キュービクルを撤去するためにはどうすればいい?手順を解説します
目次
高圧電力から低圧電力に切り替える時などに、設置しているキュービクルが不要になり、これは撤去する必要があります。しかし、キュービクルの撤去は他の産業廃棄物とは異なり少しややこしい手順を踏む必要が……。
ということで今回は、キュービクルの撤去するための方法について解説していきたいと思います。
1.PCB検査
比較的古いキュービクルには、絶縁油にPCBというものを使用している可能性があります。このPCBは1950年ごろまでは普通に使用されていたものですが、人体にとって有毒であるため、国際的に完全撤廃する条約(POPs条約)が締結されています。
当然日本でも例外なく処分する必要があるのですが、生命を脅かす物質であるため法律で定められた手順を踏んで撤去する必要があるのです。また、行政が管理できなくなるのを防ぐためにキュービクルが含まれている設備の譲渡は原則禁止されています。ですので、買い取り業者や回収業者もPCBが含まれている可能性がある状態では回収することができません。ですので、キュービクルを引き取ってもらうにしても買い取ってもらうにしても「PCB不含証明」というものが必要になります。
ということで、まずはPCBが含まれていないか検査をする必要があります。PCBの検査は外部委託する方法と事業主自らが簡易測定する方法がありますが、専門性が高いもので危険なので知識がないなら外部に委託することをおすすめします。
検査に必要な費用は1万円〜5万円程度です。
2.買い取り先・引取先を探す
PCBが見つかったら規定の方法に従って処分する必要がありますので、PCBの処分方法を参考にしてください。PCBがなかったら、次に買い取ってもらうことを検討しましょう。
比較的新しいキュービクルであれば、まだ利用価値があるのでレンタル業者や高圧電力提供事業者が買い取ってくれる可能性があります。
買い取り先がない場合は産業廃棄物として処理しましょう。しかし、キュービクルを撤去するためにはこれだけでは足りません。撤去工事を入れる前に低圧電力への切り替えについて確認しておきましょう。
3.低圧電力への切り替え
長い間高圧電力を使用していた場合、低圧電力を受電するための環境が整っていない場合があります。通常、100V〜200Vの電気を受電するために電柱に設置されている変圧器を利用する必要があるのですが、キュービクルを設置している場合はこの柱上変圧器を電力会社が設置・メンテナンスをする必要がありませんので、外されてしまっている可能性があります。
しかも、この柱上変圧器を設置するための工事費を電気契約者——つまり皆さんが負担しなければならない可能性があります。また、幹線工事が必要になることもあり、工事にかかる費用は20万円〜100万円と様々です。
一度電力会社やその他の事業者に相談してみて、工事費を見積もってもらうようにしましょう。条件次第ではキュービクルの買い取り料金でまかなってもらえるかもしれませんので、買い取り、引取業者と相談してみても良いかもしれません。
4.撤去工事
低圧電力への切り替え準備ができれば、いよいよ撤去工事です。キュービクルは残しておくという選択もありますが、いずれにせよメンテナンスは必要になりますし、撤去できる時に撤去してしまったほうが何かと安全です。
キュービクルがビルの上などに設置されている場合はかなり大掛かりな工事が必要になることもありますので、費用については事業者に見積もってもらいましょう。
低圧に切り替えないという方法も
キュービクルに発生する毎月の維持費や修理費を理由に撤去するような場合は、受電する電力を高圧から低圧に切り替えないという方法もあります。というのも、電力自由化以降、民間の事業者でも電力を販売することができるようになったため、高圧電力を販売する事業者が出てきたのです。
どういうことかというと、事業者Aが皆さんの施設にキュービクルを設置し、管理・維持を行い、電力の販売を行うのです。キュービクルの所有権は事業者側にあるため、キュービクルの管理や維持の義務は事業者側にあります。面倒な維持管理は事業者に任せて今まで通り高圧電力を使うということができてしまうというわけです。
施設を完全にクローズする場合にはこの方法を取ることはできませんが、高圧電力から低圧電力に切り替えを考えているなら、切り替えの工事費のことを考えてもそのまま高圧電力を受電するほうが結果として安く収まることも考えられます。
キュービクルの撤去を考えるなら、このあたりのことも考えてみると良いかもしれません。
まとめ
今回は、キュービクルの撤去方法についてご紹介してきました。キュービクルの撤去で最も厄介なのは、PCB問題ですね。PCBについては法律問題が絡んでくるので、ややこしい手続きですが確実にクリアする必要があります。さもなければ、引き渡しをした皆さんも引き取りをした事業者も罰則を受けることになりますので、くれぐれも注意してください。
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