電力会社を乗り換えても電気料金が安くならない理由

電力会社を乗り換えても電気料金が安くならない理由

目次

  1. 新電力が高いわけではない
  2. なぜ、電気料金が高くなるという口コミが多いのか
    1. よく分からずに新電力に乗り換えている
    2. 悪質な電力会社のゴリ押し営業
    3. 季節的な要因
  3. 正しい知識を持って電力会社を乗り換えよう

2016年に電力自由化が解禁されてから、3年が経ちますが当初の想定されていたように新電力への乗り換えというのは進んでいません。2018年時点では新電力会社の電力販売量は全体の20%にも満たない数値となっているのです。

この理由の一つに「電力会社を乗り換えると、電気料金が高くなる」というインターネットの口コミが多いというものがあります。一体なぜ、「安くなる」と言われている新電力に乗り換えても電気料金が安くならないのでしょうか。

新電力が高いわけではない

初めに皆さんに知っておいていただきたいことは、決して新電力会社が提供する電気料金が安くないわけではないということです。例えばある電力会社と東京電力の料金を比較してみましょう。

電力会社名 基本料金(30A) ~120kWh 120kWh~300kWh 300kWh~
東京電力 842.4円 19.52円 25.98円 30.02円
新電力S 754.37円 19.31円 24.33円 27.21円

このように、一般的な家庭や店舗でも契約されているような東京電力と新電力を比較すると、どうあがいても新電力のほうが安くなる計算になります。

電気料金は基本的に3段階料金といわれる料金システムをとっていますので、例えば東京電力の場合以下のような計算式で求めることができます。

基本料金+(使用電力量-300kWh)×30.02円+(180kWh×25.98円)+(120kWh×19.52円)
※使用電力量が300kWh以上の時

この計算式は他の多くの電力会社でも同じように計算することができるため、例えば上記の表でご紹介した新電力Sの場合は以下のような計算式になります。

基本料金+{(使用電力量-300kWh)×27.21円}+(180kWh×24.33円)+(120kWh×19.31円)
※使用電力量が300kWh以上の時

なお、使用電力が300kWh以下であった場合も、以下のような計算式になります。

東京電力の場合

基本料金+(使用電力量-120kWh)×25.98円+120kWh×19.52円

新電力Sの場合

基本料金+(使用電力量-120kWh)×24.33円+120kWh×19.31円

見ていただければ分かる通り、どのような状況であっても新電力Sに乗り換えることで電気料金は安くなるのです。また、従量料金単価が安いため、消費電力が多くなれば多くなるほど電気料金は安くなっていく計算になります。

以上のことからも、しっかり新電力会社を吟味すれば「新電力に乗り換えて電気料金が高くなる」ということがおわかりいただけると思います。

なぜ、電気料金が高くなるという口コミが多いのか

ここである疑問が生まれます。それは「新電力が安いことは分かったけど、じゃあなぜ高くなるという口コミが多いのか? 」ということです。

この理由は複数想定することができますので、順番にその理由についてご紹介していきましょう。

よく分からずに新電力に乗り換えている

最も多い理由は、電気料金の仕組みについて理解せずに電力会社を選んでしまっているということです。実は電力自由化が解禁されて以降様々な電気料金プランが生まれました。

例えば、夜間の電気代が安くなるという電力プランもあれば、逆に朝方の電気料金が無料になるという電力プランもあります。こういった電力プランは、昼間の電気代が高く設定されていることがあるのです。

——このような電力プランを選びながらも夜間はそれほど電力を使わずに、昼間に電気をたくさん消費していれば当然電気料金は上がってしまうことになります。

悪質な電力会社のゴリ押し営業

次に考えられるのは、悪質な新電力のゴリ押し営業です。先にもご紹介した通り電気料金は3段階料金という複雑な料金形態を採用しており、このため「説明されてもよく分からない」という声も多いです。

この「よく分からない」を利用して、高額な料金を請求する新電力会社も一部いることは確か。新電力会社は2019年4月時点で600社以上存在するため、この中に悪質な電力会社も存在します。

こういった電力会社は故意に高齢者ばかりに営業をかけているのです。要するにインターネットを使うのが苦手で、よく分かっていないお年寄りを狙うというモラルを欠いた営業手法によって儲けようとする会社があるのです。

季節的な要因

もう一つ考えられるのが、季節的な要因です。一般家庭でも商業施設・店舗などでも最も電気代がかかるのは、エアコンです。このエアコンを使う使わないでは電気料金に歴然の差が出てきます。

例えば、ほとんどエアコンが必要ない5月頃に電気料金を乗り換えて、6月、7月の電気料金を見てみると高くなっていた…。そんなことは当たり前です。また、あまり知られていませんが、夏よりも冬の電気代のほうが高くなります。

このように、電気料金についてあまり詳しくない人が前月の電気代と比較して「高くなった」と言っている可能性もあるのです。

正しい知識を持って電力会社を乗り換えよう

さて、上記で説明してきたような事例から見ると、

しっかり電気料金について理解して、電力会社を吟味すれば、新電力に乗り換えることで電気料金は安くなる

ということが言えると思います。                                           

正しい知識を持っていれば悪徳新電力会社から騙されることはありませんし、間違って高額な料金設定をしている会社に乗り換えることもないでしょう。

悪徳新電力会社の影響でイメージがあまりよくない新電力ですが、全うな商売をしている電力会社のほうが多いことは事実です。このため、タイトルにもある「新電力に乗り換えても安くならない理由」は、「勉強不足による自己責任」ということになります。

この記事を読んでいただいた皆さんには、正しい知識を身に着けて不満のない節電ライフを送っていただければと思います。

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