新電力はどんな仕組みなの?利用しても大丈夫?
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新電力とは、PPS(Power Producer and Supplier)とも呼ばれており、日本語訳は特定規模電気事業者とも言われています。2016年の電力小売りの全面自由化から3年が経った現在も「新電力ってそもそもなに?」という方も多いのが現状のようで、事実、2017年に電通が発表した電力自由化の理解度調査では、内容まで理解していると回答した方は実に25%しかいらっしゃらなかったそうです。
ということで、今回は改めて新電力とは何なのか、どのような仕組みで私たちの家庭に電気が供給されるのかということについて解説していきたいと思います。
新電力とは
意外と知らない方が多いことですが、新電力というものは実は2000年頃から存在していまいました。新電力とはもともと特別高圧による契約電力の事業者へ、東京電力や関西電力などの一般電気事業者が管理する送電線を通じて小売りを行う事業者のこと指します。
新電力事業者としては、ミツウロコやJXエネルギーのような石油大手が有名ですね。新電力事業者は、もともと大工場や大きなビルに対して発電し、電力を供給する役割を持っていました。しかし2016年以前までは、一般家庭、つまり契約電力が50kW以下の施設に対して売電ができない制度でした。この制度が廃止され、自由に電力会社を選べるようになったのが2016年の電力小売り完全自由化です。
新電力が供給される仕組み
新電力は、発電及び売電を担う企業のことを指します。しかし電力が供給されるためには、送電線というものを利用する必要があります。この送電線は全国に張り巡らされており、一般電気事業者と呼ばれる関西電力や東京電力が所有しているものになります。
新電力会社として参入する企業のほとんどは、新たに送電線を設置するためのコストをかけることはできないため、基本的に送電線は一般電気事業者のものを借りることになります。そのため、新電力事業者は東京電力や関西電力に対して「託送料」というものを支払って私たち消費者の元に電力を届けているのです。
そのため、新電力を使用したとしても電力の質に違いはなく、これまでと変わらない流れで電力を使用することができるのです。
電力が途切れることはないの?
ここで疑問に思うのが、不安定な太陽光や風力による発電で停電することなく、本当に絶え間なく電力を供給することができるのかどうかということです。もちろん、火力発電を行っている事業者もありますが、東京電力や関西電力に比べて大規模な発電設備を持っているわけではないので、1社だけでは電力を安定して供給することは不可能です。
しかし、絶え間なく電力を利用することができる仕組みはしっかりと構築されています。それがバックアップ契約というものです。
電力会社同士でバックアップ契約というものを結んでおくことで、電力の供給が追いつかなくなった場合にも他社から電力を供給してもらうことができるのです。
そのため、東日本大震災時のように東京電力がダウンしてしまっても、他の会社の電力からバックアップ体制が整えられているため、電力が足りなくなることは基本的になくなるのです。
こういったリスクに備えることができるという点で、電力自由化の意義というものがあると言えるのではないでしょうか。
発電・売電の分離
新電力と混同してしまいがちなのは、電力小売り事業者の存在です。電力自由化が進む以前は一つの電力会社が発電・送電・売電までを一貫して行っていました。
しかし、現在は公平な競争をするためにこれらのセクションは大手の電力会社でも分けられています。どういうことかというと、東京電力でも、発電を担う会社(東京電力フュエル&パワー)、送電を担う会社(東京電力パワーグリッド)、売電を担う会社(東京電力エナジーパートナー)に分けられており、その他の電力会社でもそれぞれの専門分野によって分けられているということです。
先程も解説した通り、送配電は一般電気事業者である各地域の電力会社を利用するしかありませんが、発電と売電は消費者が自由に選択できる権利があるのです。
新電力とは、発電を行う事業者を指しますが、売電を行っているだけの事業者も多数(540社)あります。この540社が行っているのは、電気の卸売のようなものです。
再生可能エネルギーだけを利用することはできるの?
欧米では意識の高いサンフランシスコ州を中心に、「少しくらい高くてもグリーンエネルギーを使おう」という動きがありました。発電効率の悪い太陽光や風力によって発電された電力を使用することで、グリーンエネルギーを応援しようというものです。発電効率が悪いということは当然料金は高くなりますが、それでも応援することは未来につながるという殊勝な活動です。
しかし、日本ではそのような殊勝な活動が現時点ではできません。なぜなら、再生可能エネルギーの発電量が少なく、現在は火力発電などを組み合わせた「ミックス電気」しか購入することができないからです。
ただ、「ミックス電気」だったとしても再生可能エネルギーを応援できることに変わりはありません。小さくても積み重ねが将来の環境保全につながります。
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