個人事業主が法人成りを考えるべきタイミングとは?
目次
個人事業主の方は、事業規模が拡大してくると必ず考えることがあります。俗に言う「法人成り」というものですが、法人になると様々なメリットが受けられる一方で、当然デメリットもあります。
では、何を基準にして「法人成り」をすれば良いのでしょうか? 今回は、法人成りを考えるべきタイミングについてご紹介していきます。
法人と個人事業主の違いとは?
そもそもですが、法人と個人事業主の最も大きな違いは何でしょうか? それは、「社会的信用度」です。
すでに個人事業主として事業を行っている方々はご存知だと思いますが、個人事業主は簡易的な手続きで初期費用も少なく開始することができます。一方の合同会社や株式会社のような法人はというと、設立のために最低でも2週間程度の期間を要しますし、手続きには21万円の手数料が必要になります。
このため、法人は「そういったコストを支払ってでも事業に取り組んでいる」とみなされるため、社会的に「リスクを背負って事業に取り組んでいる」とみなされるわけです。つまり、事業に本気で取り組む意欲があるとみなされるわけですね。
このため、資金調達や取引先開拓、採用や投資にあたっては株式会社のほうが有利に働くことのほうが多いのです。
また、一定の売上がある場合は「節税」という観点からも法人にメリットがあります。法人は、以下のような節税のメリットがあるのです。
消費税の納付は2年間免除
資本金1000万円以下、6ヶ月の売上が1000万円以下の場合は法人を設立して2年間は消費税の納付が免除されることになります。
欠損金の繰越控除可能期間が伸びる
個人事業主の場合は赤字が出た場合の繰越期限は3年ですが、法人の場合は9年間まで期間が伸びます。事業の長期継続性がある場合は、大きなメリットとなります。
役員報酬に給与所得控除が適用される
法人の場合は社長を含めて役員が給与の中から仕事に必要なものを購入したりすることがあるとみなされ、最低65万円から最高220万円まで控除を受けることができます。
個人事業主の場合、これは「経費」として計上されるだけで、法人の場合は2度経費が引かれます。残った利益に対して税金がかけられますから、より多く経費として計上できる法人のほうが節税という観点でメリットがあるというわけです。
法人成りを検討すべきタイミングとは?
では、具体的にどのような場合に法人成りを検討すれば良いのでしょうか?
多額の資金調達をしたいとき
事業拡大に伴って、多額の資金調達を考えている場合は「社会的信用度」という観点から法人の方が有利に働きます。1000万円前後の資金調達であれば、事業内容次第で融資を受けることも可能ですが、それ以上の資金調達が必要な場合は法人成りをするほうが、資金調達に苦労しなくて済むでしょう。
最近はクラウドファンディングなどを使えば個人事業主でも多額の資金調達をすることができますが、そのためにはユニークなアイデアや広報活動が必要になりますので、皆さんが行っている事業内容との兼ね合いで考えてみると良いでしょう。
事業失敗のリスクを低減したとき
個人事業主は、個人で行う事業であるため事業に対して無限の責任を負うことになります。例えば融資を受けていた場合負債を全額返済する必要があります。
対して法人は有限責任ですから、出資した範囲内の責任のみとなり、負債額も減らすことができるのです。このため、一度事業に失敗したとしても再スタートが切りやすいという特徴があります。
——要するに、事業規模を拡大するとそれだけ負債額も大きくなりますから、事業拡大をする場合には法人成りを検討すると良いということになります。
半年の売上高が1000万を超えるとき
事業に対する税金は、前年6ヶ月の課税売上高が1000万円を超えると、その翌年度から徴収されることになります。つまり、法人設立から1年目の最初の6ヶ月の売上高が1000万円を超えなければ2年目は納税が免除されます。
また、法人は2年間消費税の納付が免除されることになりますから、半年の前年の売上高が1000万円を超える直前で法人成りをすれば収める税金を少なくすることができるというわけです。
繁忙期と決算月がかぶる場合
個人事業主は毎年3月15日までに確定申告をしなければならないことが法律で定められていますが、法人の場合は決算月を自由に決定することができます。
個人事業を営んでいる方の中には、1月〜3月頃が繁忙期という方もいらっしゃるかもしれませんが、この時期に確定申告の準備も重複すると多忙を極めることになってしまいます。
一定の売上がある場合は決算月をずらす目的で法人成りするのも良いかもしれません。
まとめ
法人成りすると、節税や社会的信用度という事業を拡大していく上での様々なメリットを受けることができますが、同時に事務作業の負担が増えたり、赤字が出ても税金がかかったりなどのデメリットもあります。
事業の状況や今後の展望について検討してみて、法人成りを検討するようにしましょう。
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