デイサービス施設で使われる電力はどれくらい?電気代を見直してコスト削減!

デイサービス施設で使われる電力はどれくらい?電気代を見直してコスト削減!

目次

  1. デイサービス施設の固定費
  2. 節電の施策を行う
    1. 照明をLEDに切り替える
    2. 空調を見直す
    3. 厨房の節電
  3. 設備のメンテナンスによる節電効果
    1. エアコン
    2. 冷蔵庫
  4. 従業員・利用者がみんなで「節電」を意識する
  5. 電気代をチェックする
    1. 消費電力の求め方
  6. 料金を見直して利用量に合わせたプランを導入
    1. 電気料金の計算法
    2. 知っておきたい「力率」
    3. プランの選び方
  7. 電気会社を見直すだけで電気料金はこんなに安くなる!
  8. おわりに

デイサービス施設では、自治体の格差は若干あるものの、介護報酬と人員配置は基本的に全国でさほど大きな差異はありません。
その中でより良いサービスを提供し、独自性を出していくためには、コストカットを心がけ、それを利用者や従業員に還元し、事業収益をあげることが大切です。

今回は、デイサービス施設のコストを削減するために取り組みたい、電気代の見直しと節電施策をご紹介します。

デイサービス施設の固定費

デイサービス施設でかかる固定費は、施設の賃料や人件費、そして送迎に利用する車両費、光熱費や水道代、設備に掛かる費用など多岐に渡ります。

独立行政法人福祉医療機構が発表した「平成25年度 老人デイサービスセンターの経営状況について」によると、デイサービスセンターの人件費率は一般型63.7%、認知症対応型は66.5%と、人件費の比率が他業態と比較して高くなっています。
そして経費率は、一般型が 22.6%、認知症対応型は18.3%です。
人件費の比率が高いのは、介護施設の特色といえるでしょう。

各固定費の節約できる項目や見直し方を簡単にご紹介します。

施設の賃料や駐車場代
移転を行うことで賃料を下げることができますが、敷金や引っ越し費用その上改築費用などが掛かるので、気軽に行うのは難しいといえます。
施設の賃料や駐車場代は、再契約の際に見直し交渉を行うことで、下げることができるケースもあります。

人件費
業務フローの見直しを行い効率化をすることで、無駄な残業を減らすことができます。
また、パートタイムや契約社員の活用だけではなく、賞与を一律ではなく評価基準を設けることで、総額の削減を行うこともできます。
とはいえ人件費はデイサービスを支えるコアとなる部分です。
単に「削減をすればするほどよい」というものではありません。

適正な人員配置を行い、サービスの質を落とさないことが重要です。
今後介護業界はさらなる人手不足が予測されており、人件費が高騰すると予想されています。

参考:
独立行政法人福祉医療機構「平成25年度 老人デイサービスセンターの経営状況について」
http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/gyoumu/keiei/pdf/2015/research%20team/150930rd.pdf

車両費
外注で送迎を行っている場合、自社に切り替えることで経費を浮かせることができるようになります。
送迎に使う車両は、安価なものにこだわるのではなく、職員や利用者の安全を第一に考え、サイズやスペックそして機能など多角的に検討をすることが大切です。

光熱費や水道代
電気・ガス・水道は、施設の固定費の中でも、節約に取り組みやすい項目といえます。
小規模な施設の場合、光熱費は10万円を下回ることもありますが、光熱費が売り上げの5%を占めている場合、1万円の光熱費を節約するだけで、33万円の売り上げに相当するのです。
介護報酬が規定されている中で、この節約効果は非常に大きいですよね。

設備に掛かる費用
一度導入した機材や設備を長持ちさせるためには、多少出費が増えてもメンテナンスを定期的に行うことが重要なポイントです。

参考:
経済産業省「一般飲食店における省エネルギー実施要領」
http://www.meti.go.jp/setsuden/press/20080331014/03_2_inshoku_shoene.pdf

節電の施策を行う

節電の施策を行うことで、エネルギーの消費を抑えコストカットをすることができます。
多数の施策を取り入れるとともに、習慣化することで、日々のエネルギー消費をおさえましょう。

照明をLEDに切り替える

産労総合研究所が発表した「介護施設における経費削減に関する実態調査」によると、「LED蛍光灯に交換」という施策は、調査の中で約37.4%もの施設が取り入れていると回答しています。

実際に、白熱電球をLEDに切り替えると、どのくらいの節約になるのでしょうか。
東芝ライテック株式会社の公式HPにある、「省エネ計算プログラム」で、シミュレーションを行ってみましょう。

参考:
省エネ計算プログラム
http://www.tlt.co.jp/tlt/lighting_design/syoene/keisan/led_denkyu/led_denkyu.htm#0

