーで移動販売をする場合にも営業許可は必要なの?
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移動販売で開業をする場合、キッチンカーなどに保健所から許可を取る必要があります。さらに、移動販売を行うために必要な営業許可は、皆さんが商売をするエリアごとの保健所で取得する必要があるのです。
——例えば、東京都の新宿区で営業許可を取ったとしても、八王子市で営業をすることはできません。八王子市で営業をするためには、八王子市の保健所から営業許可を取らなければならないのです。
意外と面倒な移動販売の許可ですが、キッチンカーではない場合…、例えばリアカーで行商を行う場合にはどうなのでしょうか?
リアカーでも食品を扱うなら営業許可は必要
結論から申し上げると、リアカーであっても営業許可は必要になります。
リアカーはキッチンカーに比べて異物が混入しやすく、食品の低温管理がしにくくなってしまいます。このため、食品衛生上の問題はキッチンカーに比べて発生しやすいのです。保健所は、消費者の健康を守るためにあるのですから、より衛生管理が難しいリアカーの取締を怠るわけがありません。
ただし、リアカーなどで販売を行うために必要な許可はキッチンカーで販売を行うために必要な許可とは異なります。実はあまり知られていませんが、キッチンカーの場合「移動販売」とみなされるのですが、リアカーの場合は「移動販売」とはみなされないのです。リアカーで商品や食品を販売する営業形態は「行商」といいます。
移動販売と行商の違いを知ろう
東京都の保健所が発行しているパンフレットによると、移動営業と行商は以下のように定義されています。
移動営業
業種 飲食店営業(移動)・菓子製造業(移動) 内容 引車により随時移動し、食品を製造し、加工し、又は調理し、これを客に飲食させる形態のもの
引車によって食品の調理を行うのは、例えばラーメンの屋台のようなものをイメージしていただければわかりやすいです。ラーメンの屋台には車輪がついていて、移動できるようになっているものを見かけたことがありますでしょうか。それが「移動営業」と呼ばれるものです。
行商
業種 菓子(行商)・アイスクリーム類(行商)・魚介類(生きているものを除く)及びその加工品(行商)豆腐及び加工品(行商)・ゆで麺類(行商)・弁当及び惣菜類(弁当等人力販売業) 内容 左に掲げる食品(缶詰食品、瓶詰食品及び容器包装詰加圧加熱殺菌食品を除く)を人力により移行しながら販売(不特定又は多数の者に対する販売意外の授与を含む)する形態のもの
「人力で移動する」というのが大きなポイントになっていることがわかります。このため、リアカーやあるいは自転車などで移動販売をする場合も行商とみなされることになります。
移動営業・行商は保健所から許可が出にくい!?
さて、お手軽そうに考えてしまいがちな移動営業と行商ですが、実は食品を販売する場合は行商のほうが許可を取るのが難しいとされています。理由は先程も述べた通り、「衛生管理が難しいため」です。
もちろん、許可を取得することができないというわけではありませんが、例えば東京都の保健所は、移動営業や行商用パンフレットで、以下のようなことを記載しています。
引車による営業は、衛生上不十分になりがちであるため、できるだけ固定店舗や自動車による営業に変更してください。
新たに食品に関する営業を始められる皆さんへ – 東京都福祉保健局
このように、特に食品を加工・調理する移動営業をほとんどの自治体が推奨していないのです。事業主視点で見れば車を購入する必要もなければ、改造してキッチンカー仕様にする必要もない行商や移動営業は開業が簡単そうに見えますが、保健所は「できればやめてほしい」と考えているのです。
現在も屋台営業を推進しているのは、福岡にある中津のラーメン屋台くらいです。それ以外の自治体では、特に移動営業の許可は滅多なことが無い限り降りないと考えたほうが良いかもしれません。
一方、行商はどうかというと、やはり行商も電源を供給するものがなく、低温管理ができないという理由から、食品を販売するのは難しいようです。——とはいえ、自治体によっては移動営業や行商を推進しているところもあるかもしれないので、どうしてもキッチンカーを採用できない場合は、事前に保健所に相談するようにしておくと良いでしょう。
まとめ
移動販売には、キッチンカー・移動営業・行商の3種類がありますが、どの業態であっても食品を扱う場合は保健所から営業許可を取得する必要があります。しかし、キッチンカー以外での移動販売では営業許可が降りにくいのが現実です。
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