教室やスクールの電気代は省エネルギー対策で節約!

教室やスクールの電気代は省エネルギー対策で節約!

目次

  1. スポーツクラブのエネルギー消費一覧
    1. 教室・スクールのエネルギー消費の比率とは?
  2. エネルギー情報の管理
    1. 見える化をする
    2. エネルギー管理マニュアルの作成
    3. 原単位管理によるエネルギー管理
  3. 教室・スクールの利用者・会員への呼びかけ
    1. 利用者や会員に協力してもらうポイント
  4. バス・トイレの節水
    1. 節水型シャワーヘッドを導入する
    2. 洗面台に自閉式水栓の使用
    3. 過剰水圧の適正化を行う
    4. トイレに擬音装置の導入
  5. プール・温浴施設の省エネ
    1. 運用改善
    2. 設備改善
  6. 空調設備の省エネ
    1. 冷暖房の設定
    2. エネルギーロスをなくす
    3. 高効率空調機の導入
  7. 受変電設備の省エネ
    1. 負荷の平準化
    2. デマンドコントローラを設置する
  8. おわりに

フィットネスクラブ・スポーツクラブの経営では、収益をあげるためには会費をあげるかコストカットを進めるのが効果的です。
とはいえ会費を高くすると会員が減ってしまいますし、固定費のひとつである人件費を削りすぎると、サービスに支障が出てしまいます。
そこで、光熱費や水道代などの節約をお考えの方も多いのではないでしょうか。

東京都環境局東京都地球温暖化防止活動推進センターでは、「フィットネスクラブの省エネルギー対策」という資料をWEB上に公開しています。
今回はこちらの資料を基に、フィットネスクラブ・スポーツクラブの省エネ対策のポイントをご紹介します。

スポーツクラブのエネルギー消費一覧

平成21年の秋に「社団法人日本フィットネス産業協会」の協力の下で行われたアンケートには、フィットネスクラブ14店舗から回答がありました。
延床面積の平均は4,517㎡で、会員数の平均は4,016人、売上高は平均が4億2千500万円です。
全ての施設がスタジオ・ジム・サウナを有しており、プール・浴室も約85%もの施設が有しています。

教室・スクールのエネルギー消費の比率とは?

ご紹介したアンケートに回答を寄せた7割弱の店舗では、エネルギーコストの売上高に占める割合が10%未満でした。
都市ガスとA重油及び灯油を熱エネルギー源として使用しており、都市ガスを使用している6店舗のエネルギー比率は、電力34%・ガス27%・上水39%でした。
これに対しA重油を使用している3店舗の平均は、電力50%・重油19%・上水31%という結果が出ています。

A重油を使用している店舗は、電力消費の比率が高く、建築後の経年数も長い傾向にありました。

また、「社団法人日本フィットネス産業協会」と「財団法人日本健康スポーツ連盟」が共同調査を行った、『フィットネス産業基礎データ資料2007』という資料があります。
これによると、プール・ジム・スタジオを有しているPGS型が72.4%を占めているそうです。
このPGS型の4件(平均延床面積4,306㎡)を実地調査した結果、エネルギー費の比率の平均は、電力33%、燃料24%、水43%でした。いずれの調査でも水の比率が最大であり、節電とともに節水も重要なポイントであることがわかります。

エネルギー情報の管理

先ほどのアンケート調査では、全ての店舗が何らかの記録を取っており、そのうち33%の店舗では主要機器ごとエネルギーの消費量を測定し記録していました。
やはりエネルギー管理の重要性をどの店舗も認識しており、施策を行っているというのが実情のようです。
そこで、エネルギー管理をするためのポイントをご紹介します。

見える化をする

データを活用し「見える化」することで、エネルギー管理に対するモチベーションを高めることができます。
目標を設定して施策を行い、改善結果を掲示して共有しましょう。
単にデータを提示するだけではなく、わかりやすいようにグラフ化するのもおすすめです。
この時、エネルギーの使用量だけではなく、入場者数や曜日、そして季節や時刻などのデータも活用し、傾向を分析することで、より合理的な運用を行うことができるようになります。

エネルギー管理マニュアルの作成

管理マニュアルを作成するのも、効果が期待できる施策のひとつです。
照明や空調などの設定や点灯・消灯のルールを作り、順守するように徹底しましょう。

注意したいのが省エネ法が改正されたことにより、年度間エネルギー使用量が原油換算で1,500kℓを超える事業者は次のふたつの義務が課せられることになった点です。
ひとつは、エネルギー管理統括者及びエネルギー管理企画推進者を選任する義務で、もうひとつは「判断基準に定めた措置の実践・指針に定めた措置の実践」というふたつの取り組むべき事項です。
「1年度間のエネルギー使用量1,500kℓの目安」では、フィットネスクラブ8店舗程度とされています。
目標の設定や行政によるチェックなどがありますので、該当する方は確認をしましょう。

