キュービクルの法的点検・定期点検の義務とは

目次

  1. キュービクルの法的点検の必要性
  2. キュービクルの保安規制とは
    1. 自家用電気工作物の維持/技術基準適合維持
    2. 保安規程の制定、届出、遵守
    3. 電気主任技術者の選任、届出
  3. 点検は保安規定で定められる
  4. どれくらいの頻度で定期点検をする?
  5. まとめ

キュービクルは高圧電力を使用するために必要な設備ですが、高圧電力はとても危険なものです。故障してしまったキュービクルが放電すると周辺施設が停電するなどの事故を引き起こします。このため、キュービクルは電気事業法によって定期点検が義務付けられているのです。

キュービクルの法的点検の必要性

キュービクルは平成7年に電気事業法上で自家用電気工作物に当てはまるとされました。自家用電気工作物とは経済産業省によると、以下のようなものであると定義されています。

電力会社等から600Vを超える電圧で受電して電気を使用する設備
自家用電気工作物に係る手続きのご案内

600Vという電圧は、150ミリアンペアの電流相当になります。人間は50ミリアンペアの電流が流れると感電死する恐れがあるといわれていますので、相当危険なものであることがおわかりいただけると思います。

人間が死に至るレベルの危険な電力ですから、事故が発生すれば「ごめんなさい。」では済まない可能性がありますよね? ということで、法律で事故が発生しないようにしっかり点検してくださいということが義務付けられているのです。

キュービクルの保安規制とは

上記のような理由から公共の安全性を確保するためにキュービクルを設置する際には以下のような規制が法律で定められています。

自家用電気工作物の維持/技術基準適合維持

設置者は、自家用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持すること。

分かりやすくいうと、経済産業省が定める基準のキュービクル以外を設置しないでくださいということです。電気代を削減するために改造したり、安全基準に満たない設備を利用したりすることは電気事業法第39条で禁止されています。

保安規程の制定、届出、遵守

設置者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために保安規程を定め、国に届け出ること。また、設置者及びその従業者は、保安規程を守ること。

お役所の文書なのでわかりにくく書かれていますが、要するにキュービクルを設置するならメンテナンスをしっかり行っていることや、事故が発生しないように保安規定というルールを定めてそのルールを守ってくれということです。定期点検はこの保安規定で定められた回数を行う必要があります。

電気主任技術者の選任、届出

設置者は、自家用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために電気主任技術者を選任し、国に届け出ること。

キュービクルを設置する場合は電気主任技術者という電験という国家試験に合格した技術者を雇用して責任者として届け出る必要があります。電気主任技術者を雇用できない場合は外部委託して電気主任技術者を派遣してもらうことができます。

点検は保安規定で定められる

ここまで読んでいただくと、法律上キュービクルのメンテナンスを法律で定めているわけではないということがおわかりいただけると思います。

法律で縛っているのは「保安規定を守ること」ですから、保安規定に「月に1回定期点検を行う」ということが定められていなければ定期点検を行わなくてもよいということになります。——しかし、実際問題そのような保安規定は国が承諾するはずもありません。保安規定には、以下のようなことを定めなければならないとされています。

  • 電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視・点検及び検査に関すること。
  • 電気工作物の運転又は操作に関すること。
  • 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
  • 災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。
  • 電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。
  • その他、電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。

この保安規定は、会社・工場といった事業所単位で作成し、そのルールに則っていれば安全が確保できるようにする必要があります。裏を返せば、定期点検の回数や頻度は事業所単位で決定する必要があるのです。もちろん、保安規制にて、「保安規定を遵守すること」が明文化されているため、各事業所で決めた点検の回数を守る必要があります。

どれくらいの頻度で定期点検をする?

いかに事業者側で定期点検の回数について委ねられているからといって、保安規定は国に提出する必要がありますから「3年に1回しか点検を実施しません。」と定めてもそれが承認されることはありません。

基本的に点検は1年に1回行う年次点検と毎月(隔月の場合も)実施する月次点検があります。

月次点検では、受電設備や負荷設備の点検を行い、これを記録用紙にまとめて事故防止を行います。この月次点検は簡易的なものなので、電気をストップする必要はありません。

年次点検では、精密機器を用いて月次点検では点検できない部分の点検を行います。このため、年次点検を行う場合は電気を停止させる必要があります。一時的に電力供給が停止することになりますので、業務やお客様に迷惑がかからないように行われます。

この他に、各種試験や測定もケースによって実施されます。

まとめ

キュービクルはしっかり点検しておかなければ様々な事故を巻き起こす危険な設備です。事故が発生してしまい、例えば周辺の第三者施設が停電してしまった場合、もちろん損害賠償を請求されることになりますし、その施設が病院であれば人命にも関わります。このような事故を波及事故と呼びますが、波及事故のほぼ半分は点検不足によるものだということが資源エネルギー庁の調査で分かっています。事故が発生してからでは遅いため、絶対に事故が発生しないような保安規定を作成して遵守するようにしましょう。

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