税理士に無料相談できる範囲とは?
目次
税理士と顧問契約を結んでいない個人事業主や企業は様々な場所で税理士に無料相談することができます。しかし、業として税理士をやっている方が多く、わざわざ顧問契約までする方もいるのに、「無料」というからには様々な制約があります。
今回は、税理士に無料で相談できる範囲とはどの程度のものなのかについてご紹介していきたいと思います。
税理士の無料相談とは
税理士の役割は税理士法で以下のように定められています。
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
引用:税理士法 1条
もう少し具体的に言えば税理士は「国に正しく税金が納められるように納税者をサポートしなきゃいけないよ」ということです。この税理士の使命に則って、日本全国には「税理士会」というものが設置されていますね。この税理士会に行けば、30分程度無料相談をすることができます。
また、税理士会は「税の相談会」というものを開催したりしています。こういった情報は各税理士会の公式HPにて情報発信がされているので税理士に直接聞きたいことがある方はチェックしてみると良いかもしれません。
税理士に無料で相談できる範囲とは
これは対応してもらえる税理士にもよりますが、例えば、以下のようなことは無料で相談できる内容として税理士会のHPにて記載されています。
- パートを始めたのですが、夫の配偶者控除のことが心配になりました。配偶者控除のことを教えてください。
- 所有しているマンションを処分して、賃貸に住み替えようと思っていますが、売却代金にも税がかかるのですか?
- 自作の絵を買う人がいるのですが、消費税はどうしたらいいでしょうか?
- もうすぐ定年なのですが、退職金にはどのくらい税がかかるのですか?
- 相続税のことで、両親には内緒で相談したい。
- 失業しました。昨年の地方税を分割で納めることはできないでしょうか?
引用:東京税理士会
一方で、ここからさらに踏み込んだ内容については満足の行く回答が得られないかもしれません。例えば、今会社の収支はこのようになっているのですが「節税する方法を教えてください」といった質問内容に関してはおそらく回答を得ることはできないでしょう。
税理士は冒頭でも紹介した通り、正しく税金が納められるようにサポートをする使命があるため、この税理士法を重んじている税理士は節税の方法を知っていたとしても、良しと思っていないことが多いのです。
各税理士会のHPにも記載されている通り、無料相談で税理士が回答する内容はあくまで一般的なものです。インターネットで調べてでてくるようなこと+α程度のものだと考えておくと良いでしょう。
こんな相談はしたらだめ!
逆に、「そんな内容無料相談で聞いてはだめだよ…。」というものをご紹介していきたいと思います。
今から僕の代わりに記帳してください!
当たり前ですが税理士も業として仕事をしています。税理士会の無料相談で対応するのも業とはいえ、実務を伴うようなことを依頼するのはNGです。税理士の無料相談会に行くと一人あたり30分程度の相談時間が与えられますが、30分を超過しなければ何でも依頼できるというわけではありません。お金を払っていないのですから、マナーくらいは守りましょう。
節税の方法を教えてください!
上述でも紹介しましたが、節税については良しと考えていない税理士も存在します。節税の方法を教えてくれる税理士も「顧問契約をしてくれているお客様のためになるなら…」と考えてそのノウハウを提供してくれているのです。
――つまり、お客様でもなんでもない人に節税の方法なんて教えたいと考えている税理士はほとんどいないでしょう。
また、節税とは決算書や収支バランス、その他諸々の事情を鑑みてようやく方法を導き出すことができます。何もないのに方法を教えてくださいというのはお金を払ってでも難しいことだと思います。
うちの税理士が信用できないんだけど…
基本的に税理士と顧問契約を結んでいるのに無料相談を利用するというのはマナー違反です。税理士会の無料相談窓口は、主に税金に関する疑問を持っている一般の方を対象としたものですので、顧問契約を結んでいるなら顧問契約を結んでいる税理士に相談するか、気に入らないなら別の税理士に相談するようにしましょう。
まとめ
税理士に無料相談できる範囲というのは、対応する税理士によっても異なりますが、あくまで無料なのですから、相談する側のマナーも求められます。
「あくまで税金が正しく納められるよう、納税者の疑問を解決すること」が目的である場合が多いので、利用する側もそれ以上のことは求めないようにしましょう。
もしそれ以上のことを期待するのであればしっかり税理士と顧問契約を結んだ上で相談するようにしましょう。
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