また、今後展開をしていこうと考えている方は、省エネ法の改正の詳細を調べ、計画に組み込んでおくことが重要です。

参考:
経済産業省資源エネルギー庁「省エネ法の概要」
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/2014_gaiyo.pdf

原単位管理によるエネルギー管理

延床面積当りのエネルギー使用量である「原単位」を算出して、エネルギー管理をしましょう。

熱量単位である「MJ(メガジュール)」に換算して、合計熱量を算出、延床面積で割ると、1平方メートルあたりのエネルギー量を算出することができます。
エネルギーを熱量に換算する係数には、「電気1kWh=9.76MJ」「都市ガス1立方メートル=45.0MJ」「灯油1L=36.7MJ」の値を用います。

原単位を使用することにより、前年比や前月比の把握がしやすくなり、他の施設との比較にも役立てることができます。

教室・スクールの利用者・会員への呼びかけ

教室・スクールでは、従業員ひとり一人の意識だけではなく、利用者や会員の理解と協力が必要不可欠です。
省エネ施策への理解を求める掲示を、館内やロッカールームなどに行い、省エネ施策への理解と協力を求めましょう。

実際の節電効果などをあわせて掲示することで、達成感を共有できる他、協力も求めやすくなります。

利用者や会員に協力してもらうポイント

例えば、利用者や会員が見える場所に温度計を設置し、空調が適切に管理されているか、冷やしすぎや暖めすぎを従業員だけではなく利用者や会員にも指摘をしてもらえるようにしましょう。
このようにお客様を巻き込んだ節約を推進することで、省エネ効果をより高めることができ、コスト削減になります。

バス・トイレの節水

スポーツクラブの多くはシャワーなどのバス設備を併設しています。
沢山運動した後に、汗を流すことができるのは、スポーツクラブ選びの際の重要なポイントとなります。

東京都環境局東京都地球温暖化防止活動推進センターの発表した、「フィットネスクラブの省エネルギー対策」で、実際に4店舗のエネルギー費の比率をみると、平均で水道代が43%も占めているのです。
そのため、節水を心がけることもまた、コストカットの上で欠かせないポイントといえます。

節水型シャワーヘッドを導入する

低水圧でも水の勢いが落ちず、使用量が少なくなる節水型のシャワーヘッドを導入しましょう。
価格1,000円以下で購入できる安価のものから、高性能が売りの10,000円を超えるものまで多岐にわたります。
浄水機能などがつく場合や、優れたデザインを売りにした製品は高価なものが多いです。
教室・スクールの売りや、客層にあわせて選んでください。

価格参考:楽天市場経済産業省資源エネルギー庁「省エネ法の概要」
http://ranking.rakuten.co.jp/daily/508456/

洗面台に自閉式水栓の使用

水が出しっぱなしになってしまうのを防ぐために、自閉式水栓を導入しましょう。
閉止時間を適正に調整することで、水の無駄遣いを防ぐことができます。

過剰水圧の適正化を行う

給水圧が必要以上に高いと、使う水の量も多くなってしまいます。
水道のコマを節水コマに変えると、給水圧力を適正に調整できます。

トイレに擬音装置の導入

特に女性用トイレで、節水効果が期待できるのが擬音装置の導入です。
価格は安いものなら3,000円以下、多機能なものは10,000円以上の高額な製品もあります。

価格参考:価格コム
http://kakaku.com/daily-goods/ss_0025_0018/0049/%83g%83C%83%8c%8b%5b%89%b9%91%95%92u/search_itemlist.aspx?ssi_kw=%83g%83C%83%8c%8b%5b%89%b9%91%95%92u

プール・温浴施設の省エネ

先ほどご紹介した、『フィットネス産業基礎データ資料2007』の4店舗の実地調査では、運用改善提案による改善効果の事例を紹介しています。

運用改善

4施設の提案を平均延床面積4,306㎡に換算して算出をした結果、A重油をエネルギー源とした場合、「プールカバーの使用」を行うことで、年間1,776,000円の削減効果となりました。
また、「浴室自動式水栓の設定時間短縮」を行った場合、ガスを使用している施設では、年間1,448,000円の節約になります。

運用改善の施策の効果は高く、簡単なものばかりなので、是非取り入れてくださいね。

設備改善

同じ条件で設備改善の試算結果も公開されています。
「高効率機器の導入」を行うことで、電気代を年間3,467,000円削ることができます。
また、「プール循環ろ過設備の運転最適化」では、電気代を年間1,561,000円節約することができるそうです。

