動力を変圧して100ボルト機器を利用することは可能なの?
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電力会社との契約を見ると、動力より一般的な電灯契約のほうが高額となっています。そのため、動力を変圧して100ボルトの機器で利用できないか、と考える人もいるでしょう。
しかし、動力への変圧は可能なのでしょうか?動力や電灯契約の話とともに、お伝えします。
技術的には可能だけど契約違反になる
まず、電灯 契約と動力の違いから見ていきましょう。電灯契約とは、一般家庭や小規模の店舗などで使う電気のこと。一方動力とは、一般家庭より大きな電気を使う場所で使うもの。
工場や病院といった大きな施設では、たくさんの機械を動かしたり一般家庭より大型の空調を使ったりします。このように、大きな電気を要する施設で使うものが動力なのです。また動力は、電力に比べて単価が安いという特徴を持ちます。
そのため、「200ボルトの電圧を降圧して電灯で利用し、料金を安くしよう」という人も存在するでしょう。実は、技術的に可能です。しかし、電力会社にとっては不利益となるため、契約違反になります。
また、黙っていても電力会社には、確実にばれてしまうのです。家を見られるわけでもないのにどうしてばれてしまうのでしょう?実は、変圧器を利用すると電灯の電気料金がガクッと下がるのです。これによって、「何だかおかしいぞ」ということになり、契約違反をしている事実がばれてしまうのですね。
また、変圧すると停電も起こりやすくなります。何かしらの原因によって、絶縁ができなくなれば感電する可能性も。人間の致死電流は50mAですので、それよりも遥かに大きな電流が流れる送電網から放電すると、死にます。
契約に違反するとどうなる?
東京電力エナジーパートナーの「電気需給約款[動力プラン]」によれば、変圧を行って電力を使った場合、安くした金額の3倍を「違約金」とするそうです。
「安くした金額」とは、電気を提供する際の条件から算出した金額と、変圧を含む「違法な方法」から算出した金額の差額。違法とみなされる期間が分かっている場合は、この方法で算出されます。
もし、違法とみなされる期間が分からない場合はどうなるでしょう?6ヶ月以内で東京電力エナジーパートナーが決めた期間が適用されます。つまり、契約に違反すると高額な違約金が発生するのです。
電気代を安くしたいなら高圧電力を使おう
電気代を安くしたい場合は、「高圧電力の利用」を視野に入れましょう。
高圧電力の場合、契約は「動力がメイン」となります。また、過去1年をもとに算出した最大需要電力から、契約する電力を決定する「デマンド料金」となるのです。そのため、動力から電灯の電力を得ても、違法にはなりません。
ただし、高圧電力を使うには、キュービクルと呼ばれる設備を設置しないとならないのです。
そもそも電気は、発電所からそのまま届くのではなく、いくつかの変電所を通って降圧しながら運ばれます。住宅は、変電の流れとしては最後尾になるため、そのまま使える電圧なのですが、発電所に近い工程となればなるほど、高圧となり、そのまま使うことはできないのです。
高圧電力は、およそ6600ボルト。これをキュービクル(正式名称は、キュービクル式高圧受電設備)によって、100ボルトや200ボルトといった低圧電力に降圧して、使います。
しかし、キュービクルを利用する際は、設置費用に200万円近くかかる上、電気主任技術者の雇用もしくは外部委託が必要となるのです。また、毎月1万円~2万円くらい維持費も発生します。電気代が30万円を越えるくらいでなければ、元を取ることはできません。
このように、高圧電力を利用するには、数々の手間や負担がかかります。そう考えると、一般的な商店が高圧電力を利用するのは現実的ではありません。しかし逆に言えばコンビニやスーパーなど消費電力が大きい場合は高圧電力に切り替えるほうがお得になることが多いです。
変圧はできるが現実的ではない
動力を変圧して、電灯で使われる100ボルトにすることは可能です。しかし、勝手に行えば電力会社との契約違反となり、違約金が発生しますので、現実的ではありません。
また、高圧電力を使うことで電気料金が安くなるのですが、手間や負担を考えると、こちらも現実的ではないのです。「変圧」を用いて料金を安く…ということは不可能と考えてよいでしょう。
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