「一般白熱電球20W形相当」をLED照明に変更した場合を算出してみます。
LED照明の1灯の購入費用は7,560円です。
これを年間365日から土日の104日を引くと201日、1日8時間点灯した場合の電気の代金を計算してみます。
すると、白熱電球は年間約794円なのに対してLED電球は年間約199円で、その差は約595円となります。
償却年数は約12.8年となっていますが、営業時間が長ければ長いほど電気の代金はお得になり、償却も早くなります。
年間201日、1日16時間を点灯した場合で計算をすると、約6.4年で償却することができます。

この試算は1灯のみを変えた場合なので、店内の照明を20灯LED照明に変えた場合には、償却年数は変化しませんが、電気代は年間約11,898円もお得になります。

デイサービス施設は日当たりの良い、採光に恵まれた建物が多いですが、手芸や書写そして読書などを楽しむためには、日中でも室内をより明るくする必要があります。
利用者は視力が落ちている方も多いので、快適に利用してもらうためにも、明るさに配慮したいものです。

照明を間引いたり、こまめに消したりするだけではなく、適切な明るさを保ちつつ節約をするために、LED照明の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:
産労総合研究所「介護施設における経費削減に関する実態調査」
http://www.e-sanro.net/iryo/i_research/i_research06/pr1310/

東芝ライテック株式会社「省エネ計算プログラム」
http://www.tlt.co.jp/tlt/lighting_design/syoene/keisan/led_denkyu/led_denkyu.htm#0

空調を見直す

空調は電気消費量が大きい機器のひとつです。

設定温度を適温に
空調設定温度を1℃緩和すると、空調に使用するエネルギーを約10%も節約することができます。
冷暖房の設定を見直し、適温になるように心がけましょう。
室内に温度計を設置して、従業員だけではなく利用者もチェックし設定をこまめに変えることで、より節電をすることができます。

扇風機やサーキュレーター、シーリングファンなどを併用する
冷暖房の効率をより良くするために、扇風機やサーキュレーター、そしてシーリングファンなどの室内の空気を循環させる製品をエアコンとあわせて活用しましょう。
単に空調効率をあげることができるだけではなく、利用者に直接冷暖房の風があたることを防ぐことができ、より快適に過ごせる環境を実現することができます。

古いエアコンを買い替える
冷暖房機器の大手、ダイキン工業のHPでは、エアコンの買い替えによる省エネ効果を紹介しています。
これによると、エアコンのエネルギー消費効率は劇的に向上していることがわかります。
1995年型の製品では、期間消費電力が1,492kWhで年間電気代が32,800円だったのに対し、2008年型の製品では期間消費電力量が858kWhで年間電気代が18.900円と、約40%もの削減が期待できるのです。

エアコンの買い替えは初期投資がかかってしまいますが、全てを一括で交換するのではなく、計画的に買い替えを進めることで、節電が期待できます。
15年以上前の製品は、買い替えの対象として、購入計画を立ててみてはいかがでしょうか。

参考:
東京都環境局東京都地球温暖化防止活動推進センター「フィットネスクラブの省エネルギー対策」
https://www.tokyo-co2down.jp/documents/fitness.pdf

ダイキン工業「省エネエアコンってどのくらい省エネ?買い替えによる省エネ効果」
http://www.daikin.co.jp/csr/information/select/01.html

厨房の節電

食事の提供を行うために、厨房を併設しているデイサービス施設では、厨房の節電も重要なポイントです。

冷蔵庫の使い方
冷蔵庫の庫内温度の設定を適正な温度にするだけで、電気の使用量を削減することができます。
また、庫内の清掃を定期的に行い、開閉時に冷気が逃げてしまわないように冷蔵庫用のカーテンを使用しましょう。

参考:
経済産業省 「平成22年度省エネルギー政策分析調査事業『家庭におけるエネルギー消費実態について」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/pdf/h22_bunsekityosa.pdf

設備のメンテナンスによる節電効果

節電を行うためは、単に施策を取り入れるだけではなく、「設備のメンテナンス」にも気を配ることが重要です。
ここでは、特に消費電気の量が多いエアコンと冷蔵庫の設備のメンテナンスによる節電をご紹介します。

エアコン

エアコンのフィルターは1週間に1回洗浄し、メンテナンスを行うことが推奨されています。
ここで注意したいのが、室内の機器だけではなく室外機フィンコイル洗浄など、室外機の清掃やメンテナンスも併せて行うことです。

「日本冷凍空調工業会」が、室外機フィンコイル洗浄の効果を調査した結果を公表しています。
これによるとノーメンテナンスの場合、冷暖房のエネルギー消費量が上がってしまうだけではなく、能力も下がってしまうようです。
年に2回定期的にメンテナンスを行っている場合と、4年目のノーメンテナンスを比較した場合では、消費する電気は暖房で約200%も増えることが判明しています。
メンテナンスや政争の計画をきちんと立てておくことが大切です。