・循環ろ過設備のメンテナンス
ヘアキャッチャーやろ過機・フィルターの保守点検を計画的かつ継続的に行うように心がけましょう。
利用人数に合わせて1日の巡回回数を見直して、インバータを導入するなどの施策を行い、水質に合わせて自動制御を行うようにするのも効果的です。

・自閉式水栓の省エネ効果
そして節水だけではなく省エネ効果も期待できるのが「自閉式水栓」です。
浴室利用者数を、1日1,400人とし年間約307,000人の方が利用したと試算すると、上下水削減量は年間1,070立方メートル、加熱削減量は年間29.4 MJ、削減金額は上下水道とガス代の合計で年間1,096,000円もの節約になります。
水栓を変更するだけで、年間約110万円ものコストカットを実現できるのです。

空調設備の省エネ

空調設備は、施設の中でも電力消費の大きい機器です。
空調設備の省エネのポイントを抑えておきましょう。

冷暖房の設定

政府が推奨している空調温度は、夏28℃・冬20℃になっています。
冷暖房の温度を1℃緩和するだけで、空調エネルギーを約10%も削減することができます。
冷暖房の設定をこまめに行うように心がけましょう。

前述の『フィットネス産業基礎データ資料2007』によると、延床面積が4,306平方メートルの場合、「夏期室内設定温度の緩和」を行うことで、年間の電気代を347,000円削減することができると紹介されています。

エネルギーロスをなくす

フィルターが詰まってしまうと送風量が低下してしまい、冷暖房の効果が下がってしまいます。
フィルターを2週間に1度洗浄し、定期的にメンテナンスを行うように心がけましょう。

こちらも『フィットネス産業基礎データ資料2007』に、延床面積が4,306平方メートルの店舗の試算が紹介されています。
「空調設備のメンテナンス向上による節電」で年間の電気代を493,000円削減することができるそうです。
メンテナンスの重要性を再認識できる数値といえますね。

注意したいのが、室内だけではなく室外機の清掃・メンテナンスを忘れがちな点です。
「日本冷凍空調工業会」が室外機フィンコイル洗浄の効果を調査したところ、ノーメンテナンスの場合、暖房・冷房の消費電力があがるだけではなく、能力も下がってしまうそうです。
年に2回のメンテナンスと4年目のノーメンテナンスを比較した場合、消費電力は暖房で約200%も増えました。

参考:日本冷凍空調工業会「業務用エアコンを長く安心してお使いいただくために」e-book
https://www.jraia.or.jp/download/e-book/tenken_gyoumu/_SWF_Window.html?mode=1062

高効率空調機の導入

最新のパッケージ型空調機は、効率が大きく上昇しており、効果試算を行った結果では1996年と2007年の製品を比較すると、約47%も電力料金がダウンしています。
既にこの時の調査よりも高性能の製品が多数発売されていますので、より省エネ効果は高いといえます。
初期導入費用がかさんでしまいますが、省エネを考えるのであれば是非検討したい項目のひとつです。

受変電設備の省エネ

受変電設備の省エネには、「進相コンデンサ」や「デマンドコントローラ」の導入が効果的です。

負荷の平準化

電気代は、基本料金に電力料金を合計して算出されます。
最大電力の抑制を行うことで、基本料金を減らすことができます。
基本料金は受電力率によっても変わりますので、電気が実際に使われる「力率(りきりつ)」をチェックして、100%になるように進相コンデンサを設置するのもおすすめです。

また、ポンプ・ファン・空調機などの電力を多く消費する設備は、計画的に起動することで最大点力を調整するように心がけましょう。

デマンドコントローラを設置する

デマンドコントローラは、使用電力量の予測を行って、目標を超えてしまわないように負荷の低減や遮断を知らせてくれる装置です。
設置をすることで、不可電力の標準化を行うことができ、基本料金の削減に役立ちます。
また、エネルギー別電力使用量を知ることができるので、エネルギー管理にも役立てることができます。

おわりに

教室・スクールの運営で抑えておきたい、省エネルギー対策をご紹介しましたが如何でしたか。
日頃から節電・節水を心がけるだけではなく、機器を導入したり買い替えをおこなったりすることで、より効果を高めることができます。

参考:※数値チェック用の参考URLがない場合は全て下記を参考にしています
東京都環境局東京都地球温暖化防止活動推進センター「フィットネスクラブの省エネルギー対策」

https://www.tokyo-co2down.jp/documents/fitness.pdf
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