飲食店の労働時間と賃金の関係|労基法を改めて確認してみよう
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飲食店は他の業種とは違い、1日ずっと営業しているのではなく、ランチタイムの間や夕方~夜間など、スポット的に営業時間を設けることが多いです。土日祝日の営業も当たり前、従業員の勤務形態もさまざまで不規則な勤務シフトもよく見られます。定時勤務でないから実働時間の把握があいまいになり、長時間勤務の実態が見過ごされがちです。
働き方改革の波は飲食業にもやってきました。いままでは「問題ないだろう」と見過ごしていた勤務に対して、世間の目はだんだんと厳しくなってきています。飲食店の労働時間と賃金支払いについて、労働基準法の観点から改めてチェックしてみませんか。
飲食店の経営者が気をつけたい労働基準法
労働基準法では労働条件の最低基準を定めており、労働契約や賃金、労働時間、休日や有休、就業規則などを規定しています。労働基準法以下の条件で労働を強いると、大半のケースで罰則が適用する場合があるので注意しましょう。
不規則な勤務が多い飲食店で労働時間がきちんと守られていません。長時間労働を強いられたケースがニュースもなっており、ブラックな労働環境では従業員の定着率が悪く、経営にも悪影響を及ぼします。こういったケースを他山の石とし、お店の健全な発展のために、労働基準法が定める労働時間や賃金について要点を確認していきましょう。
労働時間が週40時間を超えると残業扱い
労働基準法における労働時間は法定労務時間と呼ばれています。1日8時間、1週間に40時間までと定められており、この法定労務時間を超えると残業扱いです。残業代は労働基準法の基準とする以上に割増賃金を支払う義務が生じます。
例えば、バーでは週6日の勤務シフトはごく一般的ですが、労働時間が週40時間を超えると残業扱いになり、賃金の25%以上の残業代を支払わなくてはなりません。加えて、従業員に時間外労働をさせる場合は、書面での契約と労働基準監督署への届け出も必要です。
休日は4週間で最低4回は必要
労働基準法では、休日は週に1回または4週間に4日以上と定められています。シフトに入る人がいないからと、4週間に3回しか休めないシフトを組むのは避けましょう。
また、毎週月曜が休みのAさんが、アルバイトのBちゃんとシフトを代わり、ある月曜日に出勤すると休日出勤になってしまいます。この場合、賃金の35%以上は割増賃金の支払い義務があるほか、これが常態化している場合、書面による契約と労働基準監督署への届け出が必要です。
深夜労働と賃金
深夜に営業や店じまいをする飲食店は多いため、ご存じの方は多いかと思いますが、午後10時から午前5時までの間の労働は深夜労働となり、25%以上の割増賃金を支払う義務があります。
深夜労働の割増賃金は通常賃金の1.25倍以上なので、最低賃金が985円の東京都では、1,231円以下の時給で深夜労働をさせることはできません。
労働基準法とは何か、労働時間や賃金規定のまとめ
労働基準法の概要
- 労働条件の最低基準を定めた法律
- 違反すると罰則を受ける
労働基準法による労働時間と賃金の主な規定
- 労働時間は原則1日8時間、週40時間まで
- 休日は4週間で最低4回
- 午後10時から午前5時までは深夜労働
労働基準法は最低備えるべき労働条件を定めた法律で、違反には罰則規定があり、監督機関として登場するのが労働基準監督署です。
労働基準法では休日は4週4休と定められていますが、週6日勤務でも法定労働時間の週40時間を超えて労働させると、通常の25%以上割増の残業代支払い義務が生じます。深夜労働では25%以上の割増賃金の支払い義務があり、さらに休日労働では割増が35%以上になるので注意しましょう。
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