参考:
日本冷凍空調工業会「業務用エアコンを長く安心してお使いいただくために」e-book
https://www.jraia.or.jp/download/e-book/tenken_gyoumu/_SWF_Window.html?mode=1062

冷蔵庫

業務用冷蔵庫の場合、ドアのパッキンが1cm欠損すると冷蔵庫では約17%、冷凍庫では約27%も余計に電気を消費してしまいます。
定期的に清掃を行うだけではなく、メンテナンスも計画的に行い、破損した場合には速やかに修理をするように心がけましょう。

参考:
経済産業省 「一般飲食店における省エネルギー実施要領」
http://www.meti.go.jp/setsuden/press/20080331014/03_2_inshoku_shoene.pdf

従業員・利用者がみんなで「節電」を意識する

節電は従業員だけではなく、利用者理解と協力が欠かせません。
従業員・利用者が一体となって「節電」を意識することで、施策の効果をより高めることができます。

節電に対する協力のお願いを掲示するだけではなく、電気を使っている量や料金を掲示し、取り組みを行った結果を共有しましょう。
従業員や利用者の節電へのモチベーションを高めるためにも、電気代や電気使用量の変化をグラフや図にしてわかりやすく「見える化」しましょう。
掲示を行うことで、施策の効果が実感し、より意識を高めることができます。

電気代をチェックする

電気代をチェックすることで、電気を使っている量や施策の効果を確認することができます。
また、電気を使っている量から電気代を算出することも可能です。
どの位電気を使用しているのか計算をすることで、無駄遣いを防ぐとともに、適正な電気のプランの選択に役立てることができます。

消費電力の求め方

消費電力とは、「どの位電気を使ったか」という値です。
W(ワット)という記号で示され、1時間単位の利用量を掛け合わせることで、電気を使った時間の電気量を算出することができます。
電気量=消費電力(W)×利用時間(h)

検針票で使われているkWh(キロワット)という値は、使った時間の消費電力から算出することができます。
kWh=利用した時間の消費電力(Wh)÷1000

そして、利用した時間の電気代を算出するにはこのkWhを利用します。
使用した時間の電気代=利用した時間の消費電力(kWh)×電気代の単価

参考:
ミラとも「節電するならまず電気使用量をチェック!家電の消費電力を調べる方法」
https://miratomo.jp/article/2235

料金を見直して利用量に合わせたプランを導入

節電を行ったら、契約電力を見直しましょう。
契約電力とは、12ヶ月の中で最も多い数値で決められます。
1度に使った電力量の最大値を取るのです。
例えば、過去12ヶ月の中で8月の電力使用量が60KWの場合には、契約電力は60KWになります。

電気料金の計算法

電気の基本料金は、「基本料金単価×契約電力×(185-力率)÷100」で求めることができます。
また、電気量料金は「電力料金単価×使用電力量±燃料費調整」で求めることができます。

参考:
経営会議ドットコム「日本一分かりやすい企業向け電気料金の計算方法」
http://yts.jp/article/0147/

知っておきたい「力率」

「電気を無駄なく使えているか」を知りたいときに目安になるのが力率です。
供給された電力のうち、有効に使った電力の割合のことを指します。
先ほどお伝えした通り、基本料金の計算には力率が使われており、力率85%以上の場合には割安になります。

プランの選び方

施設に合ったプランを選ぶためには、検針票を基にシミュレーションを行うのがおすすめです。

電気を使う時間帯によって単価が変わるプランもある
電気を使う時間によって、電気代が異なるプランがあります。
ただしデイサービス施設の場合、電気を使うのは日中なので、時間帯プランの利用は非常に大きな効果が出るものではありません。

電気会社を見直すだけで電気料金はこんなに安くなる!

ハルエネでんきでは、検針票を基に電気会社を見直した際にどれだけ電気代が安くなるのか試算することができます。

契約形態 法人
現在ご利用中の電気会社 東京電力
ご契約種別 従量電灯B
ご契約容量 60A
使用月 4月
電気を使った量 3000kWh

この条件でシミュレーションを行うと以下の結果になります。

現在の契約の電気代 年間1,082,667円
ハルエネでんきに乗り換えた場合 年間1,133,825円
今より 年間- 51,158円

電気会社を見直すだけで、こんなにお得になるのは嬉しいですね。

おわりに

デイサービス施設の電気代の見直しをご紹介しましたが如何でしたでしょうか。
大幅な節電には、施策の導入とあわせて設備の見直しなども必要になりますが、電力会社を乗り換えるだけでも電気代を削減することができます。

簡単に取り組めるところから見直しを行ってみてはいかがでしょうか。
効果を実感できることで、従業員や利用者のモチベーションが高まり、より節電を推進できる可能性もあります。

参考:
けあサポ「辻川泰史の介護事業所運営のコツ、教えます」
http://www.caresapo.jp/fukushi/blog/tsujikawa/2010/04/post.html
新規事業・独立を検討中の方はお気軽にご相談ください。
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